公認心理師 2018-78(修正・最終版)

この問題については以前解説を行いましたが、以下の通り修正します。
以前の記事をご確認のうえで、以下を読み進めて頂けると幸いです。

本問は選択肢②を正答と捉えておりましたが、公式回答では選択肢⑤が正答となるとのことでした。

ここでは、選択肢②を「適切」とした判断の修正と、選択肢⑤を「不適切」とした判断の修正を行っていきます。

なお、ここでの解説は、以前の記事でコメント頂いた方のご指摘に拠っている部分が多いことを申し添えておきます。
(コメント頂いた方、ありがとうございます)

何を基準に正誤の判断をすべきだったか

以前の解説をまとめると以下の通りです。

  • 選択肢②を「適切」とした基準:
    多職種と連携する上で、専門用語を日常語で話す力が必要で、そのためには専門性の向上が必要。
    自分にできる範囲がしっかりと理解できていないと、他領域と連携を取る上での役割分担や住み分けが難しくなりがち。
    専門性の向上によって、対人援助職としての共通項を見いだすことが可能となり、そこを連携の要として要心理支援者へのアプローチを考えていくことが重要。
  • 選択肢⑤を「不適切」とした基準:
    「業務に関連する」という判断は易々とはできない。
    連携の機会を「研究会や勉強会」に限定しているように読み取れること。
上記を読んでもらえればわかるとおり、かなり選択肢の文章表現に対する解説になっています
更に、上記の内容についてはある程度引用できる文献もありますが、いずれも臨床的な経験則を記したものに留まっております
しかし、本問は上記のような「文章内容」や「経験則」によって判断すべきではなかったと思われます。
公認心理師法第42条の「連携等」では以下の通り記されております。
「公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない
一方、公認心理師法第43条の「資質向上の責務」では以下の通りに記されております。
「公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない
下線部の箇所からもわかるとおり、連携等は「法的義務」があり、資質向上の責務は「努力義務」になっています。
これらを選択肢②および選択肢⑤に置き換えると、選択肢②は「努力義務」に該当し、選択肢⑤は「法的義務」に該当します。
当然、法的義務が優先されるということになりますので、選択肢②については「専門性の向上(努力義務)の有無に関わらず、連携は行わなければならない(法的義務だから)」という点で「最も適切」とは言えないと判断できます。
振り返ってみると、選択肢②を「最も適切」としたのは、専門性の向上が無い状況での連携の困難さを感じる部分が普段の仕事の中で多かったからだと思います。
つまり、個人的体験が影響してしまっていたと言えます。
あくまでも試験の解説ですから、その辺とは距離を置いて考えなくてはいけないですね。

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