公認心理師 2023-106

評価法に関する問題です。

評価法は、評価時期による分類と評価基準による分類がありますので、それぞれについて述べていきましょう。

問106 学習指導の途中で、学習者がどの程度学習内容を理解したかを確認するための評価法として、適切なものを1つ選べ。
① 形成的評価
② 個人内評価
③ 診断的評価
④ 絶対的評価
⑤ 総括的評価

解答のポイント

各評価法について理解している。

選択肢の解説

① 形成的評価
③ 診断的評価
⑤ 総括的評価

Bloomはマスタリー・ラーニング(一斉指導と個別指導の組み合わせで、90%以上の子どもを期待される水準に到達させようという主張と実践方法)を理想的学習と考え、それを達成するために診断的評価、形成的評価、総括的評価の3タイプに評価法を分類しました。

診断的評価は、学年・学期・単元などの開始時期に、現在までの習得レベルの確認や、次の学習に必要とされる知識・技能を備えているかどうかの判定を行うために実施されます。

形成的評価とは、文字通り「形成していくための評価」であり、「作り上げていく・進めていく過程で必要な評価」のことを指し、Bloomがマスタリー・ラーニング理論との関連で提唱した評価概念です。

要は「指導の途中でそこまでの成果を把握し、その後の学習を促すために行う評価のこと」「評価を学習活動が終了した時点で行うのではなく、学習過程の最中に、次の教授=学習活動が適切で有効に行われるように、修正の必要な部分を即座に把握するために行う評価」であり、例えば、1回1回の授業の最後に行う小テストや振り返り(こういう形成的評価のためのテストを、形成的テストと呼びます)など、学習の途中で学習者が自分の理解状況を把握することを必要に応じて助けるような行為はこれに該当します。

他にも、教材開発やプロジェクトを進めていく過程で、細かくチェックを行って改善に役立てるなどといったように、比較的頻繁に行うフィードバックの総称のことでもあります。

また、総括的評価とは、その名前が表すように「一通りの流れが終わった後に、全体を通してどこが良かったか(悪かったか)を見るための評価」です。

 一つの単元や課程の終わりなど、全体を見通したいときに行うものであり、学期末テストや通信簿などがその代表と言えるでしょう。

ちなみに学校以外でも、企業研修の最終日に行うアンケートやテストなどがこれにあたりますね。

「総括的」なものですので、例えば教材に対する評価の場合だと、その教材が学習者に及ぼした影響を見ることはできますが、学習者自身が途中で自分の学習進度を判断するような情報は与えることができません。

まとめると以下の通りになります。

  • 診断的評価:学習開始前に現時点でのレベルの確認、次に必要とされる単元の習得に必要な力が備わっているかを見る。
  • 形成的評価:学習活動と並行して行われるもので、授業内容の理解度を確認したり、それをフィードバックすることで学習の達成水準を上げるための評価。
  • 総括的評価:学習が終わった段階で、学習目標がどれだけ達成できたか見る。

これらを踏まえて本問の内容を見てみましょう。

本問で問われているのは「学習指導の途中で、学習者がどの程度学習内容を理解したかを確認するための評価法」になりますが、これは形成的評価を指していると言えます。

よって、選択肢③および選択肢⑤は不適切と判断でき、選択肢①が適切と判断できます。

② 個人内評価
④ 絶対的評価

上記は時期によって評価を「診断的評価」「形成的評価」「総括的評価」に分けるやり方でしたが、ここでは評価の基準によって分類わけしたもの(絶対評価・相対評価・個人内評価)について述べていきます。

まず「絶対評価(絶対的評価)」ですが、これはあらかじめ定められた目標をクリアできているかどうかで判断する評価になります(到達度評価、目標に準拠した評価などとも呼ばれる)。

同じ組織や集団に属する他者の能力に左右されず、設定した基準や数値化された数値目標などに照らして評価します。

学校の成績が絶対評価だった場合、集団内の順番ではなく、個人の点数によって成績が決まります。

この評価になると、5段階評定で成績をつけるときに、同一集団内に何人評価5の人が居ても良いことになります。

これと対になるのが「相対評価」です。

集団内での相対的な位置を示す評価であり、各個人の成績が母集団の得点分布の中でどのあたりに位置づけられるかで評価したものであり、いわゆる偏差値による評価のことなどを指します。

クラス内の成績を順に並べ、上から〇人までは評価5とする、みたいな決め方をしていきます。

元々は評価者の主観で大きく成績が左右されることを防ぐという目的がありましたが、相対的評価になると5段階評価で必ず評価1になる子どもが存在することになったり、そのクラスの人数に正規分布を当てはめようとする(少なすぎる母集団を無理やり正規分布させようとする)など不都合な点が多く存在します。

このため、あまり学校現場では使われていない評価法にはなりますが、偏差値などで活用されていることを踏まえると「集団の中での自分の位置」を気にしなさすぎるのも考えものだと思います。

最後の個人内評価は、成績評価のやり方の一つで、個人の成績をクラスの他の子ども、子どもの出来や教師によって課された学習の到達目標など、子どもの外にあるいかなる尺度によっても図らない、純粋の本人の内でのみ成績を考えるという評価の手法を指します。

その子どもの前日、先週、先月の出来に対して、どう変わったかだけを評価するもので、その性格から「進歩の評価」とも呼ばれています。

子どもごとにどれだけ伸びたかを評価しようとする評価法なので、「個人内」での変化を見るという意味で名付けられています。

特に特別支援教育などでは、学習の基準や尺度は、その個人のみに焦点を当ててみるしか手段がなく、こうした評価が採られる場合が多いです。

不登校児の成績評価にもこうした視点の評価を加味することが重要になりますし、教育以外でもリハビリの評価などでもこうした視点が使われていると思われます。

以上が、評価の基準によって分けたときの3分類になります。

こうした評価の方法は、本問の「学習指導の途中で、学習者がどの程度学習内容を理解したかを確認するための評価法」には合致しないことがわかります。

「学習指導の途中で」という時期的な制約が見られた時点で、「形成的評価、診断的評価、総括的評価のいずれかだな」と考えることが重要であり、ここで挙げた三つの評価法(本問で言えば、個人内評価と絶対的評価)は除外することが求められます。

よって、選択肢②および選択肢④は不適切と判断できます。

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