ここの内容は、コメントいただいた方とのやり取りで思ったことです。
公認心理師試験に限らず、試験全般で重要なのは「問題文をよく読むこと」だと思います。
今回の公認心理師試験では、問題文に「正しいものを選びなさい」と「最も適切なものを選びなさい」の2つの表現が大半を占めていました。
「正しいものを選びなさい」という表現
この表現を細かく言い直せば「以下の選択肢には誤っているものが4個あって、正しいのは1個しかないから、正しいやつを一つ選びなさい」ということだと思います。
よって、この表現が使われている設問では以下のことが言えると思われます。
- 正答となる選択肢以外の選択肢には、「確実に誤りと判断できる箇所」が存在する。
- 逆を言えば、正答となる選択肢の条件は「誤っていないこと」であって、「不十分・言葉足らず」なだけであれば誤答と即断してはならない。
これを念頭に置くと、「正しいものを選びなさい」という設問における解答者の心構えは「間違い探し」です。
そして「間違い」のパターンで一番ポピュラーなのは、その内容自体が誤りであることです。
そして、その次に多いのが「余計なものがくっついていること」です。
私は、この「誤り」と「不十分・言葉足らず」の違いを頭の片隅に置いて臨んでいます。
「最も適切なものを選びなさい」という表現について
この表現の場合、「選択肢全てが間違っているとは言えない」ということが有り得ます。
例えば問22の場合では、答えは(おそらく)「自己効力」ですが、「コンピテンス」にも自己効力のニュアンスが入っています。
でも適切濃度で言えば、「自己効力」の方が濃いですよね。
また、解説はこれからですが問29の場合、選択肢⑤の「「セルフケア」、「ラインによるケア」及び「事業所外資源によるケア」の3つが継続的かつ計画的に行われている」という表現も決して間違ってはいないのです。
ただ「事業所内の産業保健スタッフ等によるケア」が抜けているだけです。
問29では選択肢⑤の内容は不適切ではないけれども、「不十分」であるということが言えます。
そして、より「不十分」具合が少ない選択肢が他にあれば、そちらの方が選ばれるわけです。
解く側としては、こちらの設問表現の方が厄介だと感じます。
「間違い探し」ではなく、「不十分濃度の判定」が時に求められるからです。
ただし、この設問表現でも明らかに誤った選択肢を入れている場合がほとんどです。
この設問表現が多用されるのは「事例問題」においてです。
ですから、どれも正しい、どれも誤り、という設問も生じ得るということですね。
あくまでも濃度の判定が求められていますから。
私は問題を作る側ではありませんが、もし作るとしたら「最も適切なもの」の設問を作るのはイヤだと感じると思います。
問題へのクレームが出そうな気がして。