内発的動機づけと外発的動機づけの分類として、誤っているものを1つ選ぶ問題です。
「行動それ自体が目的」が内発的動機づけ、「行動をすることによってもたらされるものが目的」が外発的動機づけ、とざっくりと分けておくだけでも解きやすいかもしれませんね。
9月9日実施の試験でも出題された形式に近く、また解きやすい内容であると言えるでしょう。
解答のポイント
内発的動機づけ・外発的動機づけの定義を把握していること。
内発的動機づけと外発的動機づけ
以下は公認心理師2018-145からの転載になります。
まずは内発的動機づけと外発的動機づけについて、きちんと押さえておきましょう。
内発的動機づけの概念は、もともとは、動因低減説への反論として導入されました。
動因低減説では、生体を本来怠け者と捉え、不都合な状態が生じない限り、自ら進んで行動・学習しないと見なしたのに対し、内発的動機づけ説では、生体を本来活動的で、たえず環境と相互交渉しつつ自らの有能さを追求していく存在として概念化されました。
動因低減説はX理論、内発的動機づけ説はY理論というイメージでしょうか(マクレガーのX理論・Y理論のことです)。
内発的動機づけの原型は、知的好奇心(認知的動機づけ)ないし理解への動機づけとされていますが、これに加えて熟達への動機づけや社会的相互交渉への動機づけも含めることができます。
一般的に内発的動機づけに基づいた行動、例えば学習は極めて効率的な学習となりやすく、しかも継続的に行うことができます。
内発的動機づけの定義は諸家によって微妙に異なりますが、ある程度一致している点で記述すると「その動機が引き起こす活動以外の賞に依存しない動機づけ」と言えます。
これに対し、外発的動機づけとは義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけを指します。
内発的な動機づけに基づいた行動は行動そのものが目的であるが、外発的動機づけに基づいた行動は何らかの目的を達成するためのものと言えます。
たとえばテストで高得点を取るためにする勉強や、昇給を目指して仕事を頑張る場合などがそれにあたります。
こうした内発的動機づけと外発的動機づけを別物として捉えるのは、あまり適切ではないと思います。
速水(1998)は、自己決定性という次元で捉えた場合、両者は単一の次元上に位置づけられると考えています。
自己決定性の低い状態から高い状態までを並べると以下の通りです。
- 無力状態
- 外発的動機づけ
- 取り入れ的動機づけ:他者、多くは親の意向を取り入れて勉強するなど。
- 同一化的動機づけ:親と自分の考えを同一化させること。勉強が大事など。
- 統合的動機づけ:あることを選択してやろうとするが、選択しなかった行動との間に葛藤が生じること。やりたくないけど、勉強するなど。
- 内発的動機づけ
選択肢の解説
『①興味に基づいて行動が生起する場合は内発的動機づけに分類できる』
興味は内発的なものであり、行動を取ったことによって外発的な何かを求めているというわけではありません。
よって、選択肢①は正しいと言え、除外することが求められます。
『②好成績をとる目的で行動が生起する場合は内発的動機づけに分類できる』
好成績というのは外側にある賞にあたりますから、これは内発的動機づけではなく外発的動機づけと見なすのが妥当です。
よって、選択肢②が誤りと判断でき、こちらを選択することが求められます。
『③罰を回避する目的で行動が生起する場合は外発的動機づけに分類できる』
賞罰は代表的な外発的動機づけになるものですね。
よって、選択肢③は正しいと言え、除外することが求められます。
『④他者からの賞賛を得る目的で行動が生起する場合は外発的動機づけに分類できる』
他者からの賞賛は、その行動自体ではないところ、外側からのものですから外発的動機づけと言えます。
その行動自体が目的である、というのが内発的動機づけになるわけですね。
よって、選択肢④は正しいと言え、除外することが求められます。