公認心理師 2023-123

学校保健安全法に関する問題です。

ポイントなのが、記述内容が正しいか否かではなく、「学校保健安全法の内容であるか否か」が問われているというところですね。

問123 学校保健安全法の内容に該当しないものを1つ選べ。
① 学校に養護教諭を置かなければならない。
② 毎学年定期に、学校の職員の健康診断を行わなければならない。
③ 翌学年の初めから就学する者に、就学に際し、健康診断を行わなければならない。
④ 感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
⑤ 校長は、感染症にかかっている又はかかるおそれのある児童生徒等の出席を停止させることができる。

解答のポイント

学校保健法の内容を把握している。

選択肢の解説

① 学校に養護教諭を置かなければならない。

養護教諭配置に関する規定は学校保健安全法にはありません。

ただし、第9条の保健指導の条項として「養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康相談又は児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとともに、必要に応じ、その保護者に対して必要な助言を行うものとする」などとあり、配置は基本的にされていると推察される表現がありますね。

養護教諭配置に関する規定は学校教育法で定められています。

学校教育法第37条の関連する条項を抜き出すと以下の通りです。


第三十七条 小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。
② 小学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。
③ 第一項の規定にかかわらず、副校長を置くときその他特別の事情のあるときは教頭を、養護をつかさどる主幹教諭を置くときは養護教諭を、特別の事情のあるときは事務職員を、それぞれ置かないことができる。
⑫ 養護教諭は、児童の養護をつかさどる。
⑰ 養護助教諭は、養護教諭の職務を助ける。

第四十九条 第三十条第二項、第三十一条、第三十四条、第三十五条及び第三十七条から第四十四条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第三十条第二項中「前項」とあるのは「第四十六条」と、第三十一条中「前条第一項」とあるのは「第四十六条」と読み替えるものとする。

第六十条 高等学校には、校長、教頭、教諭及び事務職員を置かなければならない。
② 高等学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、養護教諭、栄養教諭、養護助教諭、実習助手、技術職員その他必要な職員を置くことができる。

第六十九条 中等教育学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。
② 中等教育学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭、実習助手、技術職員その他必要な職員を置くことができる。
③ 第一項の規定にかかわらず、副校長を置くときは教頭を、養護をつかさどる主幹教諭を置くときは養護教諭を、それぞれ置かないことができる。
④ 特別の事情のあるときは、第一項の規定にかかわらず、教諭に代えて助教諭又は講師を、養護教諭に代えて養護助教諭を置くことができる。


このように、基本的に学校には養護教諭を置くことになっていることがわかります。

ただし、高校のみ「高等学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、養護教諭、栄養教諭、養護助教諭、実習助手、技術職員その他必要な職員を置くことができる」とあるように、必置でないことがわかりますね(これは幼稚園も同様ですね)。

その理由ですが文部科学省の見解(内閣参質一七一第六〇号)としては「高等学校については、生徒が自主的に自らに関する保健衛生の充実向上を図ることができる」となっていますが、実態としては通信制高校など多様な形態があるので、必置にすることが物理的に困難な学校もある、ということだろうと考えられます。

幼稚園については、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とすることから、教諭が幼児の健康に配慮することを考慮し、養護教諭を必置としていないということです。

また、学校教育法附則第7条第1項には「小学校、中学校、義務教育学校及び中等教育学校には、第三十七条(第四十九条及び第四十九条の八において準用する場合を含む。)及び第六十九条の規定にかかわらず、当分の間、養護教諭を置かないことができる」とあります。

この規定は、同法制定当時の財政の状況及び養護教諭の人材確保の困難性に鑑み、全国一律に養護教諭を必置とすることは、現実的に困難であるとの考えに基づいて設けられたものですが、現在においても、引き続き、国・地方の財政の状況、僻地における養護教諭の人材確保の困難性等に鑑み、小学校、中学校及び中等教育学校には、当分の間、養護教諭を置かないことができることとされています。

このような現状から、同条に規定する「当分の間」の期間について、現時点において、具体的に回答することはできないとされています。

詳しくはこちらの答弁書を読んでみると良いでしょう。

以上のように、本選択肢は「学校保健安全法の内容ではない」および「養護教諭を置かねばならないとされていない学校種(高校や幼稚園)もある」という2つの理由から誤った内容であることがわかります(ただ、後者については微妙なところ。置かねばならないとされている学校種もあるので)。

本問の解説としては「学校保健安全法の内容ではない」で十分そうですね。

よって、選択肢①が学校保健安全法の内容に該当しないと判断でき、こちらを選択することになります。

② 毎学年定期に、学校の職員の健康診断を行わなければならない。
③ 翌学年の初めから就学する者に、就学に際し、健康診断を行わなければならない。

これらについては学校保健法第三節「健康診断」の内容ですね。


(就学時の健康診断)
第十一条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、学校教育法第十七条第一項の規定により翌学年の初めから同項に規定する学校に就学させるべき者で、当該市町村の区域内に住所を有するものの就学に当たつて、その健康診断を行わなければならない。
第十二条 市町村の教育委員会は、前条の健康診断の結果に基づき、治療を勧告し、保健上必要な助言を行い、及び学校教育法第十七条第一項に規定する義務の猶予若しくは免除又は特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置をとらなければならない。
(児童生徒等の健康診断)
第十三条 学校においては、毎学年定期に、児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行わなければならない。
2 学校においては、必要があるときは、臨時に、児童生徒等の健康診断を行うものとする。
第十四条 学校においては、前条の健康診断の結果に基づき、疾病の予防処置を行い、又は治療を指示し、並びに運動及び作業を軽減する等適切な措置をとらなければならない。
(職員の健康診断)
第十五条 学校の設置者は、毎学年定期に、学校の職員の健康診断を行わなければならない。
2 学校の設置者は、必要があるときは、臨時に、学校の職員の健康診断を行うものとする。
第十六条 学校の設置者は、前条の健康診断の結果に基づき、治療を指示し、及び勤務を軽減する等適切な措置をとらなければならない。
(健康診断の方法及び技術的基準等)
第十七条 健康診断の方法及び技術的基準については、文部科学省令で定める。
2 第十一条から前条までに定めるもののほか、健康診断の時期及び検査の項目その他健康診断に関し必要な事項は、前項に規定するものを除き、第十一条の健康診断に関するものについては政令で、第十三条及び第十五条の健康診断に関するものについては文部科学省令で定める。
3 前二項の文部科学省令は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。
(保健所との連絡)
第十八条 学校の設置者は、この法律の規定による健康診断を行おうとする場合その他政令で定める場合においては、保健所と連絡するものとする。


上記の通り、職員に関しては「毎学年定期に、学校の職員の健康診断を行わなければならない」とされていますし、翌学年の初めから就学する者(つまり、その学校に入学予定の年長児)に関しては「就学に当たつて、その健康診断を行わなければならない」とあります。

この辺は学校に所属している人もしくは就学した子どもがいる人なら知っていることでしょうが、そうでない人にとっては馴染みのないものかもしれませんね。

以上より、選択肢②および選択肢③は学校保健法の内容に該当しますから、除外することになります。

④ 感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
⑤ 校長は、感染症にかかっている又はかかるおそれのある児童生徒等の出席を停止させることができる。

これらは学校保健法第四節「感染症の予防」に関するものですね。


(出席停止)
第十九条 校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。
(臨時休業)
第二十条 学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
(文部科学省令への委任)
第二十一条 前二条(第十九条の規定に基づく政令を含む。)及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)その他感染症の予防に関して規定する法律(これらの法律に基づく命令を含む。)に定めるもののほか、学校における感染症の予防に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。


このように感染症にかかっていたり、かかっている疑いが児童生徒がいる場合は、その児童生徒に対して「政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」とされています。

また、感染症の予防に必要であるときには「臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」とされていますね。

ちなみに学校感染症の種類(学校保健安全法施行規則第18条)は以下の通りです。

  • 第1種感染症:
    エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘瘡、南米出血熱、ペスト、マールブルグ熱、ラッサ熱、ポリオ、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がSARS(サーズ)コロナウイルスであるものに限る。)、鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであつてその血清亜型がH5N1であるものに限る)。
  • 第2種感染症:
    インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く)、百日咳、麻疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹、水痘(みずぼうそう)、咽頭結膜熱(プール熱)、結核、髄膜炎菌性髄膜炎
  • 第3種感染症:
    コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症
    ※この他に条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患として、溶連菌感染症、ウイルス性肝炎、手足口病、伝染性紅斑(りんご病)、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、流行性嘔吐下痢症、アタマジラミ、水いぼ(伝染性軟疣腫)、伝染性膿痂疹(とびひ)などがある。

そして、出席停止期間は、第1種感染症は「完全に治癒するまで」、第3種感染症は「病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまで」とされています。

第2種感染症は、その感染症によって以下の通り異なります。

  • インフルエンザ:発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで
  • 百日咳:特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
  • 麻疹:解熱後3日を経過するまで
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ):耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで
  • 風疹:発疹が消失するまで
  • 水痘:すべての発疹が痂皮化するまで
  • 咽頭結膜熱(プール熱):主要症状が消退した後2日を経過するまで
  • 結核:病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められるまで
  • 骨髄炎菌性髄膜炎:病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められるまで

現時点では新型コロナは第2種感染症に分類されており、出席停止期間は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」とされていますね。

これらも含めて把握しておくと良いですね。

以上より、選択肢④および選択肢⑤は学校保健法の内容に該当しますから、除外することになります。

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