事例の病態の理解として適切なものを選択する問題です。
オーソドックスな問題ですね。
問65 22歳の男性A、大学4年生。普段と様子が違うことを心配した両親に連れられて、精神科クリニックを受診した。両親によると、Aは、1か月前からいらいらして怒りっぽくなり、夜もほとんど寝ていないという。Aに理由を聞くと、自分の卒業研究の進め方をめぐって指導教員としばしば口論になり、大変であるという。一方で、自分の研究はノーベル賞級のすばらしいものであると胸を張って力説したり、趣味のバイクの自慢をしたり、SNSで自分のバイクのことが絶賛されたと得意げに話したりする。多弁で、話題を変えて話し続ける。先月はバイクの改造にかなりお金を使ったという。薬物の乱用歴はない。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
① 統合失調症
② 双極Ⅰ型障害
③ 双極Ⅱ型障害
④ 気分循環性障害
⑤ 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害
選択肢の解説
① 統合失調症
DSM-5の診断基準を参照してみましょう。
A.以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1カ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくともひとつは(1)か(2)か(3)である。
- 妄想
- 幻覚
- まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
- ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
- 陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)
B.障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。
C.障害の持続的な徴候が少なくとも6か月間存在する。この6か月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1か月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。
D.統合失調感情障害と「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下のいずれかの理由で除外されている。
- 活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない。
- 活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その活動期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。
E.その障害は、物質(例:薬物乱用、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
F.自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、少なくとも1か月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えられる。
これらを踏まえて、本事例を見ていきましょう。
本事例のポイントは「1か月前からいらいらして怒りっぽくなり、夜もほとんど寝ていないという。Aに理由を聞くと、自分の卒業研究の進め方をめぐって指導教員としばしば口論になり、大変であるという。一方で、自分の研究はノーベル賞級のすばらしいものであると胸を張って力説したり、趣味のバイクの自慢をしたり、SNSで自分のバイクのことが絶賛されたと得意げに話したりする。多弁で、話題を変えて話し続ける。先月はバイクの改造にかなりお金を使ったという」という現症歴に該当する疾患を選択することになります。
「1か月前から」という統合失調症の期間に関する基準は満たしていますが、「自分の研究はノーベル賞級のすばらしいものであると胸を張って力説したり、趣味のバイクの自慢をしたり、SNSで自分のバイクのことが絶賛されたと得意げに話したりする」という箇所を妄想等の統合失調症の症状であると見なすのは難しいです。
実際に研究をしているわけで、その現実をどのように評価するかという話ですから、妄想という明らかに間違った内容を信じてしまい、周りの人たちが訂正しようとしても自分では受け入れられない考えを示しているわけではありません。
ただし、種明かしになりますが、本症は双極Ⅰ型障害と見なすのが適切なわけですが、ときに統合失調症と双極Ⅰ型障害は見極めが難しいことも多いものです。
躁症状は統合失調症の陽性症状と、うつ症状は陰性症状と類似していることがあり、しっかりとクライエントの症状に関する言説や経緯(気分の波が見えるかどうか、統合失調症の急性期に典型的な症状がなかったか)などで判断していくことになるでしょう。
以上より、選択肢①は不適切と判断できます。
② 双極Ⅰ型障害
③ 双極Ⅱ型障害
双極性障害はⅠ型とⅡ型があります。
Ⅰ型は躁病エピソードが優位であり、Ⅱ型は軽躁病エピソードが優位な型になっています。
まずはDSM-5で示されている各エピソードについて確認していきましょう。
【躁病エピソード】
A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力がある。このような普段とは異なる期間が、少なくとも1週間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。
B.気分が障害され、活動または活力が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が有意の差をもつほどに示され、普段の行動とは明らかに異なった変化を象徴している。
- 自尊心の肥大、または誇大
- 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
- 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
- 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
- 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
- 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥(すなわち、無意味な非目標指向性の活動)
- 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)
C.この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしている、あるいは自分自身または他人に害を及ぼすことを防ぐため入院が必要であるほど重篤である、または精神病性の特徴を伴う。
D.本エピソード、物質(例:薬物乱用、医薬品、または他の治療)の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。
【軽躁病エピソード】
A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。
B.気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。
- 自尊心の肥大、または誇大
- 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
- 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
- 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
- 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
- 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥
- 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)
C.本エピソード中は、症状のない時のその人固有のものではないような、疑う余地のない機能的変化と関連する。
D.気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。
E.本エピソード、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない、もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。
F.本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。
【抑うつエピソード】
A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。
注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。
- その人自身の言葉(例:悲しみ、空虚感、または絶望感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているようにみる)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。 (注:子どもや青年では易怒的な気分もありうる)
- ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(その人の説明、または他者の観察によって示される)
- 食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加(例:1ヵ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加(注:子どもの場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ)
- ほとんど毎日の不眠または過眠
- ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的でないもの)
- ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
- ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある、単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)
- 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言葉による、または他者によって観察される)
- 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画
C.その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D.そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。
双極Ⅰ型障害と診断するためには、躁病エピソードの基準に該当することが必要です(軽躁病エピソードや抑うつエピソードが先行したり、後に続いたりはある)。
上記を踏まえて、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害の診断基準を見ていきましょう。
【双極Ⅱ型障害】
A.少なくとも1つ以上の軽躁病エピソードが、診断基準(「躁病エピソード」の項、基準A~F)に該当し、加えて、少なくとも1つ以上の抑うつエピソードが診断基準(「抑うつエピソード」の項、基準A~C)に該当したことがある。
B.過去、躁病エピソードがない。
C.躁病エピソードと抑うつエピソードの発症が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。
D.抑うつの症状、または、抑うつと軽躁を頻繁に交替することで生じる予測不能性が、臨床的に意味がある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
【双極Ⅰ型障害】
A.少なくとも1つ以上の躁病エピソード(上記「躁病エピソード」A~D)に該当すること。
躁病エピソードと抑うつエピソードの発症が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症
B.障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。
これらを踏まえて、本問の事例を見ていきましょう。
本事例のポイントは「1か月前からいらいらして怒りっぽくなり、夜もほとんど寝ていないという。Aに理由を聞くと、自分の卒業研究の進め方をめぐって指導教員としばしば口論になり、大変であるという。一方で、自分の研究はノーベル賞級のすばらしいものであると胸を張って力説したり、趣味のバイクの自慢をしたり、SNSで自分のバイクのことが絶賛されたと得意げに話したりする。多弁で、話題を変えて話し続ける。先月はバイクの改造にかなりお金を使ったという」をどう判断するかになるわけです。
Ⅰ型とⅡ型では、診断基準上ではよく違いが判らない人も多いと思いますが、要するに、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす激しい躁状態があればⅠ型と診断され、 一方、周囲から見ると普段とは違うことがわかっても、日常生活や仕事にそれほど支障をきたさない軽躁状態の場合はⅡ型と診断されます。
躁状態がひどく色んな日常生活・社会生活上の問題を示しているか否かを判断基準とするわけですが、本事例の「自分の卒業研究の進め方をめぐって指導教員としばしば口論になり、大変であるという。一方で、自分の研究はノーベル賞級のすばらしいものであると胸を張って力説」「趣味のバイクの自慢をしたり、SNSで自分のバイクのことが絶賛されたと得意げに話したりする。…先月はバイクの改造にかなりお金を使ったという」といった学校生活(指導教員と口論)や日常生活の問題(金銭の散財)が生じていることから、本事例は双極Ⅰ型障害と見なすのが妥当です。
その他、多弁など双極性障害を想定するような症状が示されていますね。
以上より、選択肢③は不適切と判断でき、選択肢②が適切と判断できます。
④ 気分循環性障害
まずはこちらの診断基準を見てみましょう。
A.少なくとも2年間(子どもおよび青年の場合は少なくとも1年間)にわたって、軽躁症状を伴うが軽躁病エピソードの基準は満たさない多数の期間と、抑うつ症状を伴うが抑うつエピソードの基準は満たさない多数の期間が存在する。
B.上記2年間の期間中(子どもおよび青年の場合は1年間)、少なくとも半分は軽躁および抑うつを伴う期間であり、症状がなかった期間が一度に2ヵ月を超えない。
C.抑うつエピソード、躁病エピソード、または軽躁病エピソードの基準は満たしたことがない。
D.基準Aの症状は、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。
E.症状は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症)の生理学的作用によるものではない。
F.症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
本事例を気分循環性障害と見なすには、まずはA基準に引っかかることになります。
2年間、気分の循環が見られることが規定されているので、1か月前からの状態像しか記載されていない本事例では該当しないことになりますね。
また、気分循環性障害の「軽躁症状を伴うが軽躁病エピソードの基準は満たさない多数の期間」という基準ですが、明らかに躁病エピソードを満たしているのが本事例になっていますね。
よって、選択肢④は不適切と判断できます。
⑤ 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害
まずDSM-5におけるADHDの診断基準をチェックしておきましょう。
A. (1)および/または(2)によって特徴づけられる、不注意および/または多動性‐衝動性の持続的な様式で、機能または発達の妨げとなっているもの
(1)不注意:以下の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである。
注:それらの症状は、単なる反抗的行動、挑戦、敵意の表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期および成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である。
(a)学業、仕事、または他の活動中に、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする(例:細部を見過ごしたり、見逃してしまう、作業が不正確である)。
(b)課題または遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である(例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)。
(c)直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える(例:明らかな注意を逸らすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)。
(d)しばしば指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない(例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)。
(e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である(例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりがない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)。
(f)精神的努力の持続を要する課題(例:学業や宿題、青年期後期および成人では報告書の作成、書類に漏れなく記入すること、長い文書を見直すこと)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
(g)課題や活動に必要なもの(例:学校教材、鉛筆、本、道具、財布、鍵、書類、眼鏡、携帯電話)をしばしばなくしてしまう。
(h)しばしば外的な刺激(青年期後期および成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう。
(i)しばしば日々の活動(例:用事を足すこと、お使いをすること、青年期後期および成人では、電話を折り返しかけること、お金の支払い、会合の約束を守ること)で忘れっぽい。
(2)多動性および衝動性:以下の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである。
注:それらの症状は、単なる反抗的行動、挑戦、敵意などの表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期および成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である。
(a)しばしば手足をそわそわと動かしたりトントン叩いたりする。またはいすの上でもじもじする。
(b)席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる(例:教室、職場、その他の作業場所で、またはそこにとどまることを要求される他の場面で、自分の場所を離れる)。
(c)不適切な状況でしばしば走り回ったり高い所へ登ったりする(注:青年または成人では、落ち着かない感じのみに限られるかもしれない)。
(d)静かに遊んだり余暇活動につくことがしばしばできない。
(e)しばしば“じっとしていない”、またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する(例:レストランや会議に長時間とどまることができないかまたは不快に感じる;他の人達には、落ち着かないとか、一緒にいることが困難と感じられるかもしれない)。
(f)しばしばしゃべりすぎる。
(g)しばしば質問が終わる前にだし抜いて答え始めてしまう(例:他の人達の言葉の続きを言ってしまう;会話で自分の番を待つことができない)。
(h)しばしば自分の順番を待つことが困難である(例:列に並んでいるとき)。
(i)しばしば他人を妨害し、邪魔する(例:会話、ゲーム、または活動に干渉する;相手に聞かずにまたは許可を得ずに他人の物を使い始めるかもしれない;青年または成人では、他人のしていることに口出ししたり、横取りすることがあるかもしれない)。
B.不注意または多動性‐衝動性の症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していた。
C.不注意または多動性‐衝動性の症状のうちいくつかが2つ以上の状況(例:家庭、学校、職場;友人や親戚といるとき;その他の活動中)において存在する。
D.これらの症状が、社会的、学業的または職業的機能を損なわせているまたはその質を低下させているという明確な証拠がある。
E.その症状は、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安症、解離症、パーソナリティ障害、物質中毒または離脱)ではうまく説明されない。
事例の多動的なところからADHDも想定することは確かに必要かもしれません。
しかし、すでに述べているように、日常生活・学校生活に支障をきたすほどの躁的な言動(誇大性、自尊心の肥大)となってくるとADHDの多動性で片付けて良いものではありません。
よって、選択肢⑤は不適切と判断できます。