子どもにとっての個人情報

子どもの個人情報というと、名前、年齢(学年)、家族構成、趣味などが連想されるかなと思います(相談内容は当然として)。
ですが、子どもの視点からすれば、もっと細やかな個人情報というのもあります。

代表的なものとして、しているゲーム名、見ている動画の種類、好きなYoutuber、よく読む本の題名、などです。
これらについては軽く聞くことも多いかなと思うのですが、子どもにとっては結構な個人情報です。

大人であっても文庫本にカバーをかけるように、どういう物語を好むのか、どんな種類のテーマを選ぶのかは、プライベートなことであるのは理解できると思います。
中井久夫先生いわく「秘密結社のようにこっそりと」するのが読書体験ですからね。

以前は読書に限られていた趣味嗜好の発露が、今はゲームや動画などに拡がっています。
ゲームもかつては皆が同じものをしているということが少なくなかったですが(ドラクエ、どこまで進んだ?というのは学校でよく話し合われたテーマだった)、現在ではそれぞれが自分の趣味に合うものを小集団の中で行っているという印象です。
動画に至っては、もっと個人的な趣味嗜好が出やすいかなと。

子どもとの面接を行うとき、これらについて話題になることも多いのですが、聞かれたときに戸惑う子どもも少なくありません。
ただ聞く側に「これは結構な個人情報である」という認識が無いと、子どもの聞かれたときの戸惑いに鈍感になってしまうこともあり得ます。

もちろん、個人情報だから聞かないように、というのではありません。
それが「結構な個人情報である」という認識が重要なのです。

心理療法における個人情報の取り扱いでは、それを公にするか否かというパブリックな面だけでなく、それが「その人にとって個人的な情報である」という認識を持って接しているか否かという極めてプライベートな面への細やかさが重要だと思います。
特に子どもたちは、自分たちの個人情報を「重要な情報と認識してくれている」という細やかさには鋭敏です。

実践上は、ゲームや動画の話題が出てきたときに「それって何をしているか(観ているか)聞いてもいい?」と問うことへの許可を挟みこむという形になるでしょうか。
そういうひと手間をクライエントはしっかりとキャッチしてくれます。
料理でもカウンセリングでもひと手間を惜しまないことですね。

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