公認心理師 2024-28

老廃物の排出や体液量の調整、酸塩基平衡の維持などに関わる臓器を選択する問題です。

薬物の排出については、一度過去問で扱っているので、そこでの知識が援用できそうな問題でした。

問28 老廃物の排出や体液量の調整、酸塩基平衡の維持などに関わる臓器として、最も適切なものを1つ選べ。
① 胃
② 肺
③ 肝臓
④ 結腸
⑤ 腎臓

選択肢の解説

⑤ 腎臓

腎臓の重要な働きのひとつに、血液中の老廃物や塩分を「ろ過」し、尿として身体の外に排出することがあり、この働きをしているのが糸球体です。

細い毛細血管が毛糸の球のように丸まってできているので「糸球体」と呼ばれます。

この糸球体は大体0.1ミリ~0.2ミリほどの大きさですが、1つの腎臓に約100万個の糸球体があります。

この糸球体はふるいのような構造をしており、心臓から腎臓に流れ込んできた血液が、この糸球体を通ると、老廃物がふるいを通ってろ過されます。

健常な人では、赤血球やたんぱく質などはろ過されず、きれいになった血液が、腎臓から身体に戻ります。

糸球体でろ過された尿(原尿とよびます)は、健常な方では1日におよそ150リットルにもなります。

実際の尿は1.5リットル程度ですから、99%は再吸収されることになります。

この再吸収する働きをするのが、尿細管です。

糸球体でろ過された原尿には、老廃物以外に、アミノ酸やブドウ糖などの栄養素や、塩分(ナトリウム)やカリウム、リン、マグネシウムなど、さまざまなミネラル(電解質)も含まれています。

このような身体にとって必要な成分を再吸収することにより、体内の水分量を一定に保ったり、ミネラルのバランスを調整したり、身体を弱アルカリ性の状態に保つことができるのです。

逆に抗がん剤などの薬物には尿細管を通して、体外に排泄されるものもあり、このため薬物によって尿細管がダメージを受けることもあります。

このように、本問にある「老廃物の排出や体液量の調整」が腎臓の機能として挙げられることがわかりますね。

続いて、問題文後半の「酸塩基平衡の維持」について見ていきましょう。

酸性度とアルカリ性度は、血液の重要な特性の1つです。

血液を含むあらゆる溶液の酸性度やアルカリ性度は、pH値で表します。

pH値は、0(強酸性)から14(強塩基性または強アルカリ性)までの範囲で表します(中間のpH7.0が中性です)。

正常な血液はわずかに塩基性で、血液のpH値の正常範囲はおよそ7.35~7.45の間であり、通常、体は血液のpH値を7.40辺りに維持しています。

血液のpH値、二酸化炭素(酸)と重炭酸塩(塩基)の量を測定することで酸塩基平衡を評価します。

血液の酸性度が上昇するのは以下の場合です。

  • 体内の酸性物質の濃度が上昇したとき(摂取量もしくは生産量の増加、または排出量の低下によるもの)
  • 体内の塩基性(アルカリ性)物質の濃度が低下したとき(摂取量もしくは生産量の低下、または排出量の増加によるもの)

血液のアルカリ性度が上昇するのは、体内の酸の濃度が低下したとき、または塩基の濃度が上昇したときです。

こうした体内での酸性物質とアルカリ性物質のバランスを「酸塩基平衡」と呼びます。

血液の酸塩基平衡は、正常な範囲から少し外れただけでも、多くの臓器に著しい影響を与えるため、厳密に調節されています。

体は様々な仕組みによって血液の酸塩基平衡を調節しています。

このような調節の仕組みには以下の臓器が関与しています。

  • 肺の役割:
    血液のpHを調節する仕組みの1つには、肺からの二酸化炭素の放出が関与しています。二酸化炭素は弱い酸性の物質で、あらゆる細胞に必要な物質である酸素と栄養分が処理(代謝)された後の老廃物であり、細胞によって絶え間なく作られ、その後、細胞から血液中へと運ばれます。二酸化炭素は血液によって肺へ運ばれ、そこから体外へ呼気として吐き出されます。血液中に二酸化炭素がたまるに従って、血液のpHは下がります(酸性度は上昇します)。
    脳は呼吸(換気)の速さと深さを調節することで、体外へ吐き出される二酸化炭素の量を調節します。吐き出される二酸化炭素の量と血液のpHは、呼吸が速く深くなると上昇します。呼吸の速さと深さを調節することで、脳と肺は分単位で血液のpHを調節することができます。
  • 腎臓の役割:
    腎臓は、過剰な酸や塩基を排出することで、血液のpHを変化させることができます。腎臓は酸や塩基の排出量をある程度変えることができますが、腎臓での調節は肺よりゆるやかなペースで進むため、その調節が終わるまでには数日間かかります。
  • 緩衝系:
    血液のpHを調節するもう1つの方法は、緩衝系という仕組みを利用するもので、これにより酸性またはアルカリ性への急激な変化から体を保護しています。pH緩衝系は、体内で自然に作られる弱い酸と弱い塩基で構成されています。pHが正常な状態では、これらの弱い酸と弱い塩基がペアになってバランスをとっています。pH緩衝系は、酸と塩基の比率を調整することで、溶液のpHの変動を最小限に抑えるよう化学的に作用します。

上記の通り、「酸塩基平衡の維持」には肺なども絡んでくることがわかります(その意味では、本問の選択肢②に肺が設定されているのは、ひっかけの意味もあるでしょう)。

ですが、問題文前半の「老廃物の排出や体液量の調整」という役割を担っており、また、「酸塩基平衡の維持」の役割も備えているとなれば、それは腎臓ということになるでしょう。

よって、選択肢⑤が適切と判断できます。

① 胃

胃は、豆のような形をした、筋肉でできた大きな中空の臓器で、噴門部、底部、体部、前庭部の4つの部分で構成されます。

胃の働きは食物の消化です。

食道を通ってきた飲食物は、下部食道括約筋を通過して胃に入ります。

胃の上部は食べものを一時的に収容する場所として働きます。

ここでは、噴門部と底部が弛緩して、入ってきた食べものを収容します。

その後、体部と前底部(胃の下部)がリズミカルに収縮して、食べものを消化しやすいように胃酸や酵素(胃液)と混合したり小さく粉砕したりします。

ここで胃液中のペプシン(タンパク質の一種で肉の主な成分であるコラーゲンを消化する、唯一の酵素)という酵素によりたんぱく質が分解されます。

胃で消化された食物がかゆ状になると幽門が開いて、少しずつ十二指腸に運ばれていきます。

でんぷん性のものは早く、肉は比較的ゆっくり、脂肪性のものは最もゆっくり通過します。

胃はほかに、食物と一緒に入り込んだ細菌を胃酸で殺菌したり、身体にとって悪い物質を嘔吐して出す働きももっています。

こうした胃の役割は「老廃物の排出や体液量の調整、酸塩基平衡の維持などに関わる臓器」に該当しないことがわかります。

よって、選択肢①は不適切と判断できます。

② 肺

人間の体は生きていくために、十分なエネルギーを生み出す必要があります。

このエネルギーは、酸化という過程で、食物中の分子を燃やす(食物中の分子が酸素と結合する)ことによって生み出されます。

酸化の過程では、炭素と水素が酸素と結合し、二酸化炭素と水ができます。

このように、酸素を消費し、二酸化炭素を生成することは生命維持に不可欠な働きです。

そのため、人間の体には、激しい運動をしたときでも体の求めに応じた速さで、循環する血液から二酸化炭素を排出し、周囲の大気から酸素を取り込むための器官系が必要になります。

呼吸器系は、酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外に排出することを可能にします。

呼吸器系は、鼻と口から始まり、気道から肺へと続きます。

左右の肺はそれぞれ葉と呼ばれる部分に分かれており、右肺は3つの葉、左肺は2つの葉から成り立っていて、左胸部のスペースは心臓と共有されているため、左の肺は右の肺より少し小さくなっています。

肺には、肺胞道、肺胞囊、肺胞が含まれます。

細気管支1本から、数本の肺胞道が分岐しています。

肺胞道の先端は袋状になっており、袋状の部分に数個の小部屋のような構造物があります。

この袋状の部分が肺胞嚢であり、小部屋の部分が肺胞です。

肺胞では、膜と毛細血管の壁を通して、呼吸による二酸化炭素と酸素の交換(ガス交換)が行われており、息を吸えば、酸素は毛細血管を通じて体内に運ばれ、息を吐けば、二酸化炭素が出されます。

このようなガス交換は、濃度の高低によって物質が移動する「拡散」と呼ばれる現象によってなされています。

つまり、酸素は、濃度の高い肺胞から濃度の低い毛細血管へ移動し、二酸化炭素は濃度の高い毛細血管から濃度の低い肺胞へと自然に移動しているのです。

空気と毛細血管の間の壁は極めて薄いため、酸素は肺胞内から血液中へ移動でき、二酸化炭素は血液中から肺胞内の空気へと移動できるのです。

こうした肺の役割は「老廃物の排出や体液量の調整、酸塩基平衡の維持などに関わる臓器」に該当しないことがわかります。

よって、選択肢②は不適切と判断できます。

③ 肝臓

肝臓は右の肋骨に守られるようにして存在する人の体で最も大きい臓器で、体重の約50分の1を占めています。

肝臓の主な働きは3つあり、①私たちの体に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵、②有害物質の解毒・分解、②食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。

①についてですが、多くの食べ物はそのままで吸収されず、栄養素としてからだが吸収できるように肝臓で変化させています。

例えば、ぶどう糖をグリコーゲンに変えて貯えておき、必要な時にエネルギーとして使うために体内へ送り出したり、骨髄で必要な赤血球をつくるための葉酸や、ビタミンB12を貯えておき、必要な時に送り出したり、アミノ酸から血液に必要なアルブミンとフィブリノゲンを作り、血液の中に送り出すなどをしているわけです。

②については、体内に入った毒物を分解し、毒のないものに変えているわけですが、例えば、アルコールやたばこにふくまれるニコチンを中和していたり、人が運動をすると筋肉がぶどう糖を燃やし乳酸を作り出したり(乳酸が血液中に溜まると、からだは疲れを感じる)、肝臓では乳酸をグリコーゲンに変えています。

③についてですが、胆汁は、脂肪を消化するために必要な液体で、黄緑色をしています。

胆汁は、肝細胞から絶えまなく分泌されており、肝細胞では、脾臓から運ばれてきたビリルビンという黄色い色素を水に溶けやすいように変化させて胆汁の中に排出しています。

こうした肝臓の役割は「老廃物の排出や体液量の調整、酸塩基平衡の維持などに関わる臓器」と重なっていそうな部分もありますが(有害物質の解毒や分解のところ)、やはり異なることがわかると思います。

よって、選択肢③は不適切と判断できます。

④ 結腸

大腸は食物の通り道で、食道、胃、十二指腸、小腸に続く臓器であり、大腸は、結腸、直腸に分かれ、結腸はさらに盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。

結腸は、便を作るはたらきをしています。

水分を吸収し、便を作るほか、ナトリウムなどの電解質を吸収しています。

さらに、小腸で消化しきれなかった食物繊維などを発酵させ、便を直腸へ送ります。

直腸は、便を一時的に溜めておく働きをしており、直腸が便でいっぱいになると排泄したくなり、腸の一部や腹部の筋肉が収縮し、同時に肛門の筋肉が開いて便が外に押し出されます。

なお、大腸がんには直腸がんと結腸がんがありますが、特に結腸がんが増加しています。

動物性の脂肪を摂ると、消化を助けるために胆汁酸が多く分泌され、脂肪の消化の際に発生する物質のなかに発がん物質があり、大腸の粘膜にがんが発生すると考えられています。

大腸がんの診断、治療を行ううえで、大腸を7つの区分、また大腸壁を4つの区分に分けています。

大腸がんができやすい部位は直腸とS状結腸で、全体の約70%を占めています。

直腸は大腸の全体の約10%を占めますが、全大腸がんの約50%が発生するほどがんができやすい場所で、2番目に多いのは便が長い間貯留しているS状結腸です。

こうした結腸の役割は「老廃物の排出や体液量の調整、酸塩基平衡の維持などに関わる臓器」に該当しないことがわかります。

よって、選択肢④は不適切と判断できます。

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