Banduraの自己効力感

Banduraは社会的学習に関連して、人間の行動を決定する重要な要因として自己効力感を提唱しました。
臨床心理士資格試験においては、その定義以上の問題が出たことはほとんどありませんが、公認心理師受験に向けてはもう少し掘り下げておきましょう。

【定義】

自己効力感は「自分が行為の主体であり、自分が行為を統制しており、外部からの要請に対応できるという確信」のことを指します。

「結果効力予期(ある行動がどのような結果に至るかという予期)」と「効力結果予期(その結果を生み出すために必要な行動をうまくこなすことができるかという予期)」という認知についての理解が重要です。
(誤植のご指摘をいただきましたので、修正しました:2018/9/19)

Banduraは、ある課題や状況において自分がどの程度の「効力予期」を持っているかを知覚することを「自己効力感」と呼んでいます。

【自己効力感の変動に影響する要因】

①達成経験:いわゆる成功体験で、自分で何かに臨み、成功したという経験を指す。失敗経験は、自己効力感が確立されていないと、効力感が弱まることになる。

②代理経験:自分以外の他人が何かを達成・成功するのを観察すること。モデリングおよびコンピテンスと関連があります。

③言語的説得:自身の行為を言葉で励まされること(特に①の経験を褒められると良い)。松岡修造がやってくれそう。

④生理的情緒的高揚:生理的状態が自己効力の判断の手掛かりになる。生理的な状態の解釈を変えることで、自己効力感を高めることができる(情動の二要因理論に似ていますね)。

※これらの中でBanduraが一番重要としていたのが、①達成経験になります。

【対処すべき課題や標的とする行動を細分化する基準】

①マグニチュード:課題を難易度順に並べたときに自分がどこまで解決可能であるかという解決可能性水準のこと。

②強度:①で示されたそれぞれの行動をどのくらい確実に遂行できるかという主観的確率のこと。

③一般性:特定の具体的な行動に対して形成された自己効力感が、場面・状況・行動を超えてどの程度まで一般化するかという次元のこと。

つまり「マグニチュード」では、スモールステップ的に課題を難易度順に並べる(ここでは仮にA→B→Cの順で困難になっていくとする)。
「強度」では、A・B・Cそれぞれに対して、どの程度できそうかなー、と感覚的に捉える。
Banduraは、この過程によって、自らの行動の変容を予測したり、情動反応を抑制することが可能になると考えています。

ちなみに「一般性」は、自己効力感が異なる課題間である程度一貫することが想定されており、課題や場面にそれほど依存しないとされています。

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