日本の心理療法は、臨床動作法、内観療法、森田療法が有名どころかなと思います。
成瀬先生が歩んだ催眠療法→臨床動作法の流れも「主体性」という点に共通点があると思います。
この点は吉良先生の「主体感覚」という概念にもつながっていますね(その論文の中で異同点は示されていますが)。
今回の公認心理師試験では内観療法、森田療法が複数回出ました(追加試験ではわかりませんが…)。
きちんと押さえておきたいところですね。
以下に、臨床心理士資格試験で出た内容を列挙していきます。
臨床動作法
- なせばなる 成瀬悟策の動作法
- 成瀬悟策が、脳性まひ児の動作不自由を改善する手立てとして開発した(催眠暗示で変化した事実を契機にしている)。
- 動作を道具と考える。「正確な動作」が目的ではない。
- 「意図-努力-身体運動」というメカニズムで、生理的プロセスとしての運動とは区別している。
- 動作の背後にある「主体活動」としての体験の仕方を重視する。
- リラクセーションを重視する。
- 指導者の手で身体を動かし、動きが妨害される位置で弛緩させる。
- 神経症者には身体への気づきを促し、それに基づいて精神的な状態への洞察を促す。
- ASDの子どもへのアプローチとして、快適な身体の体験や努力の体験を共有できるようにする。
内観療法
- 吉本伊信が開発した自己探求法。
- 重要人物に対して、世話してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたことなどをテーマに内観する。指導者以外とは話さない。
- 調べる順は、幼少時代から初めて現在に至るまで、年代ごとに区切って行う。
- 集中内観(通常一週間程度)と日常内観。
- 罪意識が重視されている。自身の影を受け容れ、にもかかわらず愛されているという感謝の気持ち。
- 指導者は内容そのものへの介入は行わない。症状や問題行動、現在の課題などに特別焦点を当てることはしない。
- 矯正教育などに活用され、効果をあげてきている。
森田療法
- 森田正馬が創始した東洋思想の心理療法。
- ヒポコンドリー性基調(いたずらに病苦を気にする精神的基調)を素質に持つ森田神経質(対人恐怖、強迫神経症などのような内向的な疾患)が考え方の特徴。
- あるがまま、とらわれから自由になることを重視。
- 精神交互作用:感覚と注意の悪循環のこと。一回気になったら、益々気になる現象を指す。
- 入院治療では、以下の段階に分かれる:この課程を40日~3ヶ月程度
①絶対臥褥期:終日個室に横になったまま。一切の気晴らしは禁止。
②軽作業期:心身の状態を多少欲求不満状態にして活動欲を促す。
③重作業期:仕事に対する価値感情を棚上げし、達成感を体験する。
④社会生活準備期:日常生活に戻れるよう社会生活の準備に当てる。