オペラント条件づけで、逃避学習や回避学習を最も成立させやすいものとして、正しいものを1つ選ぶ問題です。
オペラント条件づけの基本的な知識を問うている内容になっています。
公認心理師2018-7が類似問題となっています。
臨床心理士資格試験でも、この辺については出題されているので解いてみると勉強になると思います。
確か平成前半の問題の方がクセがあって逆に良いかもしれません。
解答のポイント
オペラント条件づけの基本的な理解をしておくこと。
具体例を通して、正の強化・負の強化・正の罰・負の罰を理解することが望ましい。
選択肢の解説
こちらでは基本的な用語の解説を行った後、各選択肢の検証に移ります。
【オペラント条件づけ】
オペラント=自発するという意味です。
自発していた行動(オペラント行動)に続いて強化子を提示もしくは除去することで、そのオペラント行動がその後に自発する頻度が変化(増加or減少)します。
つまり、元々なにかしらの反応があって、その後に刺激を与えるというのがオペラント条件づけの特徴と言えます。
これに対して、レスポンデント条件づけは、まず刺激を与えて出現する反応に対して操作を行っていきます。
この「反応→刺激」がオペラント、「刺激→反応」がレスポンデントという、単純な見分けではありますが基本として覚えておくことが大切です。
もちろん実際の見分けはもう少し複雑なので、臨床心理士資格試験などの過去問を参照に見分ける訓練をしておきましょう。
【強化子の種類と操作】
強化子を提示することを「正の○○」と言い、除去することを「負の○○」と呼びます。
あくまでも提示・除去で「正の」「負の」という呼び方になることを理解しましょう。
そして上記の「○○」の部分には、「強化」か「罰」が入ります。
強化子の提示or除去によって、オペラント行動の反応頻度が増大することを「強化」と呼び、逆に反応頻度が減少することを「罰」と呼びます。
すなわち、「強化子を提示or除去」+「反応頻度の増加or現象」の4パターンが生じるわけです。
以下の通りです。
- 強化子の提示+反応頻度の増大=正の強化
- 強化子の提示+反応頻度の減少=正の罰
- 強化子の除去+反応頻度の増大=負の強化
- 強化子の除去+反応頻度の減少=負の罰
ちなみに正の強化と負の罰を生じさせる強化子は「報酬刺激」であり、正の罰と負の強化を生じさせる強化子は「嫌悪刺激」になります。
考えてみれば当然かもしれませんが、しっかりと押さえておきましょう。
【逃避学習と回避学習】
嫌悪刺激を経験している状況から逃れることを「逃避」といい、これから経験するであろう嫌悪刺激を事前に避けることを「回避」と呼びます。
逃避学習とは、「経験によって、嫌悪刺激が呈示されてから逃避反応がなされるまでの反応時間が短縮されていく学習過程」を指します。
例えば、頭痛がひどいときに薬を飲むという行動を採って頭痛が治まれば、次に頭痛が生じたときに薬を飲むという行動がすぐに採られるようになります。
すなわち頭痛の除去(強化子の除去)によって、薬を飲むという行動の増加(反応頻度の増大)が生じたということになり、このことを上記の4パターンで判断すれば「負の強化」ということになるのがわかります。
回避学習とは、「嫌悪刺激を予告する刺激が呈示され、刺激呈示中に特定の反応をすれば嫌悪刺激は来ないという学習」を指します(当然、反応は増大します)。
代表的な実験として、往復箱(シャトルボックス)の実験があります。
仕切られた2つの部屋があり、ラットを入れた一方の部屋に電流を流すと、もう一方の部屋に逃避します。
電流前に警告音を呈示することで、次第に電流呈示前に移動するようになります。
これが、「回避学習」が完成した姿になります。
こちらは移動するという行動を採ることによって電流という嫌悪刺激が回避され(強化子の除去)、その結果として回避行動の増大(反応頻度の増大)が生じたということになり、やはり「負の強化」であることがわかりますね。
『①正の罰』
『②負の罰』
『③正の強化』
上記の内容より、これらは逃避学習や逃避学習を生じさせるとは言えません。
よって、選択肢①、選択肢②および選択肢③は誤りと判断できます。
『④負の強化』
上記の通り、逃避学習や回避学習は、強化子の除去(負の)によって反応頻度の増大(強化)という枠組みで生じることがわかります。
よって、選択肢④が正しいと判断できます。