公認心理師 2024-59

データを分散分析にかける場合の独立変数の設定を選択する問題です。

全体に関するデザインではなく、独立変数の設定を選択するというところを見逃さないようにしましょうね。

問59 理科が好きな程度を国及び学年の間で比較するため、3つの国の小学4年生及び中学2年生それぞれ200名ずつに、理科が好きな程度を、「まったく好きでない」から「とても好き」の5段階で評定してもらう調査を実施した。各群における理科が好きな程度の度数分布を確認したところ、連続量として扱うことに問題はなかったため、量的な変数として分析に用いることにした。
 このデータを分散分析で分析する場合の独立変数の設定として、最も適切なものを1つ選べ。
① 国と学年の2被験者間要因
② 国と学年を組み合わせた1被験者間要因
③ 国と学年と理科が好きな程度の3被験者間要因
④ 国と学年と理科が好きな程度を組み合わせた1被験者間要因
⑤ 国と学年の組み合わせと理科が好きな程度の2被験者間要因

選択肢の解説

① 国と学年の2被験者間要因
② 国と学年を組み合わせた1被験者間要因
③ 国と学年と理科が好きな程度の3被験者間要因
④ 国と学年と理科が好きな程度を組み合わせた1被験者間要因
⑤ 国と学年の組み合わせと理科が好きな程度の2被験者間要因

まず、こちらの問題で注目する必要があるのは、問題文にある「このデータを分散分析で分析する場合の独立変数の設定」という箇所です。

選択することが求められているのは、研究デザイン全体ではなく、あくまでも「独立変数はどれ?」ということになりますね。

ですから、選択肢に従属変数が含まれているものは省くという作業をまずは行っていくことになります。

独立変数とは、効果に関して検討するために人為的に操作する側の変数のことで、「原因→結果」の枠組みで言えば原因に該当する変数です。

これに対して従属変数とは、実験の結果得られる変数であり、「原因→結果」の枠組みで言えば結果に該当する変数です。

「従属」というのは「他のものにつき従うこと」を意味しますが、これは独立変数などによって変わるので「従属」という表現がなされているわけです。

つまり、独立変数は実験者が設定する変数であり、従属変数は実験者が測定する変数と言えます。

そして剰余変数とは、独立変数以外で従属変数に影響を及ぼし得る変数のことを指します。

心理学実験では、例えばシールドルームのような光や音までも制限できる環境下で実験を行うことがありますが、それは光や音が剰余変数となって従属変数に影響を及ぼさないようにするためです。

まとめると以下の図のようなイメージでしょうか。

本問の内容でいけば、独立変数として設定されるのは「3つの国」と「小学4年生及び中学2年生」ということになります。

そして、そうした独立変数に従属して変わってくるのが「理科が好きな程度」になります。

「3つの国」と「小学4年生及び中学2年生」によって、「理科が好きな程度」にどのくらい差があるのかを調べるわけですから、独立変数・従属変数の関係性が見えてきますね。

ですから、独立変数の設定を考えねばならない本問において、選択肢に「理科が好きな程度」という従属変数が含まれてしまっている選択肢③、選択肢④、選択肢⑤は除外することが求められます。

さて、続いて残った選択肢を見ていくと、「2被験者間要因」や「1被験者間要因」などのように、頭に2やら1やらがついていますね。

これは一般に言う「要因数」のことを指していると見てよいでしょう。

普通は「2要因被験者間分散分析」などと称するのを、ちょっと入れかえているだけだと思われます。

この辺の言い方は書籍や研究者によってもまちまちなので(状況によって使い分けたりしている)、慣れておくことが大切でしょうね。

先述の通り、本問では「3つの国」と「小学4年生及び中学2年生」という「国×学年」の2要因が設定されているので、2要因の被験者間分散分析ということになります。

ですから、選択肢①の「国と学年の2被験者間要因」というのが、このデータを分散分析で分析する場合の独立変数の設定として最も適切であると言えます。

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