公認心理師 2018追加-129

新版K式発達検査について、正しいものを2つ選ぶ問題です。

この検査は、Gesell,A.の発達理論に基づいた検査であり、京都国際社会福祉センター1951年に嶋津峯眞、生澤雅夫らによって、京都市児童院(1931年設立、現・京都市児童福祉センター)で開発されました(誤植がありましたので訂正します。ご指摘くださった方、ありがとうございます)。

この検査は328項目で構成されています(実施項目は20~50項目ほど)。
同一の被検者に対して、数回の検査を実施することが可能であるため、結果を並べて分析できる(=発達の変化を捉えやすくなる)という利点があります。

聴取による判定をできるだけ避けて、検査場面の子どもの行動から判断する検査です。
※保護者からの聴取による判定は、「禁止」という強い文言ではなく「薦められていない」というニュアンス。やむを得ない場合は聴取による判定も有り得る。

新版K式については、以前の記事でまとめているのでご確認ください。

解答のポイント

新版K式発達検査の概要を把握していること。

選択肢の解説

『①発達年齢と発達指数を算出する』
『③運動、社会性及び言語の3領域で測定する』

新版K式発達検査において、結果として算出するのは以下の項目になります。

  • 全領域
  • 姿勢・運動領域
    粗大運動(全身を使った運動:走る、歩くなどのこと)を中心とする運動に要する身体発達の度合い。3歳6か月以降は課題が設定されていない。
  • 認知・適応領域
    手先の巧緻性や視知覚の力などの視覚的な処理と操作の力
  • 言語・社会領域
    言葉のほかに大小や長短などの抽象的な概念や数概念を含む対人交流の力

選択肢③の内容では、「認知・適応領域」が欠けていますね。


上記の項目について、発達年齢(検査時点での発達状況を年齢に換算した)と発達指数(生活年齢と発達年齢の比率)を算出します

年齢層によって、上記の検査項目の割合が変化します。
例えば、乳児は「姿勢・運動領域」の項目が多くなります(当然ですね)。

以上より、選択肢①は正しいと判断でき、選択肢③は誤りと判断できます。

『②継次処理尺度と同時処理尺度から成る』

継次処理尺度・同時処理尺度と言えばK-ABC(公認心理師試験ではKABCと記載されています)ですね。
KABCは、Kaufman, A.S. & Kaufman, N.L.(1983)により作成されました。
認知処理過程尺度における問題解決と、習得度尺度のある事実に対する知識を明確に区別して、前者の一連の技能を知能と解釈しています。

継次処理能力、同時処理能力、計画能力、学習能力、流動性推理や結晶性能力など幅広い能力を測定でき、検査結果を教育的働きかけに結び付けて活用しやすいとされています
漢字や文章作成などの書き課題や算数課題などが取り入れられているので、検査結果そのものが学習の見立てや支援に生かすことがしやすいです。

もともとは継次処理能力・同時処理能力という表現が有名な検査でしたが、改訂版のK-ABCⅡでは、認知処理を、継次処理と同時処理だけでなく、学習能力、計画能力の4つの能力から測定するようになっています。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。

『④生後100日頃から成人まで適用可能である』
『⑤成人用検査として開発され、徐々に適用範囲を拡大した』

新版K式発達検査は、0歳から成人まで適用可能とされています。
改訂前は0歳3か月~14歳0か月までだったが、これを拡大して0歳3か月未満児に対する尺度を整備するとともに成人まで適用可能になっています
つまり、子ども用の検査として開発され、その後適用範囲を拡大したということですね。

また生後100日ぐらいから適用可能ですが、用紙には1~30日の項目から始まっています。
ただし、生活年齢100日未満の場合、発達年齢は算出できません
1~30日の項目があるのは、生後100日程度の乳児でも発達に遅れがあれば1~30日の項目がクリアできているかが重要になるためです

ちなみに生後3日から適用可能な検査としてはブラゼルトンがありますね。
以上より、選択肢④は正しいと判断でき、選択肢⑤は誤りと判断できます。

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