投影法のうち、描画法を中心にまとめていきます。
ちなみに「投影法」と「投映法」の両方の表記があり、どちらも正しいとされています。
「こころ」に心理検査という光をもってスクリーンに「映し」、そこに現われた「影」を分析することで、「こころ」の内情を知ろうとすること。
それが心理検査の役割だと思っています。
そのように考えると、「投映」と「投影」のいずれも適切な表記と言えるでしょう。
バウムテストについては、2018-16で出題されています。
公認心理師で出た問題の方が突っ込んだ内容だったと感じます。
一方で、臨床心理士資格試験問題(平成19年 問題70A)と全く同じ内容の選択肢があるなど、重なりも感じさせました。
それ以外の検査については出題されていません。
特に描画法に関しては、地域によって使用頻度がかなり異なるので、出題傾向にはそういった事情も加味されているのかもしれません。
個人的には、枠づけ法は出してほしかったなと思っています。
日本で創案されたものの中でも非常に重要ではないかと思います。
(ロールシャッハ図版の原盤には枠があったということですから、日本が最初というのにも異論はあるかもしれませんが)
バウムテスト
概要
- もともと職業適性検査の一つだったが、Kochが人格検査として再構成した。
①コッホは自動車メーカーから「従業員を適材適所に配属するために役立つ心理テストの開発」を依頼される。
②このとき、グリュンワルドが行っていた「置きテスト」の実験結果を応用した心理テストの開発と取り組み、バウムテストを開発 - 一般的な教示は「実のなる一本の木を描いてください」だが、実については教示しない人も多い。
- 解釈では、樹木の形-形態分析、鉛筆の動き-動的分析、紙面における樹木の位置-空間象徴の解釈、などがある。
関連する理論:空間象徴理論
- グリュンワルドが提唱。
- 被験者に小さな円盤を渡して長方形の紙を示し、「この紙の領域があなたの人生だとすると、現在のあなたはどこの位置にいますか?」と尋ねる。
- 多くの人が左下を「始まり」「始源」と考え、そして右上を、人生の「目標」「終わり」「成果」と考えていた。左下から始まり、時間の経過とともに成長するに従って、右上へと伸びていくと考え、左下から右上へと伸びる対角線を「生命のライン(生命線)」とした。
人物画テスト:DAMとDAP
両方とも人物画を描き、解釈を行う。
ややこしいので間違えないように。
風景構成法
概要
- 中井久夫が考案。芸術療法研究会で河合隼雄が発表した、統合失調症者の箱庭療法から着想を得た。
- もともと枠づけ法に関する着想があった。加えて、箱庭を簡易的・持ち運び可能な形で実施できないか、という考えが合わさり、一気に形作られることになった。
- 検査開始後に、検査者が「フリーハンド」で、「被検査者の目の前」で、枠を描くことが重要である。
- 川・山・田・道・家・木・人・生き物・石・プラスαの順で描いてもらう。それぞれ大景群・中景群・小景群の分類がある。
- 教示では「全体がひとつの風景になるように」と伝える。
- サインペンを用いるのが原法である。
- 彩色の順序等は描き手の自由。
枠の意味
- 枠づけ法自体は、風景構成法の創案経緯の中で開発された。
- 絵画表現を守る意味と、表現を強いるという二重性に特徴がある。
- 枠をつけることで、その中の表現は内面を表現したものになりやすい。
- 一時、統合失調症者に箱庭療法が適用可能か否かを見る資料として、という使い方もされていたと聞く(予備テストとしての扱い)。
HTP
- Buck(1966)によって考案され、1950年前後から用いられている。
- その後、HTPPテスト、統合HTP法などの応用を加えた方法も用いられるようになっている。
- HTPPテストは、BuckのHTP法とMacchoverの人物画法を統合し、家・木・人・別の性の人を課題としてB5判画用紙に鉛筆で描くように求める方法として標準化されている。
動的家族画
- Burns&Kaufmanによって考案され、加藤孝正によって日本に紹介された。
- 1970年ごろから面接の媒介としても描画が使われるようになり、動的家族画も活用されてきた。
- 従来の家族画法と異なり、教示の中に家族員の「動き」を入れてある。「あなたを含めてあなたの家族が何かをしているところを描いてください」と教示することで、家族力動が表現されやすい。