臨床心理士 ロールシャッハ:H3-17e

こちらは選択肢eがロールシャッハに関する内容となっていますね。
「ロールシャッハ・テストの第Ⅴ図版で、「全体でこうもりが飛んでいる」という反応は、P反応である」という内容です。

片口法での平均数は少なくとも4で、一般には5あるいはそれ以上のPが見られます。
PはPopularの頭文字を取ったもので、その図版で33.3%以上の人が「それ」を見る場合にコードされるものです。
つまりは統計学上のコードですから、ある図版におけるP反応はあらかじめ決められております。
以下の通りです。

ちょっと厄介なのが、片口法とエクスナー法ではP反応に若干の違いがあることです。
覚えるのが大変ではありますが、ほとんど被っているので、違う部分だけ覚えておいてもいいでしょう。
細かいことですが、P反応の決定は主に諸外国での統計をもとになされております。
つまり、日本人に特化して見られやすい反応もあるわけです。
例えばⅥ図版の「ギター」は、P反応に近いくらい見られる反応とされていますね(私は「アルフィの高見沢さんが持っているギター」と反応したりしていました)。

Pの存在は、適度の公共性を示す行動を取れるか否かを示すとされていますが、P%が高すぎる場合(40%以上)、あまりに常識的で、紋切り型の思考を示すと見てよいという解釈がなされます。
また、Pが少なすぎる場合(P≦3)、社会的協調性に乏しく、ときに著しく内閉的で、正常な対人関係がもち得ない人柄を推定されます。
知的欠陥、極度の不安状態、現実との接触を喪失した精神病などにおいて、Pの減少が顕著とされています。

エクスナー法での平均数はR(反応数)によって異なります。
Rが16以下なら期待値は4~6個です。
Rが17~28で、青年以上なら5~7個、12歳未満なら4~7個ということです。

平凡反応からわかるのは、どのような行動が期待され、受け入れられるのかについての手がかりが容易に見つけられるような場面で、明らかに慣習的でありきたりの反応をするかどうかについてです。
実際に解釈する場合、P反応は「慣習的な行動が取れるか否か」を見るだけのものと言えるため、その点についての所見が得られたならば、P反応を隠して継起分析等を行うほうがその人の人格を理解しやすいという解釈上の工夫も頭に入れておきましょう。

記述にある、Ⅴ図版での「全体でこうもりが飛んでいる」はP反応です。
ここで重要なのはW反応であることと、反応内容として「こうもり」が出ていること。「飛んでいる」という記述の有無は重要ではありません。

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