公認心理師 2023-131

認知症初期集中支援チームの活動に関する問題です。

「初期集中支援」という場合には、どういう人が対象になりやすいかを想像してみるとわかりやすいかもしれませんね。

問131 認知症初期集中支援チームの活動について、適切なものを2つ選べ。
① 入院中も支援の対象となる。
② 家族に対する支援も行われる。
③ 認知症の診断が支援の条件である。
④ 訪問支援対象者に年齢制限はない。
⑤ 介護保険サービスを受けることへの支援が含まれる。

解答のポイント

認知症初期集中支援チームの概要を把握している。

選択肢の解説

① 入院中も支援の対象となる。
② 家族に対する支援も行われる。
③ 認知症の診断が支援の条件である。
④ 訪問支援対象者に年齢制限はない。
⑤ 介護保険サービスを受けることへの支援が含まれる。

認知症初期集中支援チームについて厚生労働省によると「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる『認知症初期集中支援チーム』を配置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築する」ことを目的としています。

具体的には、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的(おおむね6ヶ月)に行い、自立生活のサポートを行うチームを指します。

配置場所は地域包括支援センター等となっていますね。

認知症は、早期に受診しなかったために悪化したり、診断や十分なケアが行われず進行する恐れがあるので、認知症初期集中支援チームはそうした状況を回避し、認知症になっても住み慣れた地域で安心した生活が続けられるよう早期の段階で支援していくのです。

ですから、上記の通り選択肢②の「家族に対する支援も行われる」は適切と言えますね。

さて、認知症初期集中支援チームの対象者について見ていきましょう。

40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人で以下のいずれかの基準に該当する人としています。

  • 医療サービス、介護サービスを受けていない人、または中断している人で以下のいずれかに該当する人
    (ア) 認知症疾患の臨床診断を受けていない人
    (イ) 継続的な医療サービスを受けていない人
    (ウ) 適切な介護保険サービスに結び付いていない人
    (エ) 診断されたが介護サービスが中断している人
  • 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している

上記のように「医療サービス、介護サービスを受けていない人、または中断している人」が対象となりますから、選択肢①の「入院中も支援の対象となる」は不適切な内容であると言えます。

更に、年齢は「40歳以上」という要件があり、選択肢④の「訪問支援対象者に年齢制限はない」は不適切な内容になるわけです。

この年齢要件については、選択肢⑤の「介護保険サービスを受けることへの支援が含まれる」と絡んでくると思われます。

この「介護保険サービスを受けることへの支援」は認知症初期集中支援チームの目的でもありますし、介護保険の利用は通常65歳以上ですが、若年性認知症の場合は40歳以上65歳未満の人も対象になります。

こうした介護保険サービスの仕組み上、対象者の年齢は「40歳以上」になるんだと思います。

そして、基本としては、入院につながっていない、医療サービスを受けていても対応が難しくなっている人が対象になるということですね。

また、医療につながっていない、つながりづらいという人を対象としたチームですから、選択肢③の「認知症の診断が支援の条件である」が支援を受ける条件になるはずがないですね。

むしろ、「認知症の診断やそれに基づく支援を受けるまでをつなぐ」のが認知症初期集中支援チームになるわけですね。

参考資料として、厚生労働省の「地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し」、国立長寿医療研究センターの「認知症初期集中支援チーム」などがあり、どちらもわかりやすくまとめられていますね。

以上より、選択肢①、選択肢③および選択肢④は不適切と判断でき、選択肢②および選択肢⑤は適切と判断できます。

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