公認心理師 2023-116

SVにおけるスーパーバイザーの行動に関する問題です。

「スーパーバイザーの行動」とありますが、SVの基本を押さえられているかどうかが問われています。

問116 スーパービジョンにおけるスーパーバイザーの行動として、不適切なものを1つ選べ。
① スーパーバイジーと作業する上での同盟関係を結ぶ。
② スーパーバイジーの自己内省を高められるよう促す。
③ スーパーバイジーの発達段階によって方法を変える。
④ スーパーバイジーと対等な役割関係の下で支援を行う。
⑤ 理論的な概念や知識から具体的事例への橋渡しをする。

解答のポイント

スーパービジョンの理論的な内容を把握している。

選択肢の解説

① スーパーバイジーと作業する上での同盟関係を結ぶ。
② スーパーバイジーの自己内省を高められるよう促す。
③ スーパーバイジーの発達段階によって方法を変える。
④ スーパーバイジーと対等な役割関係の下で支援を行う。
⑤ 理論的な概念や知識から具体的事例への橋渡しをする。

SVの定義としては「バイザーがバイジーに対して一対一で、臨床実践上のアセスメントと介入の具体的方法について、時間と構造を定めて、継続的に教育・訓練を行うこと」であり、具体的には、面接における技法や技術、ケースの概念化、専門職としての役割、バイジーの自己内的・対人的気づき、などを伸ばすことと言えます。

選択肢②の「スーパーバイジーの自己内省を高められるよう促す」、選択肢⑤の「理論的な概念や知識から具体的事例への橋渡しをする」などがスーパービジョンで行われる内容であることが示されていますね(選択肢⑤は「ケースの概念化」ですからね)。

ちなみに、上記に「一対一で」とありますが、グループ・スーパービジョンもありますから「一対一」というのはスーパービジョンの条件とは言えません(とは言え、一対一が基本であるのは間違いありませんけどね)。

また、上記の書籍によると、大学院のころの(つまり、まだ資格を取る前の段階を想定)スーパービジョンでは、セラピストとしての基本的態度、インテーク面接の進め方、治療契約の結び方、心理アセスメントや目標設定の仕方、クライエントの感覚や知覚、思考や感情の推測(解釈)の仕方、今後のプロセスの大まかな予測、想定されるクリティカルなポイント、セッションごとの仮説の立て方や修正の仕方、プロセスの進歩や停滞のサイン、中断や終結に関する留意点を学ぶことになります。

一方、プロになってからのスーパービジョンでは、特定の技法の熟達、難しいクライエントへのアプローチの探求、職場やクライエントの状況に応じた対応の模索、セラピストの人格的成長や個人的問題の克服などが目標になることが多いです。

このようにカウンセラーの成熟度合いによってスーパービジョンの内容も変わってくるわけですが、もう少し具体的に述べていくと以下の通りです。

  • 初心者の場合
    見立ての指導と不安の軽減。
    コンプレックスに触れるか否かはバイザーのタイミングをはかる技量に委ねられる。
  • 中級者の場合
    自身のカウンセリングに対する枠組みができあがり、どこかマンネリの状況が漂ってくる時期に多い。
    自分を超えたクライエントが続くときに受けると良い。
    自分の課題を示すケースに集中して受けるのもいいし、すでに終わっているケースをもう一度初めから検討するような形も良い。
    複数のバイザー、性別の異なるバイザーにつくなども視野を広げる良い体験になりやすい。
  • 上級者の場合
    バイザーになっているような段階でも、SVはやはり必要。
    上級者にとっての最大のバイザーはクライエント。カウンセリングをクライエントから学ぶ、と言えるのは上級者になってから。
    上級者では、人間のみならず、自然や動物、異文化や古典などのあらゆるものがバイザーに成り得る。

以上のように、それぞれの習熟段階に課題があり、それに応じたスーパービジョンがあることがしめされていますね。

そして、こうしたスーパービジョンを行うにあたっては、選択肢①にある通り「スーパーバイジーと作業する上での同盟関係を結ぶ」ことになります。

具体的には、スーパービジョンの場で何をするのか、そのときのバイジーのセラピストとしての課題は何か(だから習熟度で内容が変わってくる)、どういう手法で行っていくのか(これは省かれることもある。バイザーがどういう人かを知っていてSVをお願いすることもあるから)、外枠の契約(回数、料金、頻度など)、などを行っていきます。

よくスーパービジョンの問題では、コンサルテーションとの異同の把握をしているかが問われている場合があり、選択肢④の「スーパーバイジーと対等な役割関係の下で支援を行う」もその類になっています。

コンサルテーションの特徴としては以下の通りです。

  1. コンサルタントとコンサルティは平等な関係:SVでは上下関係がある
  2. コンサルタントは助言の段階に留まり、その助言をどのように活用するかはコンサルティ次第となる。すなわち、事例の状態への管理的責任を負うのはあくまでもコンサルティとなる:SVではバイザーが負うこともある(これは現在ではかなり限定的ではあり、基本としてSVでバイザーが責任を負うことはない。この点については公認心理師 2019-121でも述べています)
  3. コンサルテーションの時間や回数は、一般にその度毎に頼まれてという形態が多く、何回か継続する場合もその期間が決まっているのが普通:SVはそこまで明確ではない

上記の1にあるように、SVにおけるスーパーバイザーとバイジーは「教育する者とされる者」という上下関係がある仕組みになりますが、コンサルテーションでは平等な関係になるということですね。

これらを踏まえれば、選択肢④の「スーパーバイジーと対等な役割関係の下で支援を行う」というのはスーパービジョンに関する記述ではなく、コンサルテーションの内容になっていることがわかりますね。

以上より、選択肢①、選択肢②、選択肢③および選択肢⑤は適切と判断でき、除外することになります。

また、選択肢④が不適切と判断でき、こちらを選択することになります。

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