公認心理師 2021-33

時間外労働の上限規制に関する問題です(過去問「公認心理師 2020-144」に過労死ラインの把握はありました)。

出題が予想されていた内容でしょうから、確実に押さえておきたいところですね。

問33 労働基準法が定める時間外労働の上限規制として、正しいものを1つ選べ。
① 原則として、月60時間とする。
② 原則として、年360時間とする。
③ 臨時的な特別な事情がある場合には、年960時間とする。
④ 臨時的な特別な事情がある場合には、月150時間(休日労働含む)とする。
⑤ 臨時的な特別な事情がある場合には、複数月平均120時間(休日労働含む)とする。

解答のポイント

労働基準法が定める時間外労働の上限規制を把握している。

選択肢の解説

① 原則として、月60時間とする。
② 原則として、年360時間とする。

本問はいわゆる36協定(サブロク協定)に関する問題で、その名の通り、労働基準法第36条の内容を問うてきています。

まずは36協定の基本的な部分から見ていきましょう。


第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という)又は前条の休日(以下この条において「休日」という)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。


要約すれば、法律で定められた法定労働時間の1日8時間・週40時間(第32条)の範囲を超える場合には、36協定を締結しないといけませんよ、ということです。

本来、法定労働時間を超えて労働者を働かせることは違法となりますが、労働者と使用者の間で労使協定を結び、労働基準監督署長へ届け出ることで、合法的に労働者に法定時間外労働や法定休日の勤務をさせることが可能となります。

この労使協定は、労働基準法第36条の規定を根拠としていることから、一般に36(サブロク)協定と呼ばれているわけですね。

このサブロク協定を結んだ場合であっても、労働時間を延長して労働させられる限度時間があります。


④ 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。


このようにサブロク協定を締結していても、月45時間および年360時間を限度とされているわけですね。

以上より、労働基準法が定める時間外労働の上限規制として「月45時間」および「年360時間」が設けられております。

よって、選択肢①は誤りと判断でき、選択肢②が正しいと判断できます。

③ 臨時的な特別な事情がある場合には、年960時間とする。
④ 臨時的な特別な事情がある場合には、月150時間(休日労働含む)とする。

これらの選択肢に含まれている「臨時的で特別な事情がある場合」に関しては、第36条⑤に記されております。

まずは全体を記載し、その後、細かく分けながら見ていきましょう。


⑤ 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る)を定めなければならない。


そもそも「臨時的で特別な事情」については、厚生労働省は「全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合」としています。

つまり、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等があった場合に限り、月45時間、年360時間を超えることができる」ということですね。

さて、まずポイントになるのは「一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る)」という箇所ですね。

ちなみに上記の第2号第4号とは、サブロク協定に含める内容の一つで「対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数」に関する事項を指しており、選択肢④などにある「休日労働を含め」の部分のことを言っているわけです。

これを含めても「月100時間未満」にすることが定められているということですね。

さて、次のポイントは「一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る)を定めることができる」の箇所になりますね。

サブロク協定を結んでいたとしても追加できる労働時間の限度は「年720時間」とされていることがわかります。

このことから、選択肢③「年960時間」および選択肢④「月150時間(休日労働含む)」は間違いであることがわかりますね。

よって、選択肢③および選択肢④は誤りと判断できます。

⑤ 臨時的な特別な事情がある場合には、複数月平均120時間(休日労働含む)とする。

本選択肢では、上記の第36条⑤の後半部分である「第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る)を定めなければならない」から見ていくことにしましょう。

上記の言葉をわかりやすく読み替えて見ましょう。

  • 第一項の協定=サブロク協定
  • 第二項第二号の対象期間=サブロク協定で締結された対象期間(労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限る)
  • 第三十二条の四第一項第二号の対象期間=その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において労働させる期間

要は、「月45時間」を超えて労働させることができる月数を定めなくてはいけませんよ、ということが書いてあるわけです。

そしてこちらについては、以下のように規定されています。


⑥ 使用者は、第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。

一 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間 二時間を超えないこと。

二 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 百時間未満であること。

三 対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間 八十時間を超えないこと。


上記の「二」に関しては、選択肢④の解説でも示された通り「月100時間」と決まっていますが、複数月になった場合(つまり「三」の規定)、1か月あたりの平均が「80時間」を超えてはならないとされているわけですね。

なお、他選択肢でも述べた通り、超えることができる期間に関しては「6か月以内」となっています。

あくまでも通常ではあり得ない、突発的な想定外の事態が生じた場合の規定ですから、そんな状況は半年も続かないと考えるわけです(それ以上続くようなら、それがその会社の「通常」と見た方がいいですね。いや、よくないのだろうけど)。

以上のように、本選択肢の「複数月平均120時間」は誤りであり、正しくは「複数月平均80時間」となります。

よって、選択肢⑤は誤りと判断できます。

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