公認心理師 2018-112

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」のなかで、労働者への教育研修及び情報提供の内容を問うものです。

指針の内容を細かく把握していることが求められますね。

解答のポイント

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」における「メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供」に関する事項を把握していること。

「メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供」に関する事項

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、「労働者への教育研修・情報提供」の内容が定められています。

「事業者は、セルフケアを促進するため、管理監督者を含む全ての労働者に対して、次に掲げる項目等を内容とする教育研修、情報提供を行うものとする」

  1. メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
  2. ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
  3. セルフケアの重要性及び心の健康問題に対する正しい態度
  4. ストレスへの気づき方
  5. ストレスの予防、軽減及びストレスへの対処の方法
  6. 自発的な相談の有用性
  7. 事業場内の相談先及び事業場外資源に関する情報
これらを前提に各選択肢を見ていきます。

選択肢の解説

『①ストレスへの気づき方』

こちらについては、上記の4に定められています。
よって選択肢①は正答とはなりません。

『②職場環境の評価及び改善の方法』

こちらについては、上記に記載はありませんので、こちらが正答となります。
ちなみにこの記載は、「管理監督者への教育研修・情報提供」の内容として定められています。以下の通りです。
「事業者は、ラインによるケアを促進するため、管理監督者に対して、次に掲げる項目等を内容とする教育研修、情報提供を行うものとする」
  1. メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
  2. 職場でメンタルヘルスケアを行う意義
  3. ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
  4. 管理監督者の役割及び心の健康問題に対する正しい態度
  5. 職場環境等の評価及び改善の方法
  6. 労働者からの相談対応(話の聴き方、情報提供及び助言の方法等)
  7. 心の健康問題により休業した者の職場復帰への支援の方法
  8. 事業場内産業保健スタッフ等との連携及びこれを通じた事業場外資源との連携の方法
  9. セルフケアの方法
  10. 事業場内の相談先及び事業場外資源に関する情報
  11. 健康情報を含む労働者の個人情報の保護等
以上のように、選択肢の内容は事業者→管理監督者の情報提供内容となります。

「職場環境等の評価及び改善の方法」については、評価方法を知ることによって労働者の方に変なバイアスがかかるような気がしますね。

(追記)
こちらの選択肢について、コメントよりご指摘いただいたので追記します。

職場改善のためのアクションチェックリストは労働者向けに配布されているため、選択肢②にある「職場環境の評価及び改善の方法」が労働者への提供内容だと誤って判断されてしまう可能性があるということでした。

こちらは実際に産業領域で働かれている方であればあるほど、迷う可能性が出てくるということになりますね。

ただし、これらの中でもきちんと線引きはしてあるようで、「職場改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)」の中には「このヒント集は職場環境などの良否をチェックするものではありません」と明文化されています

「評価じゃなくて改善のためのヒントだよー」と言っているということですね。
やってる側からすれば「職場環境の評価」のニュアンスを帯びますが、指針にもあるように「職場環境の評価及び改善の方法」が労働者への提供内容ではないということが関係しているのかもしれないですね。

『③メンタルヘルスケアに関する事業場の方針』

こちらについては、上記の1に定められています。
よって選択肢③は正答とはなりません。

『④ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識』

こちらについては、上記の2に定められています。
よって選択肢④は正答とはなりません。

『⑤ストレスの予防、軽減及びストレスへの対処の方法』

こちらについては、上記の5に定められています。
よって選択肢⑤は正答とはなりません。

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