Mick Cooperの訳書が出版されておりますが、その中に「ランバートのパイ」が載っています。
一時期、村山正治先生がこちらの書籍を熱心に紹介されていました。
ランバートは、セラピーに存在する共通要因をメタ分析によってまとめた研究者です。
その結果、以下の4要因を抽出しました。
これらの要因を円グラフで示し、パイのように見えるので「ランバートのパイ」と称するようです。
- 治療外要因:40%
クライエント側の要因(自我の強さなど)や、環境要因(偶然、幸運など)など。
セラピーの参加不参加に関係なく、回復に役立つ要因。 - 治療関係要因:30%
理論的なオリエンテーションに関係なく、セラピストとの人間関係によって生じるもの。共感、受容など。 - 期待要因:15%
いわゆるプラセボ効果に近いもの。クライエントがセラピーに対して抱く期待などによるもの。 - 技法要因:15%
各心理療法に独自の技法などによる要因。
この研究の大きな特徴は、治療外要因が最大であること、関係性要因が大きいこと、技法要因が小さいこと、などの指摘であるが、何よりも「セラピー固有の効果は60%程度である」ということでしょう。
(個人的には60%って結構大きいなって思います。心理療法を卑下しているわけでなく、生活体としてクライエントを考えれば、それが自然なことかなと…)
ちなみにメタ分析の問題点としては、
- すでに刊行されている研究を中心に集めることになるので、いわゆる「成功事例」だけを集めることになっている。
- 様々な流派・学派を一緒くたにするので、例えばあまり技法的なものが顕著でないセラピーと技法が顕著なセラピーを同等に扱うことの問題などがある。
等がありますので、その辺も押さえておきましょう。