教育機会確保法に関する問題です。
誤答選択肢が同じ法律から引用されているので、比較的解きやすい内容であったと言えます。
問48 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律〈教育機会確保法〉の記載に該当するものを1つ選べ。
① 不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること
② 能力があるにもかかわらず、経済的理由によって就学が困難な者に対して、奨学の措置を講ずるようにすること
③ 傷害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講ずるようにすること
④ すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならなず、教育上差別されないようにすること
選択肢の解説
① 不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること
こちらについては教育機会確保法に条項が定められています。
(基本理念)
第三条 教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること。
二 不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。
三 不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること。
四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。
五 国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること。
上記の第3項に「不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること」が挙げられており、これは本選択肢の内容と合致しますね。
そもそも教育機会確保法とは、不登校などさまざまな理由で十分な義務教育を受けられなかった子どもたちに教育機会を確保するための法律ですから、法律の趣旨を知っていれば選択しやすい内容であると言えます。
また、法律の施行にともない、2017年に文部科学省が「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」を策定しており、その中では、不登校の子どもに対する教育機会の確保に関する事項や、夜間そのほか特別な時間において授業をおこなう学校における就学の機会の提供に関することなどが定められています。
そもそも憲法第26条では、すべての国民がその能力に応じて、等しく教育を受けられる権利が定められていて、この権利を保障するために、教育基本法をはじめとした義務教育に関するさまざまな法律が整備されているのです。
以上より、選択肢①が教育機会確保法の記載に該当するものと判断できます。
② 能力があるにもかかわらず、経済的理由によって就学が困難な者に対して、奨学の措置を講ずるようにすること
③ 傷害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講ずるようにすること
④ すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならなず、教育上差別されないようにすること
これらの選択肢は教育機会確保法ではなく、教育基本法で定められている内容になっております。
(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
第4条第1項が選択肢④、第2項が選択肢③、第3項が選択肢②に該当しますね。
そもそも教育基本法とは、日本の教育に関する基本的な考えや教育制度に関する基本事項を定めた法律であり、教育に関するさまざまな法令の運用や解釈の基準となる性格を持つことから「教育憲法」と呼ばれる場合もあります。
第1条の「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」がまさに日本教育の基本理念であると言えるわけですね。
こうした教育に関する基本理念を示したのが「教育基本法」であり、その基本理念に則り、学校制度に関するさまざまな事柄(例えば、小学校が6年とかそういうのですね)を定めているのが「学校教育法」になります。
以上より、選択肢②、選択肢③および選択肢④は教育機会確保法の記載に該当しないものと判断でき、除外することになります。