公認心理師 2023-133

地域ケア会議に関する問題です。

5つの機能を把握していると解きやすいでしょう。

問133 地域ケア会議について、適切なものを2つ選べ。
① 政策の立案や提言はしない。
② 会議のメンバーは固定しない。
③ 個別のケースは取り扱わない。
④ 地域包括支援ネットワークを構築する。
⑤ インフォーマルサービスの開発は対象外である。

解答のポイント

地域ケア会議の機能を把握している。

選択肢の解説

① 政策の立案や提言はしない。
② 会議のメンバーは固定しない。
③ 個別のケースは取り扱わない。
④ 地域包括支援ネットワークを構築する。
⑤ インフォーマルサービスの開発は対象外である。

まず、地域ケア会議は介護保険法第115条の48に規定されています。


(会議)
第百十五条の四十八 市町村は、第百十五条の四十五第二項第三号に掲げる事業の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体(以下この条において「関係者等」という。)により構成される会議(以下この条において「会議」という。)を置くように努めなければならない。
2 会議は、厚生労働省令で定めるところにより、要介護被保険者その他の厚生労働省令で定める被保険者(以下この項において「支援対象被保険者」という。)への適切な支援を図るために必要な検討を行うとともに、支援対象被保険者が地域において自立した日常生活を営むために必要な支援体制に関する検討を行うものとする。
3 会議は、前項の検討を行うため必要があると認めるときは、関係者等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
4 関係者等は、前項の規定に基づき、会議から資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力の求めがあった場合には、これに協力するよう努めなければならない。
5 会議の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
6 前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、会議が定める。


このように「地域ケア会議」は、介護保険法第115条の48で定義されており、地域包括支援センターまたは市町村が主催し、設置・運営する「行政職員をはじめ、地域の関係者から構成される会議」のことをさします。

地域ケア会議は開催の目的・方法によって大きく、「地域ケア個別会議:個別事例の課題検討」と「地域ケア推進会議:地域に必要な取組を明らかにして施策を立案・提言」に分かれます(「介護予防のための地域ケア個別会議」は地域ケア個別会議に分類される)。

「地域ケア個別会議」は、市町村または地域包括支援センターが主催し、検討する事例のサービス担当者に限らず、地域の多職種の視点から課題の解決に向けた検討がされます。

その他、細かい情報については「介護予防活動普及展開事業 市町村向け手引き」に記載があります。

地域ケア会議には、①個別課題の解決、②地域包括支援ネットワークの構築、③地域課題の発見、④地域づくり資源開発、⑤政策の形成という5つの機能があります。

  1. 個別課題の解決:
    多職種が協働して個別ケースの支援内容を検討することによって、高齢者の課題解決を支援するとともに、ケアマネジャーの自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める機能
  2. 地域包括支援ネットワークの構築:
    高齢者の実態把握や課題解決を図るため、地域の関係機関等の相互の連携を高め地域包括支援ネットワークを構築する機能。
  3. 地域課題の発見:
    個別ケースの課題分析等を積み重ねることにより、地域に共通した課題を浮き彫りにする機能。
  4. 地域づくり資源開発:
    インフォーマルサービスや地域の見守りネットワークなど、地域で必要な資源を解発する機能。
  5. 政策の形成:
    地域に必要な取組を明らかにし、政策を立案・提言していく機能。

上記の1~3が個別ケースの検討が中心であり、3~5が地域課題の検討が中心になって行われるものと考えておいて良いでしょう(3は両方の機能を含んでいるイメージ)。

言い換えれば、1に近いほど実務者レベルの会議ですし、5に近いほど代表者レベルのものになるということですね。

これらを踏まえれば、選択肢①の「政策の立案や提言はしない」、選択肢③の「個別のケースは取り扱わない」、選択肢⑤の「インフォーマルサービスの開発は対象外である」は地域ケア会議の内容として不適切であることがわかりますね。

一方、選択肢④の「地域包括支援ネットワークを構築する」は上記の5つの機能の一つとして挙げられていますし、選択肢②の「会議のメンバーは固定しない」は会議の5つの機能を踏まえればメンバーが固定されているはずがありませんから適切な内容と言えます。

ちなみに、地域ケア会議の主要な参加者は、司会者(市町村)/地域包括支援センター/助言者(専門職)/事例提出者(地域包括支援センター職員等のうちプラン作成をした者・介護サービス事業所)になり、事例や会議内容によって参加者は変わってきます。

以上より、選択肢①、選択肢③および選択肢⑤は不適切と判断でき、選択肢②および選択肢④が適切と判断できます。

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