公認心理師 2024-49

DSM-5における言語症/言語障害の特徴に関する問題です。

工夫も何もない、ただ診断基準を把握していれば良いという問題ですね。

問49 DSM-5の神経発達症群/神経発達障害群における、言語症/言語障害の特徴として、不適切なものを1つ選べ。
① 使用できる語彙が少ない。
② 構文能力が限定されている。
③ 話法における障害が認められる。
④ 発症時期は乳幼児期から成人期まで幅広い。

選択肢の解説

① 使用できる語彙が少ない。
② 構文能力が限定されている。
③ 話法における障害が認められる。
④ 発症時期は乳幼児期から成人期まで幅広い。

まずはDSM-5における言語症/言語障害の基準を見ていきましょう。


A.複数の様式の(すなわち、話す、書く、手話、あるいはその他)言語の習得および使用における持続的な困難さで、以下のような言語理解または言語産出の欠陥によるもの。

  1. 少ない語彙(単語の知識および使用)
  2. 限定された構文(文法および語形論の規則に基づいた文章を形成するために、単語と語の末尾を配置する能力)
  3. 話法(1つの話題や一連の出来事を説明または表現したり、会話をしたりするために、語彙を使用し文章をつなげる能力)における障害

B.言語能力は年齢において期待されるものより本質的かつ量的に低く、効果的なコミュニケーション、社会参加、学業成績、または職業的能力の1つまたは複数において機能的な制限をもたらしている。

C.症状の始まりは発達期早期である。

D.その困難さは、聴力またはその他の感覚障害、運動機能障害、または他の身体的または精神学的疾患によるものではなく、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延によってはうまく説明されない。


上記を踏まえれば、本問で挙げられている選択肢のうち、選択肢①の使用できる語彙が少ない、選択肢②の構文能力が限定されている、選択肢③の話法における障害が認められる、についてはDSM-5における言語症/言語障害として妥当なものであると言えます。

一方で、選択肢④の「発症時期は乳幼児期から成人期まで幅広い」については、診断基準Cの「症状の始まりは発達期早期である」という内容から、適切ではないことがわかりますね。

「その症状がどのくらいの時期から認められるか?」については、障害の種類によってけっこう記述が異なっています。

  • 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害:症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまでは症状は完全に明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある)。
  • 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害〈AD/HD〉:不注意または多動性‐衝動性の症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していた。
  • 反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害:その障害は5歳以前に明らかである。
  • 小児期発症流暢症(吃音)/小児期発症流暢障害(吃音):症状の始まりは発達期早期である[注:遅発性の症例は成人期発症流暢症と診断される]。

上記からもわかる通り、発達障害については特に、年齢の基準をぼやかす傾向になってきています。

大人でも発達障害の傾向を訴える事例が増えており、そういった事情を考慮して診断基準も変わってきているということでしょう。

よって、選択肢①、選択肢②および選択肢③は適切と判断でき、除外することになります。

また、選択肢④が不適切と判断でき、こちらを選択することになります。

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