公認心理師 2023-119

「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の中で示されている「基礎的・汎用的能力」に関する問題です。

ここで挙げられている能力が、学校で鍛えるものであるかどうかは甚だ疑問ではあります。

問119 「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年、中央教育審議会)の「社会的・職業的自立、学校から社会・職業への円滑な移行に必要な力」に示されている「基礎的・汎用的能力」に含まれないものを1つ選べ。
① 課題対応能力
② 連携・協働能力
③ 自己理解・自己管理能力
④ キャリアプランニング能力
⑤ 人間関係形成・社会形成能力

解答のポイント

「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の内容を把握している。

選択肢の解説

① 課題対応能力
② 連携・協働能力
③ 自己理解・自己管理能力
④ キャリアプランニング能力
⑤ 人間関係形成・社会形成能力

まずは「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年、中央教育審議会)を把握しておきましょう。

この答申は、文部科学大臣から諮問を受け、キャリア教育・職業教育特別部会を設置した上で取りまとめられたものです。

実態として、若年層の完全失業率が高い水準であること(約9.1%)、非正規雇用の割合が高いこと(約32%)など若者が学校から社会・職業への移行が円滑に行われていないということを受けてのものですね(数字は当時のもの)。

若者個人のみの問題ではなく、社会を構成する各界が互いに役割を認識し、一体となり対応することが必要であり、その中で、学校教育は、重要な役割を果たすものであり、キャリア教育・職業教育を充実していかなければならないとしています。

要するに、学校に在籍しているころからキャリア教育・職業教育を行っていき、社会進出を円滑にするための提言がこの答申であり、本問ではそうした社会進出するために子どもたちの高めるべき能力として挙げられているものを答えよ、ということになっています。

キャリア教育(一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育)の基本的方向性として、幼児期の教育から高等教育まで 発達の段階に応じて体系的に実施されるもの、様々な教育活動を通じ、基礎的・汎用的能力を中心に育成するものとしています。

ちなみにキャリアとは、「人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」とされています。

また、職業教育(一定又は特定の職業に従事するために必要な知識・技能・能力や態度を育てる教育)では、実践的な職業教育を充実すること、職業教育の意義を再評価することが必要とされています。

そして、発達段階や教育の各期においてのアプローチをまとめてあります(長いのでこれは省略)。

この答申では、基礎的・汎用的能力の具体的内容について「仕事に就くこと」に焦点を当て、実際の行動として表れるという観点から、「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つの能力に整理しています。

これらの能力は、包括的な能力概念であり、必要な要素をできる限り分かりやすく提示するという観点でまとめたものであり、この4つの能力は、それぞれが独立したものではなく、相互に関連・依存した関係にあります。

このため、特に順序があるものではなく、また、これらの能力をすべての者が同じ程度あるいは均一に身に付けることを求めるものではありません。

これらの能力をどのようなまとまりで、どの程度身に付けさせるかは、学校や地域の特色、専攻分野の特性や子ども・若者の発達の段階によって異なると考えられます。

各学校においては、この4つの能力を参考にしつつ、それぞれの課題を踏まえて具体の能力を設定し、工夫された教育を通じて達成することが望まれ、その際、初等中等教育の学校では、新しい学習指導要領を踏まえて育成されるべきとされています(求めるものが大きいんですよね…)。

  1. 人間関係形成・社会形成能力:
    多様な他者の考えや立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者と協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力である。
    この能力は、社会とのかかわりの中で生活し仕事をしていく上で、基礎となる能力である。特に、価値の多様化が進む現代社会においては、性別、年齢、個性、価値観等の多様な人材が活躍しており、様々な他者を認めつつ協働していく力が必要である。また、変化の激しい今日においては、既存の社会に参画し、適応しつつ、必要であれば自ら新たな社会を創造・構築していくことが必要である。さらに、人や社会とのかかわりは、自分に必要な知識や技能、能力、態度を気付かせてくれるものでもあり、自らを育成する上でも影響を与えるものである。具体的な要素としては、例えば、他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーション・スキル、チームワーク、リーダーシップ等が挙げられる。
  2. 自己理解・自己管理能力:
    自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について、社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする力である。
    この能力は、子どもや若者の自信や自己肯定観の低さが指摘される中、「やればできる」と考えて行動できる力である。また、変化の激しい社会にあって多様な他者との協力や協働が求められている中では、自らの思考や感情を律する力や自らを研さんする力がますます重要である。これらは、キャリア形成や人間関係形成における基盤となるものであり、とりわけ自己理解能力は、生涯にわたり多様なキャリアを形成する過程で常に深めていく必要がある。具体的な要素としては、例えば、自己の役割の理解、前向きに考える力、自己の動機付け、忍耐力、ストレスマネジメント、主体的行動等が挙げられる。
  3. 課題対応能力:
    仕事をする上での様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力である。
    この能力は、自らが行うべきことに意欲的に取り組む上で必要なものである。また、知識基盤社会の到来やグローバル化等を踏まえ、従来の考え方や方法にとらわれずに物事を前に進めていくために必要な力である。さらに、社会の情報化に伴い、情報及び情報手段を主体的に選択し活用する力を身に付けることも重要である。具体的な要素としては、情報の理解・選択・処理等、本質の理解、原因の追究、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善等が挙げられる。
  4. キャリアプランニング能力:
    「働くこと」の意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力である。
    この能力は、社会人・職業人として生活していくために生涯にわたって必要となる能力である。具体的な要素としては、例えば、学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動と改善等が挙げられる。

上記のような構造になっており、選択肢①の課題対応能力、選択肢③の自己理解・自己管理能力、選択肢④のキャリアプランニング能力、選択肢⑤の人間関係・社会形成能力が挙げられていますね。

選択肢②の連携・協働能力はこちらに含まれていませんし、答申を見る限り、連携という表現は「産業界との連携」という形で使われているに限られています(見落としが無ければ)。

協働に関しては、心理職のコンピテンシーの一つである「基盤コンピテンシー」で挙げられおり、心理職にとって大切な能力ということになります。

以上より、選択肢①、選択肢③、選択肢④および選択肢⑤は「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年、中央教育審議会)の「社会的・職業的自立、学校から社会・職業への円滑な移行に必要な力」に示されている「基礎的・汎用的能力」に含まれており、除外することになります。

また、選択肢②は含まれていないので、こちらを選択することになります。

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