公認心理師 2024-133

Hollandが提唱した六角形モデルに関する問題です。

不正解の選択肢が何かの理論から引っ張ってきているかと思って調べましたが、よくわからなかったですね。

問133 J. L. Hollandが提唱した六角形モデル(RIASECモデル)において、パーソナリティ及び環境を示す型に該当するものを2つ選べ。
① 現実的(Realistic)
② 対人的(Interpersonal)
③ 科学的(Scientific)
④ 企業的(Enterprising)
⑤ 認知的(Cognitive)

選択肢の解説

① 現実的(Realistic)
② 対人的(Interpersonal)
③ 科学的(Scientific)
④ 企業的(Enterprising)
⑤ 認知的(Cognitive)

ホランドの職業選択理論の基本的前提となるのは、自分の職業の好みというものが、ある意味で根底にある性格のベールに包まれた表現であるということでした。

こうした前提のもと、ホランドはパーソナリティ(個人の職業興味)と環境(職場の環境)のタイプを6つに分類し、個人と職場のマッチングをはかる六角形モデルを提唱しました。

このモデルは、世界で最も権威のある職業興味検査やアメリカ労働省の職務分析に活用されています。

また、主に大学生を対象とした進路選択支援ツールであるVPI職業興味検査のベースとなっています。

ホランドはもともと、彼の6つのタイプを「運動性、知性、審美性、支持性、説得性、適合性」と分類していましたが、彼は後でそれらを発展させ変えていき、以下の6つのタイプに行き着きました。

  1. 現実的タイプ(Realistic):「モノ」を扱うことが好きな人たち。その人達は「自己主張が強く、競争心が強く、協調運動や技術、体力を必要とする活動に興味がある」傾向が見られる。問題解決にあたっては「それについて話したり、座ってそれについて考えるよりも、何かをすることによって」アプローチを行う。また、「抽象的な理論よりも、問題解決への具体的なアプローチ」を好むとされる。そして、その人達の興味は「文化的、美的な分野よりもむしろ科学的、機械的な分野」に焦点を当てる傾向がある。
  2. 研究的タイプ(Investigative):「データ」を使って仕事をすることを好む人たち。その人達は「行動するよりも考えて観察し、説得するよりも情報を整理して理解する」ことを好む。また、「人を中心とした活動よりも個人を中心とした活動」を好む傾向がある。数学、物理、生物などに興味があり、好奇心が強く学者肌。物事の分析、意見を明確に表明する。
  3. 芸術的タイプ(Artistic):「アイデアやモノ」を扱うのが好きな人たち。その人達は「創造的、オープン、創意工夫、独創的、知覚的、敏感、独立、感情的」な傾向が見られる。また、「構造やルール」に反発する傾向があるが、「人や物理的なスキルを伴うタスク」を楽しむ傾向がある。そして他のタイプよりも感情的になる傾向が見られる。創造的な職業を好む。
  4. 社会的タイプ(Social):「人」と一緒に仕事をすることが好きで、「教えたり助けたりする場面では、自分のニーズを満たしているように見える」人たちである。また、「人との親密な関係を求めることに惹かれ、本当に知的な人たちで身体的なことを望む傾向が少ない」傾向が見られる。社会的な活動にも積極的。
  5. 企業的タイプ(Enterprising):「人とデータ」を扱う仕事が好きな人たち。その人達は「話し上手で、自身のスキルを使って人をリードしたり、説得したりする」傾向が見られる。また、「評判、権力、お金、ステータスを重視する」傾向にある。リーダーシップを取り、目標達成を好む。説得を得意とし、野心的な活動を好む。
  6. 慣習タイプ(Conventional):「データ」を扱う仕事を好み、ルールや規則を好み、自制心を重視する人。構造や秩序を好み、構造化されていない、あるいは不明確な仕事や対人関係を嫌う人たちである。また、評判、権力、ステータスに価値を置いている。責任感があり、緻密な活動を好む。

ホランドの6つのカテゴリーは、お互いにある程度の相関関係を示しており、相関性の高い領域を結ぶ円で表現すると、領域の頭文字がR-I-A-S-E-Cと等しくなることから、RIASECモデルや六角形モデルと呼ばれているわけです。

こうした個人のパーソナリティ(性格)と、職業(働く環境)の特徴をかけ合わせて考えることで、職業選択のための適切なマッチングを実現することが六角形モデルの目的と言えます。

この6つのタイプから、個人の興味の強さに応じて3つのタイプを選び出します。

これをスリーレターコードと呼び、六角形モデルの6つの分類の中から3つを使ってパーソナリティを表現したものになります。

例えば、上位3つが「I」「S」「A」だった場合、研究的・社会的・芸術的な要素がある職業が合っていることを示しています。

スリーレターコードによって、興味がある職業がわかるということです。

ただし、スリーレターコードが出てきたからと言って短絡的に職業選択をするのではなく、しっかりとした自己分析が必要です。

スリーレターコードの結果を解釈するのに一貫性と分化という観点が使われます。

  • 一貫性:六角形モデルが有効かどうかを示しています。例えば、六角形モデルを図で示した場合に隣接した3つのタイプ(スリーレターコード)が上位にくると一貫性がある、対角線上にくると一貫性がないことを表します。
    もしもスリーレターコードが対角線上にきていた場合は、その人が職業選択以外にも悩みを抱えており、自身の純粋な職業興味を選択できていない可能性を示している。
  • 分化:検査を受けた人のパーソナリティの発達度を示しています。例えば、ホランドの6つのパーソナリティのうち、特定のタイプの数値が高く、他のタイプの数値が低い状態を分化していることを表します。逆に、全てのタイプのパーソナリティの値が高い、もしくは低いと分化していない=未分化ということになります。この場合、経験や学習が足りないということになるため、様々な活動を行っていく必要があります。

これらを踏まえて、本問を解いていきましょう。

ホランドのパーソナリティおよび環境を示す型として「現実的・研究的・芸術的・社会的・企業的・慣習的」が挙げられていますね。

ですから、本問で挙げられた中では、現実的・企業的が正しいものと言えます。

それ以外の選択肢が、何らかの理論で示されているタイプなのかどうかはちょっとわかりかねます(対人的、科学的、認知的ってありがちな言葉なので、ちょっと限定しづらいですね。こういう問題ではたいてい他の理論のものを引っ張ってきているのですが…)。

以上より、選択肢②、選択肢③および選択肢⑤は不適切と判断でき、選択肢①および選択肢④が適切と判断できます。

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