負の相補性

ブループリントに載っている項目について、たいていは「聞いたことあるけど、説明できない」という感じですが、聞いたこともない概念もいくつかあります。
今回の「負の相補性」はその一つです。

そもそも相補性とは、関係の中で自分に持っていない部分を相手が補うことを指します。
しかし、この「負の相補性」とはそういった意味とは違う形で用いられているようです。

岩壁茂(2007)が心理療法の失敗・中断として「負の相補性」を指摘しました。
これはセラピストとクライエントが互いに怒りと敵意を増幅させてしまうことによるもの(公認心理師必携テキスト 学研)とされています。

クライエントが持つ対人関係パターンに、セラピストが怒りで対応することで、互いの怒りを増幅させてしまうということです。
「負の相補性」概念は、転移や逆転移という現象よりも普遍的・一般的なものとされています。

個人的には、転移に関して「現状況でのわずかな雰囲気の類似に基づいて、過去に獲得された心身反応の型が誘発される現象」という神田橋條治先生(2016)の説明が一番しっくりきていますので、負の相補性と転移・逆転移概念との線引きって難しいなという印象です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です