初期学習については、刻印づけ、臨界期、生得的解発機構が示されています。
それほど難しい概念ではないので、しっかりと押さえておきましょう。
刻印付け:インプリンティング
ニワトリ、アヒル、カモなどのように孵化直後から開眼し、歩行可能な離巣性の鳥類のヒナでは、孵化後の特定の時期に目にした「動くもの」に対して後追い行動を取ります。
これは親に限らず、おもちゃでも光の点滅でも生じるとされています。
この現象を刻印付け、インプリンティング、刷り込み、などと呼びます。
ローレンツが報告し、その内容として以下を示しました。
- 敏感期が存在:孵化後のかなり早期の感受性の高い時期にのみ生じる。
- 練習・経験が不要:条件が満たされたときに、極めて短時間のうちに成立。
- 無報酬性:通常の学習に必要な報酬を要しない。
- 不可逆性:対象の変更も消去も成立しない。
- 性的刻印付け:性成熟後の求愛の対象は、刻印付けされた対象と同種の動物に向けられる。
これらは通常の学習には見られないものとされています。
臨界期:敏感期;野生児研究など
生物がある特性を獲得するために生物学的に備わった限られた期間のことを指します。
かつてほど期間が厳密でないという考えも出てきているので「敏感期」と呼んだほうが良いという意見が出ていますが、ブループリントは臨界期に統一されましたね。
例えば、刻印づけにおいて、子の親に対する楽手が成立する生後初期のある短い期間のことが臨界期と呼ばれ、その学習の効果は永続性をもつが、一方その期間に然るべき経験をしないと、新奇刺激に対する恐怖の発達などのためにもはや学習することができなくなるとされています。
生得的触発(解発)機構
生物に生まれつき備わった、特定のサイン(鍵)刺激に対して、特定の反応をする生理学的な仕組みのことを指します。
繁殖期に別の雄の赤い色をみて攻撃するトカゲなどが例であり、これに働いている神経感覚機構のことを言います。
その際、腹部の赤さ解発性はその雄のとる姿勢によって変動するとされています。
また複数の刺激=反応の結びつきが連鎖的に展開されるという場合もあります。
サイン刺激の強度を正常な範囲以上に強めた場合、行動を解発するのにいっそう効果的となることが明らかにされており、その刺激は特に超正常刺激と呼ばれます。
サイン刺激と類似した概念として社会的解発刺激があり、それには儀式化などのように、特にその刺激特性の進化が含意されることが多いとされています。
生得的解発機構に対し、生後の経験によって獲得された刺激=反応の結びつきを、獲得性解発機構と呼びます。