公認心理師 2024-109

医療計画制度に関する問題です。

こちらは初出になりますから、厚生労働省の資料などを参考に把握するようにしておきましょう。

問109 医療計画制度に関する説明として、正しいものを1つ選べ。
① 医療計画の作成は国が行う。
② 医療計画の根拠法は地域保健法である。
③ 医療計画では基準病床数が定められている。
④ 三次医療圏では日常的な初期診療を提供する。
⑤ 医療計画は、10年ごとに見直すことが定められている。

選択肢の解説

① 医療計画の作成は国が行う。
② 医療計画の根拠法は地域保健法である。
⑤ 医療計画は、10年ごとに見直すことが定められている。

医療計画とは「都道府県が、国の定める基本方針に即し、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るために策定するもの」であり、1985年の第1次医療法改正で導入されました。

医療提供の量(病床数)を管理するとともに、質(医療連携 医療安全)を評価するため、医療機能の分化・連携(「医療連携」)を推進することにより、急性期から回復期、在宅療養に至るまで、地域全体で切れ目なく必要な医療が提供される「地域完結型医療」を推進していくこと、地域の実情に応じた数値目標を設定し、PDCAの政策循環を実施していくことも趣旨に含まれています。

たとえば、同じ規模・機能の病院が隣り合って存在していては、供給の無駄が大きくなってしまいますから、限られた医療資源を効率良く活用するため、国の方針に基づき各都道府県が策定するのが「医療計画」です。

現在は6年ごとに見直されており(平成26年の改正によって5年から6年に変更された)、2024年度からは第8次医療計画の運用が始まっています。

こうした医療計画策定の背景として、国民の医療需要が増加・多様化し、包括的かつ合理的な医療供給体制が求められるようになったことが挙げられます。

たとえば、健康に暮らしていた人が突然脳卒中で倒れてしまった際に必要な医療と、認知症が徐々に進行し自宅生活が困難となった際に必要となる医療は異なります。

すべての医療を1つの医療機関で提供することは非効率的です。

医療機関がその機能を分担し、連携を取りながら適切な医療を患者に提供する必要があります。医療の枠組みだけでなく、介護との連携も必要となるでしょう。

このとき、単位(地域圏)として「二次医療圏」という概念が使われます。

特殊な医療を除く一般的な入院医療(一般+療養)を提供する圏域のことで、たとえば東京都は13圏、大阪府は8圏、愛知県は12圏に分けられています(2024年5月現在)。

この医療圏単位で、病院や診療所の病床数が決められているということです。

上記の通り、医療計画は医療法を根拠としており、作成は都道府県が行うことになっており、現時点では6年ごとに見直すことになっています。

よって、選択肢①、選択肢②および選択肢⑤は誤りと判断できます。

③ 医療計画では基準病床数が定められている。
④ 三次医療圏では日常的な初期診療を提供する。

こちらの資料によると、平成25年年度からの医療計画における記載事項としては以下が挙げられています。

  • 新たに精神疾患を加えた五疾病五事業及び在宅医療に係る目標、医療連携体制及び住民への情報提供推進策
  • 地域医療支援センターにおいて実施する事業等による医師、看護師等の医療従事者の確保
  • 医療の安全の確保
  • 二次医療圏、三次医療圏の設定
  • 基準病床数の算定 等

上記に医療圏に関すること、基準病床数の算定が含まれていますから、それぞれ見ていきましょう。

医療計画の中では、1つの都道府県を「医療圏」という単位で区分けして、それぞれの医療圏の現状や目標を記載しています。

医療圏とは、医療提供体制を作るために、都道府県が設定した地域単位です。

以下の通り、一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏という3種類の医療圏があります。

  • 一次医療圏:基本的に市町村単位。日常生活に密着した医療を提供する範囲。
  • 二次医療圏:複数の市町村を組み合わせて設定。一般的な医療を提供する範囲。
  • 三次医療圏:基本的に都道府県単位。先進的な技術を必要とする特殊な医療に対応する範囲。

上記の通り、二次医療圏が「一般的な医療を提供する範囲」ということで、もっとも多く用いられる地域単位になります。

医療計画上では、主に二次医療圏単位でデータを見ていくことになります。

挙げられている選択肢では「三次医療圏では日常的な初期診療を提供する」とありますが、実際とは異なる内容であり、第三次医療圏では「先進的な技術を必要とする特殊な医療に対応する範囲」とされていますね。

ちなみに、特殊な医療とは以下のようなものが挙げられています。

  1. 広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特に専門性の高い救急医療(高度救命救急センターなど)
  2. 経皮的カテーテル心筋焼灼術、腎移植等の先進的技術を必要とする医療(都道府県がん診療連携拠点病院など)
  3. 高圧酸素療法、持続的血液濾過透析等特殊な医療機器の使用を必要とする医療
  4. 先天性胆道閉鎖症等発生頻度が低い疾病に関する医療 等

このように、都道府県は、医療計画の中で、病院の病床及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する医療圏を定めることとされているわけです。

続いては、基準病床数についてです。

医療計画における基準病床数は、病床の整備について病床過剰地域から非過剰地域へ誘導することを通じて、病床の地域的偏在を是正し、全国的に一定水準以上の医療を確保することを目的とする制度であり、地域で整備する病床数の上限です。

病床の種別ごとの基準病床数については以下の通りです。

  • 一般病床・療養病床:病院及び診療所の病床について、二次医療圏ごとに、医療法施行規則に定める全国一律の算定式により算定。
    ※この際、一般病床については、地方ブロックごとに算定式に代入する係数(一般病床退院率・平均在院日数)を設定。
  • 精神病床:病院の病床について、都道府県の区域ごとに、医療法施行規則に定める全国一律の算定式により算定。
  • 感染症病床:病院の病床について、都道府県の区域ごとに、法令の規定により指定を受けている医療機関の感染症病床の合算値を基準として算定。
  • 結核病床:病院の病床について、都道府県の区域ごとに、結核の予防及び結核患者に対する適正な医療の提供を図るため必要な数を算定(具体的な算定方法は、健康局結核感染症課長通知により、技術的助言として都道府県に通知している)。

算定式はこちらの資料に載っていますね。

既存病床数が基準病床数を超える地域(病床過剰地域)では、公的医療機関等の開設・増床を許可しないことができるということです。

このように、医療計画では基準病床数を、全国統一の算定式により算定し、定めていることがわかりますね。

以上より、選択肢④は誤りと判断でき、選択肢③が正しいと判断できます。

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