臨床心理士の資格試験にもよく出題される新行動主義についてまとめます。
ワトソンの行動主義に影響を受けて、それを発展させようという流れで「新行動主義」が生まれました。
操作主義=「概念をそれ自体の内容で規定せず、それに対応する一群の具体的手続き(=操作)に還元して規定しようとする立場」を取り入れました。
※DSMも「操作主義」を取り入れています。概念の本質を問題にするのではなく、こういう方法(診断基準)で観察可能であれば、その概念を規定することができるということ。
操作主義を取り入れることで、環境刺激-行動の間にさまざまな媒介変数を入れることができ、「S-O-R」という考えが可能となったわけです。
新行動主義の代表的研究者は4名になります。
- Tolman(トールマン):
「動物と人間における目的的行動」(1932)の中で、S-Rの結合した反射のようなものを微視的行動、それに対し目的的な行動を巨視的行動と呼び、この目的的な行動の研究を重視した。
刺激-反応の間の媒介変数(O)として、期待や仮説、信念、認知地図などを採用し、これらが認知心理学の成立へとつながっていった。
- Hull(ハル):
「行動の原理」(1943)で注目された。
Oとして習慣強度(過去の学習・強化経験の結合である習慣の強さ)、動因(行動を何らかの方向に向ける心的エネルギー)、反応ポテンシャル(刺激反応に基づく行動の強さや早さ。観察、数量化可能なもの)などを挙げ、強化の「動因低減説」(反応が起こりやすくなるのは、反応することによって動因を引き下げることができるから)を示した。
- Guthrie(ガスリー):
トールマンやハルの理論が複雑すぎるとし「近接性」の法則だけで学習を説明しようとした。
学習理論の主流がS−RからS−O−Rに移行しつつある中、あえてSとRの時間的・空間的接近が学習の必要条件であるとし、学習は単一の条件づけによって成立可能で、強化の反復は必ずしも必要ではないと考えた。
- Skinner(スキナー):
学習に必要なものは、反応の後にどれだけ強化が伴うのか(=強化随伴性)とした。
ソーンダイクの仕事をもとに理論を組み立てていった。
「生体の行動」(1938)で、古典的条件づけとオペラント条件付けを区別した。 - 行動強化のために強化理論を用いることをオペラント条件づけと呼び、その強化度を測定する尺度として最も適切なものは応答速度だとした。
- オペラント条件付けの研究のために「オペラント条件付け箱」を発明し、これはスキナー箱として知られている。
【2018-5】