公認心理師 2022-78

虐待が疑われる事例における保護者面接に関する問題です。

本問の公式解答については、出題者が何を言いたいかは理解した上で、私はやはり納得していません。

その理由は解説中に述べていきます。

問78 小児科外来で、医師が2日前に階段から転落した乳幼児の診察中に、虐待が疑われる外傷を認めた。医師が更に診察を行う間、乳幼児を連れてきた親の面接を依頼された公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① 親の生育歴を聞く。
② 親の悩みや感情を聞く。
③ 受傷起点の詳細を聞く。
④ 受傷と受診の時間差の理由を聞く。
⑤ 他の家族が受傷に関与している可能性を聞く。

関連する過去問

公認心理師 2018-2

解答のポイント

なし

選択肢の解説

① 親の生育歴を聞く。
③ 受傷起点の詳細を聞く。
④ 受傷と受診の時間差の理由を聞く。
⑤ 他の家族が受傷に関与している可能性を聞く。

まずはこれらの選択肢から考えていきましょう。

とりあえず選択肢③の「受傷起点」という表現についてですが、これは厚生労働省の資料にある「受傷機転」の誤りだと思います。

もしかしたら「受傷起点」という表現を使っている人もいるのかもしれませんが、厚生労働省の資料に示してある「受傷機転」とある以上、これが正確な表現であると見なすのが妥当です。

このことに関する私自身の見解は以下の通りです。

  1. 出題者側(日本心理研修センター)が本問を「不適切問題」としていない以上、こうした問題の本質を損なわない事柄については不問と付し、解いていくことが求められる。
    この点については「受傷機転が正しい文言だと思っていたから、そもそも不適切な問題として見なしていた」という意見(その事実の在り処はともかく)があり得るが、一部の論文では「受傷起点」という表現が使用されているなどの反証もある。
    よって、「出題者側(日本心理研修センター)が不適切問題としなかった」という事実に沿ってやっていく「しかない」と考えている。
  2. しかし、出題者側にはこうした「問題の本質から離れたところで議論が生じるようなこと」を一切排除する義務があると認識してもらいたい。
    受験者にとって「国家資格を有するか否か」は人生を左右する場合がある。合格にせよ不合格にせよ「自分の実力の結果である」という現実を認め、受け容れて、それ以降の人生を歩んでいくことが、一人ひとりにとって大切なことだろう。
    だが、「受傷機転・受傷起点」などのような些末な事柄によって、受験者が「自分の実力の結果である」と感じにくい要因を作ってしまいかねない(自分は「受傷機転」だと思っていたのに「受傷起点」という表現が出て混乱した、など)。出題者側は受験者に「自分が間違えた理由を、自分以外に求めさせないようにする最大限の努力をするべき」なのであって、こうした事態をごく僅かでも排除することが、出題者側に課せられた責務である。

このように、色々と思うところはあるわけですが、とりあえず「受傷起点」は「受傷機転」と同じものと見なした上で本問を解いていくというのが私の姿勢です。

私は自分以外の他者や他機関を「天気と一緒」と思って生きています。

ですから、今回のような「字が違うが不適切問題とはしないという事態」に見舞われたとしても、そのことをずっとあーだこーだ言い続けるのは「天気に文句をダラダラ言いながら一日過ごすのと同じくらい不毛なこと」と思っているので、今ある現実(他の問題と同じく解いていく)を生きていくようにします。

さて、本問については「虐待対応」という視点で言えば、選択肢③の「受傷起点の詳細を聞く」の一択になります。

受傷起点(機転)とは、「打撲や骨折等の外傷を負うに至った原因や経緯のことをいう。いつ、どこで、どのような経緯で、どのようにして、どのような作用が加わって、その外傷が発生したか、という内容のことを意味する」です。

そして「受傷機転不明」とは、受傷の経緯がわからない状態のことであり、受傷についての保護者の説明と外傷の状態が矛盾する場合も「受傷機転不明」とされます。

子どもの顔面の内出血痕や四肢や頭部の骨折が認められた場合は、受傷機転を明確にすることが重要であり、受傷機転不明の場合は虐待の可能性も考え対応すべきとされています。

受傷機転が不明なために保護が行われずに死亡したという事例が多くあることから(こちらの資料より)、受傷機転について問うことは、非常に重要であると言えるでしょう。

本問では「医師が2日前に階段から転落した乳幼児の診察中に、虐待が疑われる外傷を認めた」わけですから、この外傷に関する受傷機転を問うていくのは虐待対応上、最も的確なアプローチであることは間違いありません。

選択肢①の「親の生育歴を聞く」については、確かにこの質問で、例えば親の被虐待歴を知ることができれば、この親自身が虐待をしている可能性が「一般論としては少し高まる」わけですが、現時点で重要なのは「いま目の前にある傷への対応」になります。

一時保護決定に向けてのアセスメントシート」によると、保護者の生育歴は「虐待の発生につながる可能性のある家庭環境等」に含まれる事項であり、フローチャート上は一番下で確認する事項ですから、本問のように「いま目の前に傷がある状況」で第一選択となる対応とは言えませんね。

選択肢④の「受傷と受診の時間差の理由を聞く」というのは、正確には「どうして2日前に階段から落ちたのに、すぐに受診しなかったのかを問う」ということですね。

こちらの論文では「受傷から医療機関を訪れるまでの時間差が極めて大きいことが児童虐待における骨折の特徴である」とされており、本事例は骨折とは明示されていませんが、児童虐待全般に言えることだろうと思います(なお、この論文では受傷機転について、この時間差の項目の「前」に児童虐待を疑わせるものとして挙げています)。

さて、こうなると重要なのは選択肢③と選択肢④の重要性の比較になりますが、こちらの資料では「外傷所見からの虐待と事故の鑑別点」が示されており、「受傷機転」と「受傷から受診までの時間」がそれぞれ設けられています。

ここで大切なのは、「受傷機転」については説明の中身(一貫性がある or 曖昧、矛盾、不一致、不自然)が問われているのに対して、「受傷から受診までの時間」については事実の把握(早い:常識的な範囲 or 遅い:悪化してからの受診)で良いという点です。

すなわち、本問においては「受傷機転」については親からの説明によって虐待の可能性を査定することになりますが、「受傷から受診までの時間」については既に「遅い:2日前に階段から落ちたのに、すぐに受診していない」という事実が得られています。

もちろん、選択肢④の「受傷と受診の時間差の理由を聞く」によって親の説明が曖昧だったり不自然なものであれば追加の情報として有用なものにはなりますが、最も大切な「受傷から受診までの時間が遅い」という事実が既に確認できており、「受傷機転に関する説明がなされていない:選択肢③の内容」という虐待と事故の鑑別ポイントが不明な状況であれば、選択肢③を優先すべきと考えるのが妥当になります。

さて、選択肢⑤の「他の家族が受傷に関与している可能性を聞く」ですが、確かに受傷と受診との時間差を踏まえれば、連れてきた親は虐待に関わっておらず、それ以外の家族が関わっているという予測ができなくもありません。

ただ、こちらについては選択肢③の「受傷起点の詳細を聞く」という対応の中で聞くことが可能な内容であると思われますし、そもそも選択肢⑤の内容は「家族が関与している」という前提がないと聞きにくい事柄になります。

また、目の前の親が受傷に関与している可能性も除外されていない本問の状況では、最初に「他の家族が受傷に関与している可能性を聞く」ことによって相手を警戒させ、その場をやり過ごして二度と受診してこないというリスクもあります。

とにかく、現時点は「虐待の可能性を査定する段階」であり、更に「子どもを連れてきた親が虐待に関わっていないという証拠がない」わけですから、いきなり他の家族が受傷に関わっているという前提で話すのではなく、目の前にある事実=傷に関して聞いていく(すなわち、選択肢③の対応)のが自然な流れだろうと言えます。

ここまでをまとめると、選択肢③が最も優先されるべき事項と言え、それ以外の選択肢は、現時点では選択肢③よりも優先度が低い(選択肢①)、すでに重要な事項は確認済み(選択肢④)、まだ時期尚早な内容(選択肢⑤)であると言えます。

よって、ここで挙げた選択肢の中では、選択肢③の「受傷起点の詳細を聞く」が最も適切な対応であると考えることができます。

このように、単純に「虐待対応」という視点で見れば、本問の答えは選択肢③になるものと思われますが、公式解答は選択肢②が正解であり、上記で挙げた選択肢は不正解ということになります。

その理由になると思われるのが「医師が更に診察を行う間、乳幼児を連れてきた親の面接を依頼された公認心理師の対応」という状況設定です。

おそらくは「正答以外の選択肢の内容(ここで挙げた選択肢)=虐待の可能性に関する対応」は医師が行い、公認心理師は別領域の対応(上記以外のアプローチでの情報収集、親に対する支援など)を行うという論理なのでしょう。

しかし、もしもそういう論理で正答を導くというのであれば、本問の情報量では不可能と言わざるを得ないと考えています。

そもそも「小児科外来で、医師が2日前に階段から転落した乳幼児の診察中に、虐待が疑われる外傷を認めた。医師が更に診察を行う間、乳幼児を連れてきた親の面接を依頼された公認心理師の対応」という状況設定だけでは、医師が事前に親から何か話を聞いているのか、そもそも親と話した後に公認心理師が話すのか、公認心理師の後に医師が話すのか、などがすべて不明です。

こうした状況であれば「医師が本人の診察を行い受傷の客観的判断(いつ頃の傷であるかなどの見立て)を行い、親面接で公認心理師が受傷機転に関する情報を聞き、後でそれを総合して虐待の可能性を見立てる」と見なして選択肢③を選ぶことになるだろうと思います。

もしも事前に医師と公認心理師との情報共有の中で「受傷機転に関する事項については医師が中心となって考えていく」という役割分担がなされていたのであれば話は別ですが、そういった情報がなく、本問の状況だけで「受傷に関する事項は医師の役割」と考えるのは非常に困難であると思います。

なお、「公認心理師に依頼する時点で情報共有がなされているはず」といった「問題に記載されていない状況を予測して加味する」のは資格試験という状況上あり得ないことであり、純粋に「問題で示されている状況では、公認心理師は選択肢③をはじめとした虐待に関わる対応を中心に行うのではなく、親に対する心理的支援に注力する」という合理的な説明なり制度上の決まり事が求められます。

仮に「本問の状況では、医師が中心になって虐待に関する詳細を聞く役割で、公認心理師は親の悩みや感情を聞く」ということが、資格試験の場で「正解」とされるのであれば、医療で働く全ての公認心理師は、自身が虐待の可能性に気づいた最初の人でない限り虐待のアセスメントとなる事項については触れないことになります。

もちろん「親の悩みや感情を聞く」というのも、虐待の対応としてあり得ますし、それを通して虐待の可能性を査定するのに必要な情報を得ることもできるでしょう(この辺については、選択肢②の解説で述べます)。

ですが、本問のような状況設定と公式解答では、①医師が診察中に虐待が疑われる外傷を認めた、②更に医師が診察を行う間に親の面接を公認心理師が行う場合は、親の感情や悩みを聞くのが正しい対応である、③医師と公認心理師の間で情報共有の形跡が示されていない以上、この対応はそうした情報共有なしでも行われるべきもの、という図式が出来上がってしまいます。

私はこれは非常にハイリスクな答えであり、このような「専門家間の単純な分業」は事故学の見地からしても問題だと思います。

事故学では、一度事故が起こったときに「各人が自分の守備範囲だけは守ろうとして、柔軟な、お互いに重なりあうような注意をしなくなる」という状況が生じやすく、次の事故を防ぐためのダブルチェックが行われなくなるとされています(以下の書籍の「危機と事故の管理」に述べられています)。

これは、普段から互いの領域が重なっていて、それによって行われている「自然なダブルチェック」が、事故の緊張によって生じなくなるために次の事故を招いてしまうという論理であり、危機管理上はこうした「自然なダブルチェック」が重要になります。

本問のような虐待状況であっても「専門家間の単純な分業」を当然とせず、互いが聞くことが多少は重複したとしても、虐待の査定を綿密に行うことの方が優先されると考えられます。

もちろん、一つの機関で同じことを別の人から聞かれるというのは、相手に対してうんざりさせる恐れもありますし(ドラマで警察の取り調べを受ける人がよく言ってますね)、組織として連携が取れていないと思わせるリスクもありますから、互いが聞くことが重複してはならないという論理も理解できるのですが、それならば尚更、本問の状況で「医師と公認心理師の情報共有が描かれていない」のは良くないわけです。

情報共有の模様が示されていない以上、「本問の状況では情報共有をすることなしに、公認心理師は選択肢②の対応をします」と出題者は明言しているようなものです。

思いつくままに述べましたが、ここでまとめておきましょう。

  1. 虐待対応という視点で言えば、解答は選択肢③の一択である。
    本問の状況・情報量では「医師が本人の診察を行い受傷の客観的判断(いつ頃の傷であるかなどの見立て)を行い、親面接で公認心理師が受傷機転に関する情報を聞き、後でそれを総合して虐待の可能性を見立てる」と考えるのが妥当である。
  2. だが、おそらく「医師と公認心理師の暗黙の役割分担」という観点から、本問の状況では選択肢③は医師の役割であり、公認心理師は後述する選択肢②の役割を行うというのが公式解答である。
    (「暗黙の」と付したのは、医師-公認心理師間で情報共有の様子が示されていないから)
  3. これは以下のいくつかの視点で受け入れ難い。
    A:医師と公認心理師の情報共有なしに、そこまで明確な役割分担は不可能。
    B:こうした役割分担を暗黙で行うのは、危機管理上リスクが大きい。抜けがあった場合に子どもに及ぶ被害は非常に大きい。
    C:「親の悩みや感情を聞く」という対応の必要性の有無(選択肢②の解説で述べます)。

こうした考えのもと、選択肢②が最も適切とは思えないというのが正直なところです。

おそらく、出題者側は「医師と公認心理師の役割分担」という点を踏まえての回答を求めていたのだと思いますが、状況設定や情報量が少なすぎるためにその点を議論することもできない状況だと言えます。

なお、「公認心理師は、その業務を行うに当たって要支援者に主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない(公認心理師法第42条第2項)」がありますが、本問は指示に関する記述もないので考えから除外して良いでしょう。

個人的には、本問の正答はやはり選択肢③だと考えていますが、公式解答は選択肢②ですから、それを以下で論じていきましょう。

② 親の悩みや感情を聞く。

既に述べたように、本問の正答はこちらの選択肢になります。

上記でも触れているように、選択肢②が正答となる論理の一つとして「医師が虐待に関する事項:特に受傷機転などについては確認するので、公認心理師は「親の悩みや感情を聞く」ことを行うという役割分担」であると考えられます。

もちろん、こうした役割分担は実践上も行われていることだと言え、こうした「役割分担に関するやり取り」が行われていれば文句なく選択肢②が正答となるでしょう。

また、「親の悩みや感情を聞く」中で、親から子育ての苦労やもしかしたら配偶者の問題などが語られることもあり得ますから、この対応も虐待に関する対応であると言えなくもありません。

しかし、やはり問題は「医師と公認心理師での役割分担」についての記述がないことであり、そうなるとどうしても選択肢②の「親の悩みや感情を聞く」よりも、より虐待に対して正確な見立てを行える選択肢③の「受傷起点の詳細を聞く」ことになってしまいます。

なぜなら、「親の悩みや感情を聞く」という対応で虐待に関する事実を確認できるかは希望的観測に過ぎませんから、そんな曖昧なやり方ではなく、より正確に虐待の事実の有無を査定できるポイントに絞り込んでいくことが求められるはずです。

なお、他に「親の悩みや感情を聞く」ことの価値を挙げるとするならば、親の心理的支援の視点であろうと思います。

ですが、これもやや苦しいと言わざるを得ません。

なぜなら、①当該医療機関が継続的に関わるという根拠がない、②これから通告を行うとしたら、それ以降の支援は児童相談所に移るのが一般的、③もしも虐待じゃないとすれば、尚更これ以上この件で関わる理由はないし、小児科で親だけの支援を行うという場合はあっても少ない、などでしょうか。

保護者への心理的支援は、むしろ児童相談所職員が気を付けて行うべきことであり、虐待を発見した機関の人間が最優先すべき事柄ではないと考えられます。

もちろん、上述したように「医師と公認心理師での役割分担が話し合われている」のであれば、「親の悩みや感情を聞く」という対応は虐待対応と心理的支援の両立となるものですから、非常に実践的で適切な対応と言えます。

しかし、何度も述べている通り、こうした緊急事態での役割分担を「暗黙に行う:情報共有の描写がない」というのは、失敗したときのリスクが大きいのでやはり選択することはできないと考えられます。

このように、選択肢②の「親の悩みや感情を聞く」というのは、問題の状況設定を整えさえすれば非常に適切な対応として文句なく正答になるわけです。

ですが、問題の状況設定が甘い以上、どうしても納得できる対応として選択肢②を挙げるのは難しいというのが正直なところです。

5件のコメント

  1. 遊先生、いつも大変御世話になっております。78問の根拠あるご解説、ありがとうございます。私事、正答発表をみて、あれっ、とは思いましたが、そのモヤモヤをずっと引きづっておりました。ご解説を拝読させていただき、引っかかっていたものがすとん、と落ちました。
    感謝に堪えません。
    近々、アップされるであろう高坂先生との動画も楽しみにしております。

    1. コメントありがとうございます。

      この問題には他の意見もあろうかと思いますが、やはり「何もやり取りしないまま、親の支援に入っていくことのリスク」があるように感じます。
      あんなに情報共有大事ってゆってたやーん、ということですね。

      さて、高坂先生との動画も第1弾が出ました。
      高坂先生、仕事が早すぎです。
      https://youtu.be/qE7oNSRerIA

  2. 先生いつもありがとうございます。
    ーーー
    こうした状況であれば「医師が本人の診察を行い受傷の客観的判断(いつ頃の傷であるかなどの見立て)を行い、親面接で公認心理師が受傷機転に関する情報を聞き、後でそれを総合して虐待の可能性を見立てる」と見なして選択肢③を選ぶことになるだろうと思います。
    ーーー
    手元に「外傷初期診療ガイドライン:JATEC」がないので、太田祥一医師のブログを参照しました。
    https://www.dtod.ne.jp/ohtablog/article22.php

    受傷機転の確認は診察と一体である問診に含まれます。診察時の「今日はどうしましたか」という質問に代表されるように診察時に確認します。仮に受傷機転の詳細を尋ねるのであれば、患者の身体のどの部位にどのような受傷をしているかを診断している医師が行うべきということになると思います(心理師が受傷機転を保護者に聞いても、医師に伝聞で伝えるのみで、疑義があっても応答ができません)。わたしも選択肢③と②で迷いましたが、③は医師の役割、公認心理師の役割という視点で②を選択しました。

    1. コメントありがとうございます。

      こうした状況であれば「医師が本人の診察を行い受傷の客観的判断(いつ頃の傷であるかなどの見立て)を行い、親面接で公認心理師が受傷機転に関する情報を聞き、後でそれを総合して虐待の可能性を見立てる」と見なして選択肢③を選ぶことになるだろうと思います。

      正直上記に関してはやや苦しいところがあるのは承知しております。
      なぜなら、本問の状況であれば医師が全部やってしまった方が良いわけです。
      ここでわざわざ他職種(公認心理師)を入れる方が、情報が分散してややこしくなるのです。

      >③は医師の役割、公認心理師の役割という視点で②を選択しました。

      おそらく出題者の意図は書かれている通りで間違いないでしょう。

      ですが、本問の状況で(つまり何も連携がない状態で)「ツーカーで」「暗黙で」「言うまでもなく」選択肢②になるというのは、やはり難しいというか、そういうやり方をしているとどこかで取り返しのつかないミスになりそうな気がします。

      過去の公認心理師試験でくどいほどに「情報共有の大切さ」を出題してきたのに、どうしてこの問題に限ってこんな粗い形の連携を前提にして出題するのか理解に苦しむところです。

      とは言え、コメントいただいたように、様々な意見があることは承知しております。
      私の考えとしては「こんな粗い形の連携を前提とした問題を出してはいけない」というものに集約されると思います。

      お返事になっていれば幸いです。

  3. 遊様

    いつも丁寧な解説ありがとうございます。
    高坂先生との対談、早速聞かせていただきました。
    (その話は別な機会に)

    問78ということは、午後の初っ端だったのですね。
    自分は事例問題を先にやっていたので、あまりインパクトはありませんでしたが、
    初めから解いていた方にはいきなりの難問だったのではないかと思います。
    思い返すと、正答の②はまず除外、③と④で迷った形跡があり、
    結局回答にどちらをマークしたのかわからなくなっていました。
    (捨て問該当)

    引っかかっていたのは、③は、怪我の状態と親の説明が整合性があるかを
    医師が判断しなければならないので、医師が直接聞くべき事柄であるはず、
    と考えました。さらに言えば、通告先である市町村や児童相談所、通報先の警察に
    説明する責任も医師にあるはずです。市町村なら児相への送致、児相なら一時保護、
    警察なら事件化への判断に大きく影響するポイントだからです。
    小児科という場の中で、公認心理師がどんなポジションにあるのかは知りませんが、
    こうした切迫した場面でキーとなる受傷機転に関しては、心理師の出る幕では
    ないと考えます。
    ・・・というか、自分がその心理師で医師からそんな指示を出されたら、
    「それは先生の仕事です!」と突き返すと思います。
    医師が聞き取ったあとに、心理師が再確認するのはありかもしれません。
    親の説明が聞くたびに、あるいは相手によって、変わるか否かという点も、
    親についての評価につながるポイントになりますから。

    公式回答を見て、公認心理師試験の答えとしてはそうだったよな、と
    納得でした。
    こうした議論が盛り上がるネタになったという点では、良問だったのでは
    ないでしょうか。

へしこ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です