公認心理師 2024-150

家庭裁判所の審判で選択できない処分を選択する問題です。

13歳という年齢から、何が問われているのかすぐに理解できることが重要ですね。

問150 13歳の男子A、中学1年生。Aは、家出を繰り返し、学校にも登校していない。Aは、万引きを繰り返したため、児童相談所が在宅で指導を行っていた。しかし、改善がみられず、児童自立支援施設への入所措置が検討されたが、父母の反対により入所に至らなかった。Aは再び家出中に万引きをし、逃げる際に店員を突き飛ばし重傷を負わせた。児童相談所から事件を送致された家庭裁判所は、Aに対し観護措置を執り、審判の期日となった。
 家庭裁判所がAへの審判において、選択できない処分を1つ選べ。
① 試験観察
② 保護観察
③ 検察官送致
④ 少年院送致
⑤ 児童自立支援施設送致

選択肢の解説

① 試験観察
② 保護観察
③ 検察官送致
④ 少年院送致
⑤ 児童自立支援施設送致

まず前提として、本事例が執られている観護措置とは、主に家庭裁判所に送致された少年の審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるための心理検査や面接を行ったりすることなどが必要な場合に、少年を少年鑑別所に送致し、一定期間そこに収容することをいいます。

少年が収容される期間は、通常は最長4週間ですが、一定の事件で証拠調べが必要な場合は最長8週間まで延長されることがあります。

少年に対する処分を直ちに決めることが困難な場合、当分の間、家庭裁判所調査官が助言や指導を与えながら少年の生活ぶりや行動を観察する「試験観察」が行われる場合があります。

その結果もふまえて、最終処分を決めるための審判が開かれます。

なお、試験観察を行う際、民間の人や施設に少年の指導を委ねることもあります。

さて、少年事件の処分には以下のようなものがあります。

  • 保護観察:
    施設に入所させることなく、社会の中で生活させながら、保護観察官や保護司が指導監督を行い、少年の改善更生を図ることが相当と認められたときにされる決定です。
  • 少年院送致:
    再非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しい場合に、少年を少年院に収容して矯正教育を受けさせることが相当と認められたときにされる決定です。
  • 児童自立支援施設送致:
    比較的低年齢の少年について、開放的な福祉施設での生活指導が相当と認められたときにされる決定です。
  • 検察官送致:
    罪を犯した14歳以上の少年について、その事件の内容、心身の成熟度、性格、非行歴などから、刑事処分が相当と認められたときにされる決定です。調査の結果、少年が20歳以上であることが判明したときもこの決定がされます。
  • 知事又は児童相談所長送致:
    18歳未満の少年について、児童福祉機関の指導にゆだねるのが相当と認められたときにされる決定です。
  • 不処分・審判不開始:
    調査、審判等における様々な教育的な働きかけにより少年に再非行のおそれがないと認められた場合のほか、少年が非行を行ったとは認められなかった場合には、少年を処分しない決定がされます(不処分)。軽微な事件であって調査等における教育的な働きかけによって再非行のおそれがないと認められた場合には、調査のみを行って審判を開かずに事件を終わらせることもあります(審判不開始)。教育的な働きかけとして、少年を万引きなどの被害を考えさせる講習や地域清掃活動などに参加させて反省を深めさせる取組も行われています。

上記からも明らかなように、選択肢③の検察官送致は「14歳以上」という法律上の要件が定められていますから、13歳である本事例では選択されることはあり得ない処分であると言えますね。

それ以外の詳しい条項については以下の通りです。

  • 児童福祉法の措置:児童相談所長等に送致(少年法第23条第1項:第18条)
  • 不処分(少年法第23条第2項)
  • 保護処分:保護観察(少年法第24条第1項)
  • 保護処分:児童自立支援施設又は児童養護施設(少年法第24条第2項)
  • 保護処分:少年院送致(少年法第24条第3項)

上記を理解しておけば、本問はすぐに解くことができますね。

以上より、選択肢①、選択肢②、選択肢④および選択肢⑤は選択できる処分になるので、除外する必要があります。

また、選択肢③が家庭裁判所がAに対して選択できない処分と判断でき、こちらを選択することが求められます。

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