公認心理師 2022-58

少年法に基づく触法少年の扱いに関する理解を問う内容ですね。

正答を選びにくいものもありますが、正答以外の選択肢を除外することがしやすいので比較的解きやすい内容だったと思います。

問58 触法少年について、正しいものを2つ選べ。
① 触法少年は、少年院に送致されることはない。
② 触法少年に対する審判結果は、被害者には通知されない。
③ 触法少年とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年をいう。
④ 触法少年は、警察官による事件の調査に関し、いつでも弁護士である付添人を選任することができる。
⑤ 児童相談所は、警察から送致を受けた触法少年の事件については、家庭裁判所に送致しなければならない。

関連する過去問

公認心理師 2018追加-20

解答のポイント

触法少年に関する処遇を把握している。

選択肢の解説

① 触法少年は、少年院に送致されることはない。
⑤ 児童相談所は、警察から送致を受けた触法少年の事件については、家庭裁判所に送致しなければならない。

まずは選択肢⑤に関連のある少年法の条項を抜き出してみましょう。


第六条の六 警察官は、調査の結果、次の各号のいずれかに該当するときは、当該調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならない。
一 第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件について、その少年の行為が次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものであると思料するとき。
イ 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪
ロ イに掲げるもののほか、死刑又は無期若しくは短期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪

二 前号に掲げるもののほか、第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき。
2 警察官は、前項の規定により児童相談所長に送致した事件について、児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置がとられた場合において、証拠物があるときは、これを家庭裁判所に送付しなければならない。
3 警察官は、第一項の規定により事件を送致した場合を除き、児童福祉法第二十五条第一項の規定により調査に係る少年を児童相談所に通告するときは、国家公安委員会規則の定めるところにより、児童相談所に対し、同法による措置をとるについて参考となる当該調査の概要及び結果を通知するものとする。

第六条の七 都道府県知事又は児童相談所長は、前条第一項(第一号に係る部分に限る)の規定により送致を受けた事件については、児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置をとらなければならない。ただし、調査の結果、その必要がないと認められるときは、この限りでない。
2 都道府県知事又は児童相談所長は、児童福祉法の適用がある少年について、たまたま、その行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、同法第三十三条、第三十三条の二及び第四十七条の規定により認められる場合を除き、これを家庭裁判所に送致しなければならない。


選択肢⑤の「警察から(児童相談所への)送致を受けた触法少年」というのは、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」もしくは「それ以外に、死刑又は無期若しくは短期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」になるようなことをした犯罪少年もしくは触法少年であることがわかりますね。

そして児童相談所長は、その送致を受けた少年に対しては「児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置をとらなければならない」とされています。

ここで、児童福祉法第二十七条第一項第四号をチェックしましょう。


第二十七条 都道府県は、前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。
一 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。
二 児童又はその保護者を児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ、又は市町村、当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること。
三 児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること。
四 家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること。


ここでポイントになるのは「家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること」という文言ですね。

選択肢⑤は「家庭裁判所に送致しなければならない」とありますが、実際の児童福祉法の条項には「家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童」だけを家庭裁判所に送致することになります。

つまり、児童相談所は「家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童」以外は児童福祉法に準じた対応を取っていくことになるわけですね(具体的には、児童福祉法第26条や第27条)。

具体的には、触法事件が児童相談所長に送致されると、児童福祉司や児童心理士が少年の成育歴や性格、家庭環境、学校での状況、交友関係などを調査し、ケース会議を開き、触法少年にふさわしい処分を検討することになります。

処分は、①家庭裁判所へ送致する、②児童相談所において福祉的な措置をとる、の2つに大別でき、①に関しては選択肢⑤の内容ですが、当然これだけにならず②の福祉的な措置を取ることもあり得るということですね。

福祉的な措置とは具体的に以下のようなものを指します。

  • 児童や保護者に訓戒を与え、誓約書を提出させる
  • 児童福祉司や児童委員に児童や保護者を指導させる
  • 児童家庭支援センターの職員に委託して児童や保護者を指導させる
  • 児童を里親に委託する
  • 児童を児童養護施設に入所させる

これらは児童福祉法第27条の内容になりますね。

なお、実際に家庭裁判所に送致された場合、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは家庭裁判所が検察官送致決定をします(故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で、罪を犯したとき16歳以上の少年については,原則として検察官送致決定をしなければなりません)。

その他の犯罪少年、触法少年、虞犯少年に対する家庭裁判所の決定には、都道府県知事又は児童相談所長送致(18歳未満に限る)、保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致)などがあります。

こちらは少年法第24条に規定がありますね。


第二十四条 家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
一 保護観察所の保護観察に付すること。
二 児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。
三 少年院に送致すること。
2 前項第一号及び第三号の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。


こちらは選択肢①の正誤判断になる内容ですね。

家庭裁判所から逆送されて起訴、懲役または禁錮となった場合に少年院に入ることもありますが(少年法第56条第3項の「懲役又は禁錮の言渡しを受けた十六歳に満たない少年に対しては、刑法第十二条第二項又は第十三条第二項の規定にかかわらず、十六歳に達するまでの間、少年院において、その刑を執行することができる」)、選択肢①は「送致」という表現を使っていますから、こちらは該当しないと判断していいですね。

あくまでも選択肢①の内容は家庭裁判所の判断として少年院送致があり得るか否か、を問うているものと考えておきましょう。

以上より、触法少年の送致を受けた児童相談所の対応には福祉的なものもあり、また、家庭裁判所に送致された場合には少年院送致もあり得ます。

よって、選択肢①および選択肢⑤は誤りと判断できます。

② 触法少年に対する審判結果は、被害者には通知されない。

本選択肢と関連のある少年法の条項(被害者等に対する通知)を見てみましょう。


第三十一条の二 家庭裁判所は、第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、最高裁判所規則の定めるところにより当該事件の被害者等から申出があるときは、その申出をした者に対し、次に掲げる事項を通知するものとする。ただし、その通知をすることが少年の健全な育成を妨げるおそれがあり相当でないと認められるものについては、この限りでない。
一 少年及びその法定代理人の氏名及び住居(法定代理人が法人である場合においては、その名称又は商号及び主たる事務所又は本店の所在地)
二 決定の年月日、主文及び理由の要旨
2 前項の申出は、同項に規定する決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。
3 第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により通知を受けた者について、準用する。


上記の通り、「通知をすることが少年の健全な育成を妨げるおそれがあり相当でないと認められるもの」以外に関しては、また、被害者等からの申し出があるときには、事件を終局させる決定≒審判結果が通知されるということになります。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。

③ 触法少年とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年をいう。

本選択肢と関連のある少年法の条項を抜き出しましょう。


第三条 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
一 罪を犯した少年
二 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
三 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
2 家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年及び同項第三号に掲げる少年で十四歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。


上記の第3条第1項第1号が「犯罪少年」、第2号が「触法少年」、第3号が「虞犯少年」ということになります。

本選択肢の内容は触法少年を指していると見て間違いないですね。

よって、選択肢③は正しいと判断できます。

④ 触法少年は、警察官による事件の調査に関し、いつでも弁護士である付添人を選任することができる。

本選択肢と関連のある少年法の条項を見ていきましょう。


第六条の二 警察官は、客観的な事情から合理的に判断して、第三条第一項第二号に掲げる少年であると疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合において、必要があるときは、事件について調査をすることができる。
2 前項の調査は、少年の情操の保護に配慮しつつ、事案の真相を明らかにし、もつて少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものとする。
3 警察官は、国家公安委員会規則の定めるところにより、少年の心理その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員(警察官を除く。)に調査(第六条の五第一項の処分を除く。)をさせることができる。

第六条の三 少年及び保護者は、前条第一項の調査に関し、いつでも、弁護士である付添人を選任することができる。


第6条の2にある「第3条第1項第2号に掲げる少年」とは触法少年のことですから、触法少年は弁護士である付添人を選任できることがわかりますね。

なお、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に係る刑罰法令に触れるものについて、第十七条第一項第二号の措置がとられており、かつ、少年に弁護士である付添人がない場合において、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができます(少年法第23条の3:国選付添人)。

以上より、選択肢④は正しいと判断できます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です