DSMの変更点:統合失調症、気分障害、不安障害、解離性障害

DSMの変更がそれほど多くない疾患についてまとめました。

【統合失調症】

◎カテゴリー名変更

「統合失調症および他の精神病性障害」から「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」へ。
※統合失調型パーソナリティ障害 → 妄想性障害 → 短期精神病性障害 → 統合失調症様障害 → 統合失調症 → 統合失調感情障害というスペクトラムとして捉えるようになった。

◎症状

以下のうち2つ以上、各々が1カ月間ほとんどいつも存在する。
※これらのうち少なくとも1つは以下の1~3のいずれかである。

  1. 妄想
  2. 幻覚
  3. まとまりのない会話
  4. ひどくまとまりのない又は緊張病性の行動
  5. 陰性症状

◎期間

症状は一過性のものではなく、6か月間継続する。6か月の間に症状基準のいずれかが1カ月存在する。特に変更は無し。

◎型類型の廃止

妄想型・解体型・緊張型・鑑別不能型・残遺型という類型を廃止した。

◎生涯有病率

国や地域による差は少なく、ほぼ1%とされている。
日本の平成23年の患者調査によれば、生涯有病率は約0.8%。
年々少なくなっているという印象を持つ人も多いため、1%というワールドスタンダードに変更が生じる可能性も。

【気分障害】

◎カテゴリーの分割

Ⅳ-TRでは、「気分障害」という大きな分類の中に、うつ病エピソードのみを呈する「うつ病性障害」と、躁病エピソードとうつ病エピソードを呈する「双極性障害」が含まれていたが、DSM-5より「抑うつ障害群」と「双極性障害および関連障害群」という別個の分類が設けられた。

◎抑うつ障害群

✔新たに加わった障害:重篤気分調節症、持続性抑うつ障害(気分変調症)、月経前不快気分障害であり、歴史と導入理由の記載有り。
✔DSM-IVの抑うつエピソードの診断基準から死別反応除外基準が削除され、死別後でも2週間の持続で診断可能となった。

◎双極性障害および関連障害群

✔混合性エピソードは廃止され、「混合性の特徴を件う」という特定用語を用いることになっている(臨床上も稀にしか見ない)。
✔Ⅰ型とⅡ型の違いは理解しておく(躁病エピソードと軽躁病エピソード)。

【不安障害】

◎カテゴリーの分割

Ⅳ-TRでは不安障害の下位分類として、①全般性不安障害、②パニック障害、③恐怖症、④強迫性障害、⑤心的外傷後ストレス障害(PTSD)、⑥急性ストレス障害(ASD)が含まれていた。そのうち、④強迫性障害を「強迫症および関連障害群」に、⑤心的外傷後ストレス障害(PTSD)と⑥急性ストレス障害(ASD)を「心的外傷およびストレス因関連障害群」として分けられた。

◎カテゴリーの再編成

Ⅳ-TRでは「幼児期、小児期、または青年期の他の障害」の下位分類だった「分離不安障害」と「選択性緘黙」を、今回「不安障害群」の中に含めることとなった。

【解離性障害】

◎カテゴリーの再編成

Ⅳ-TRでは下位分類として、①解離性健忘、②解離性遁走、③解離性同一性障害、④離人症性障害があったが、5になると、②解離性遁走が①解離性健忘の中に含みこまれることになった。

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