公認心理師 2018-8

心理検査についての問題です。
ブループリントには、各心理検査の名前は載っていませんでしたが、やはり細かく出題してきましたね。

解答のポイント

YG性格検査の特徴を理解していること。
それ以外の検査について理解していること(消去法でいくなら)。

選択肢の解説

『①MASは、多面的にパーソナリティを測定する検査である』

MASは「Manifest Anxiety Scale(顕在性不安尺度)」のことを指す。
1953年にテイラーが、キャメロンの慢性不安反応に関する理論を基にMMPIから選出された不安尺度50項目に、妥当性尺度15項目を加えた65項目で構成・作成した。

身体的不安・精神的不安を含めた各種不安の総合的な程度を測定できる不安のスクリーニングテストであり、選択肢①の内容は誤りである。

『②IATは、顕在的意識レベルの自尊心の個人差を測定する検査である』

IATとは、潜在的連合テスト(Implicit Association Test)のことを指す。

潜在連合テスト(IAT)は、様々な社会的対象に対する潜在的態度を測定することができる手法で、潜在的態度とは、人々が意識することができないが所有している態度であり、人々の日常生活における様々な行動に影響を与えると考えられている。
このことから、選択肢②の内容は誤りである。

『③NEO-PI-Rは、パーソナリティの6つの次元を測定する検査である』

5因子人格検査として世界的に有名なNEO-PI-Rの日本標準化版である。
神経症傾向・外向性・開放性・調和性・誠実性を併せた5次元から人格を診断する。
これはBigFiveの5因子ですね。

なお、NEO-PI-Rは5次元を6つの下位次元で構成され、より詳細に診断できるとされている。
この内容を「6次元」と取るか否かであるが、検査の基本として「BigFiveの5因子を使っている」ということが肝となる検査と思われるので、選択肢③は誤りと判断しておきます。

『④東大式エゴグラムは、被験者の自我状態をP、AまたはCの3タイプのいずれか1つに分類する検査である』

交流分析の構造分析において、心の中に親(P)、大人(A)、子ども(C)の3つの自我状態の存在を仮定し、それによってパーソナリティ特徴を捉えることを目的としている。

その自我状態間のバランスを視覚的に表現したものがエゴグラムである。
よって選択肢④のように、いずれかのタイプに分類するのではなく、人の自我状態には3つの自我状態が存在すると考え、そのバランスを見ていくものなので、誤りと言える。

ちなみにPはCPとNPに、CはACとFCに細分類される。

『⑤YG性格検査は、パーソナリティの12の特性を測定する120項目への反応を通して被験者を典型的な型に分類する検査である』

YG性格検査の基本情報として「特性論と類型論の両方に関連させた質問紙検査」ということが重要となる。

「特性論」とは選択肢⑤の内容にもあるように、12特性を120項目を用いて測定する点を指す。

そして12の下位尺度得点の他に系統値というものを算出し、5つの類型(A型~E型)に分けることができる。
この5つの型がいわゆる「類型論」に該当するもので、選択肢⑤の「被験者を典型的な型に分類する検査」という表現と一致すると思われる。

おそらく選択肢⑤の「典型的な型に分類する」という点で、この選択肢を誤りと判断した方も多いのではないでしょうか。
YGの結果には、純粋なA型~E型だけでなく「混合型」も設定されており、こうした知識を持っていると間違えやすくなるのかなと思います。

なお、この「混合型」などの亜型の存在は、臨床心理士の過去問に出題されており、これらの内容を「しっかり勉強した人」ほど間違えやすくなっちゃうのかもしれません。

上述した通り、「典型的な型に分類する」という文言は「類型論」として結果が出るという意味合いで解釈することが可能なので、選択肢⑤が適切と思われます。

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