公認心理師法

公認心理師法については必出と考えてよいでしょう。
かなり細かい点まで問われる可能性がありますから、しっかり確認したいところですね。

目的と定義

まずは公認心理師法の目的と定義を押さえておきましょう。
目的はどの法律を学ぶ上でも、必ず押さえておかねばならない事項ですね。

「目的」は公認心理師法第1条に規定されています。
端的に「資格を定めて、その業務の適性を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」と定められていますね。
短い文章なので、そのまま覚えてしまってもよいでしょう。

例えば、「国民の心の健康」を「国民の心身の健康」といった形での出題があるかもしれません。
そこまで細かくて嫌らしいのは無いと信じたいですけどね。

「定義」は公認心理師法第2条に規定されています。
以下の4号がそれに当たります。

  1. 心理に関する支援を要する者(以下、要心理支援者)の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
  2. 要心理支援者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言指導、その他の援助を行うこと。
  3. 要心理支援者の関係者に対し、その相談に応じ、助言指導、その他の援助を行うこと。
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

臨床心理士との違いとして、とても大きいのが「研究」に関する事項が入っていないことと言えるでしょう。
もちろん、公認心理師だから研究をしなくてよいということを言いたいのではないのでしょうが。

【2018-108、2018追加-47⑤】

信用失墜行為の禁止

第40条:公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

信用失墜行為は執務時間の内外を問わず、また、職務に直接は関係のない行為であっても該当する場合があります。
また、犯罪行為にも限定されず、道徳的非難の対象となりうる個人的なスキャンダルや、プライベートでの著しく粗野な態度なども、信用失墜行為に該当する可能性があります。

意外と見落としがちなのは「公認心理師の信用」という点です。
あくまでも「社会的な信用」のことを指していると見てよいわけで、例えば「クライエントからの信用を失う」ということなどは該当しません。
それはクライエントの心理的課題などにも拠りますからね。

また単に「民事裁判で訴えられる」ということも、端的に「信用失墜行為」に該当するわけではないことは理解できると思います。
言いがかりに近い形で民事裁判で訴えられることもあるでしょうからね。

【2018-30③、2018追加-1②③、2018追加-47③】

秘密保持義務

第41条:公認心理師は、正当な理由なく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。
この場合、正当な理由とは何か?、をしっかりと想定しておくことが重要になります。
  • 要心理支援者の許可を取り、その支援に資する行為のために活用するとき(情報共有等の場面)
  • 要心理支援者の許可はもらえなかったが、自傷他害の可能性が高いと判断できるとき。
  • その他、法律上規定されている事柄(養育者による虐待が疑われ児童相談所に通告する場合)。
具体的にはこれらが該当すると思いますが、実際には色んな状況があり得ます。
その時々の状況で、それまでのパラダイムからシフトできることが柔軟な知性の持ち主と言えますからね。

ただし、単に「話した方が支援に効果的だろう」という程度では、秘密を漏らしてはいけないのはわかると思います。
そういう風に思える場合もあるのでしょうけど、クライエントが望まないことをしてしまったということ自体が、後々の治療関係に暗い影を落とすと考えられます。

秘密保持義務の具体的状況を押さえておきましょう。
  • 教育:
    相談内容を担任教師に報告する場合、クライエントである児童生徒の同意が必要。
  • 医療:
    全職種が守秘義務を有していたとしても、クライエントの秘密の扱いについて本人に同意を得る必要がある。
  • 司法:
    被害者からカウンセリングで得た犯人に関する情報の提供を求められても、正当な理由がなく警察官に伝えてはならない。
    注:犯罪にも親告罪・非親告罪など分かれており、被害者の意向を汲む部分がある。
  • 産業:
    クライエントから許可を得れば、クライエントの上司に対して業務量の調整を提案してよい。
    注:代わりにやることが望ましいかどうかは臨床的判断!
他にもたくさん考えられるでしょうが、やはり「どのような情報であっても、例外的な状況を除いてはクライエントの許可が必要」というテーゼが通用しそうです。

裏を返せば「クライエントの許可があれば、基本的にはOK」とも言えますが、その場合はカウンセラー側の倫理観や見立てに基づいているかどうかが問われるのでしょうね。
むしろそちらの方が大変なような気もしますが。

【2018-30④、2018-47、2018追加-42③④、2018追加-47④】

連携等


「連携等」については、公認心理師法第42条に規定されています。
非常に重要な条項と言えます。

  • 第1号:
    公認心理師は、クライエントに対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携のもとで総合的かつ的確に支援が提供されるよう、関係者との連携を保たねばならない。
  • 第2号:
    公認心理師は、クライエントに主治医がいる場合、その指示を受けねばならない。
特に第2号は、最後まで公認心理師という資格が適切であるかどうかが議論される背景となりました。
「公認心理師法第42条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準」もしっかりと押さえておきましょう。
上記の条項の語尾からもわかるとおり、連携等は「法的義務」となっています。
過去問では、連携の「法的義務」と資質向上の「努力義務」を背景とした問題が出題されており、当然ですが連携が重要度が高いわけです(資質向上の重要度が低いわけではないのですけどね)。
より実践的事項として「さまざまな分野の多世代の者たちと積極的に連携する」「既存のソーシャルサポートネットワークを大切にし、必要であれば新たなネットワークを作って連携することも躊躇わない」なども重要でしょう。
以下、上記の第2号に関する私見です。
第2号への反対意見は「一理ある」と思えるものですが、同時に「医師と同等の責任を負うことができるのか」という点についても考えねばならないと私は思っています。
例えば、人の生き死にに係わることにどの程度責任を持って方向性を示すことが可能なのか、です。
私は、人の生き死にという場面で医師の指揮下に置かれることは致し方のないことだと思っています。
そして、そこの責任を委ねるということは、それ以外の場面での責任も委ねざるを得ないと考えています。
「そっちの責任は持ちたくないけど、こっちのことは任せてよ」というのはあまりにも幼稚な言い分であると思うのです。
例えば、2018追加-2の問題のように「精神科病院に通院中のクライエントが特定の人へ危害を加える可能性があると判断される場合」などに、医師にそのことを伝えることは第一選択になると思います。
もちろん、「私は人の生き死にの場面であっても責任を持って決断するし、その決断の責任を自分がしっかりと負います。どんなことがあっても」という意識をお持ちの方もおられるでしょうし、そういう意識の方がこの第2号に反対しているのだろうと思います。
ですが、そのためには単に法律上の文言だけでなく、社会的な状況等を変えていくことまでが求められるということになりますね。
【2018-3、2018-78、2018追加-2】

資質向上の責務

公認心理師法第43条の「資質向上の責務」では以下の通りに記されております。
「公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない」

気をつけねばならないのが、資質向上の責務は「努力義務」になっているという点です。
もちろん普通に考えて、「資質向上の責務に違反するってどういうことを指すの?」と問われれば難しいですよね。
例えば、SVを受けていないという人もいるでしょうが、このことで「資質向上の責務」に違反しているとは言えないでしょうし、違反していると見なされたとしても、それによって具体的な罰則があるわけでもないことがわかります。

【2018追加-1④】

名称の使用制限

公認心理師法第44条には「名称の使用制限」が以下のように規定されています。

  1. 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない
  2. 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない

公認心理師法第2条にも以下のように記載されています。
「この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう」

これらは公認心理師が「名称独占資格」(資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格)であることを示しています。
これに対して「業務独占資格」(資格を持っている人だけが、独占的にその仕事を行うことができる)があります。

【2018追加-47①】

登録取消し

公認心理師法第32条には「登録取消し」について規定されています。

  1. 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。
     ①第三条各号(第四号を除く)のいずれかに該当するに至った場合
     ②虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合
  2. 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条(信用失墜)、第四十一条(秘密保持)又は第四十二条第二項(医師との連携)の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる
このように、取消事項について具体的に定められています。
やはり、信用失墜、秘密保持、医師との連携については重要であることがわかりますね。
ここで重要なのは「連携等」については、医師との連携に限定されているという点です。
医師との連携を怠った場合は登録取消し事由となりますが、それ以外の専門家との連携を怠っても第32条の規定には引っかからないということです。
併せて覚えておかなければならないのは、上記にもある第3条の内容です。
第3条では「欠格事由」について定めており、これらの該当する人は公認心理師になることができないわけです。
言い換えれば、資格取得後でも欠格事由に該当すれば登録が取り消されるということですね(上記の第1項第1号で示されていることです)。
第3条の内容は以下の通りです。
  1. 成年被後見人又は被保佐人
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  3. この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  4. 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
ちなみに、成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所より後見開始の審判を受けた者を指します(民法7条、8条)。
【2018-30⑤、2018追加-1①⑤】

法的義務違反

以下の通り、法的義務違反については定められています。
特に実務に関連する事項については押さえておきましょう。

第46条:第41条(秘密保持義務)の規定に違反したものは、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金。
※禁錮(刑法13条)とは受刑者を刑事施設に拘置する刑であり、懲役(同12条)とは、受刑者を刑事施設内で拘置し、工場などで所定の作業を行わせる刑。

第47条:第16条第1項の規定に違反したものは、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金。

第48条:第22条第2項の規定による試験事務又は登録事務の停止の命令に違反した時は、その指定機関又はその役員又は職員は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金。

第49条:次の各号のいずれかに該当するものは、30万円以下の罰金。
 ①第32条第2項の規定が運用されているのに公認心理師を名乗った人。
 ②第44条の規定に違反した人。
第50条:次の各号のいずれかに該当すると、30万円以下の罰金。
 ①第17条の規定に違反したもの。
 ②第19条の規定による報告をしなかったもの。
 ③第20条第1項の規定による立ち入り等を拒んだ者。
 ④第21条の許可を受けずに試験事務又は登録事務の全部を廃止した時。

【2018-30②、2018追加-47②】

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