他職種の業に関する理解を問う内容になっています。
各資格の根拠法の把握と、そこに記載されている業の把握が求められていますね。
問80 傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする職種として、正しいものを1つ選べ。
① 看護師
② 介護福祉士
③ 社会福祉士
④ 理学療法士
⑤ 精神保健福祉士
解答のポイント
他職種の業について把握している。
選択肢の解説
① 看護師
看護師は保健師助産師看護師法を根拠とした資格です。
この業については以下の通り規定されています。
第一条 この法律は、保健師、助産師及び看護師の資質を向上し、もつて医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする。
第二条 この法律において「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
第三条 この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。
第四条 削除
第五条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
第六条 この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。
上記の通り、本問で示されている業は看護師のものであることがわかりますね。
ちなみに傷病は、疾患と外傷を総称した呼称で、 正常な身体機能や形態が内因または外力によって損なわれた状態を指し、そういう状態の人を傷病者と呼びます。
じょく婦とは、出産後間もなく、まだ産褥にある女性を指します。
わざわざこの2つを言い分けているのは、じょく婦は病気ではないという認識だからでしょうね(確かそうだった気がする)。
以上より、本問の「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする職種」は看護師であることがわかりますね。
よって、選択肢①が正しいと判断できます。
② 介護福祉士
③ 社会福祉士
これらは社会福祉士及び介護福祉士法を根拠とした資格になっています。
これらの業については以下の通り規定されています。
第二条(定義) この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。
2 この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう。
以上のように…
- 介護福祉士:身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者
- 社会福祉士:身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者
…になります。
なお両者とも「名称を用いて」と表記があるので、名称独占資格であることがわかりますね(公認心理師も名称独占資格ですね。業務独占資格というのもあり、これは医師などが該当します)。
以上より、本問の「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする職種」は介護福祉士や社会福祉士ではないことがわかりますね。
よって、選択肢②および選択肢③は誤りと判断できます。
④ 理学療法士
理学療法士は理学療法士及び作業療法士法を根拠とした資格です。
その業については以下の通り規定されています。
第二条(定義) この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
2 この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。
3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
4 この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。
このように、理学療法士とは「厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法(身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えること)を行なうことを業とする者」を指すわけです。
こちらも名称独占資格ですね。
以上より、本問の「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする職種」は理学療法士ではないことがわかりますね。
よって、選択肢④は誤りと判断できます。
⑤ 精神保健福祉士
精神保健福祉士は精神保健福祉士法を根拠とした資格です。
その業は以下の通り規定されています。
第二条(定義) この法律において「精神保健福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいう。
ちなみに上記にある第28条とは「精神保健福祉士となる資格を有する者が精神保健福祉士となるには、精神保健福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない」というものになります。
こちらも名称独占資格であることが明記されていますね。
以上より、本問の「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする職種」は精神保健福祉士ではないことがわかりますね。
よって、選択肢⑤は誤りと判断できます。