ブループリントにおける初見概念の一つである「適正処遇交互作用」についてまとめていきます。
こういう概念があることを、恥ずかしながら知りませんでした。
Aptitude Treatment Interactionで、ATIと略されます。
【定義】
さまざまな適性の人々が環境から異なる処遇を与えられたとき、その処遇による結果がその人の適正だけからも処遇だけからも説明されず、両者の組み合わせによる独特の効果を示すとき、これを「適正処遇交互作用」と呼びます。
【成り立ち】
元々、クロンバックが実験心理学(処遇の効果のみを問題とする)と相関心理学(個人差の相関関係だけを問題とする)の統合を意図して唱えた概念です。
※クロンバックは、この「適正処遇交互作用」の他に、信頼性係数である「クロンバックのα係数」が有名ですね。
現在では、教育場面において、どのような適性の学習者にはどのような教授方法が最適かという、個人差に応じた教育環境を研究・設計するための基本的概念となっています。
【適正とは、処遇とは】
個人が将来ある分野に進んだ時に行う可能性がある能力や特性のことを言います。
適正処遇交互作用で言う適正とは、知能、性格、認知スタイル、興味関心、意欲、価値感、年齢といった学習成果に関連するものを全て含む。
また処遇には、教師の指導法、学習内容、教材、教室環境、評価の仕方、カリキュラムなどのように幅広い事柄が含まれる。
【適正処遇交互作用の実践】
この理論において、ある適正と相関が高い処遇は、その適性を「活用」すると表現する。
※外向的な生徒(適正)に、積極的に発言させるような授業スタイル(処遇)によって、その生徒が伸びる(適性を「活用」した処遇であった)とされています。
一方で、ある適正と相関が低い処遇は、その適性を「補償」すると表現する。
※内向的な生徒には、ビデオを観るような授業の方が効果が出やすい(外向的な生徒には効果が薄いが、内向的な生徒の力を「補償」することができる)とされています。
これらを踏まえ、ある適性が高い生徒には「活用」の処遇を、ある適性が低い生徒には「補償」の処遇を、という風に教授法を切り替えることが重要とされています。