公認心理師 2018追加-4

ゲシュタルト心理学において中心的に研究され、現在も継続して研究されているものとして、最も適切なものを1つ選ぶ問題です。

公認心理師2018-79の選択肢①がゲシュタルト心理学に関しての内容でしたね。

きちんと押さえておきましょう。

問4 ゲシュタルト心理学において中心的に研究され、現在も継続して研究されているものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① 学習
② 感情
③ 態度
④ 知覚
⑤ 集団特性

本問は心理学の源流について、ある程度把握していることが求められる問題です。

歴史の勉強と同じで、点で覚えるのではなく、線で覚えることが重要です。

よって、ヴントの構成心理学および行動主義についても把握していることが大切で、そこからの流れとしてゲシュタルト心理学を理解していくことが求められます。

そもそも現代の心理学は、ヴントの構成心理学に対する批判が枝分かれして広がってきました。

  • 意識に対して、行動を重視したのが行動主義心理学ですね。
  • 部分ではなく、全体性を重視したのがゲシュタルト心理学です。
  • 意識ではなく、無意識を重視したのが精神分析学です。
  • 自然科学的な方向性を批判し、ありのままを重視したのが現象学的心理学です。

ここでは、このすべての流れを説明はしませんが、それぞれの流れにおける重要人物等を押さえておくことが大切になります。

解答のポイント

心理学の大まかな歴史的な流れを把握していること。

各領域の重要な概念を把握していると解きやすい。

選択肢の解説

④知覚

北アメリカで行動主義が活発になり始めたころ、ドイツではWertheimer、Köhler、Koffkaらが、心理現象の全体性を重視し、心(意識)を構成要素の複合体だと考えるヴントの構成主義を批判しました。

彼らは、心理現象全体が持つ特性はそれを構成する要素に還元できず、1つのまとまりとしての全体をそのまま研究するべきだと主張しました。

そのようなまとまりをドイツ語では形態=ゲシュタルトと呼びます。

そのため、彼らが提唱する考えに基づいた心理学を「ゲシュタルト心理学」と呼ぶようになりました。

ゲシュタルト心理学にはグラーツ学派とベルリン学派があります。

グラーツ学派では、Ehrenfels(エーレンフェルス)がメロディーを構成するのはそれぞれの音だが、同じ音を使っても同じメロディにはならず、メロディとして構成されるには音と音のつながりが重要とし、こうした性質を「ゲシュタルト質」と呼んで、1890年に発表しました。

ゲシュタルト質とは、「部分の総和以上の性質を持つ全体」ということであり、幾ら詳細に要素(部分)を分析しても全体として生み出される法則的な性質にたどり着くことが出来ないという考えです。

ゲシュタルト心理学では、ベルリン学派の仕事の方が有名かもしれません。

Wertheimerによる「仮現運動」の発見(1912)が代表的です。

有名な概念として、プレグナンツの原理(人間は物事を可能な限り簡潔に知覚する傾向がある)、ゲシュタルト要因(連続の要因・近接の要因・閉合の要因・類同の要因)などがあります。

この学派では、それまでの知覚の考え方(恒常仮定)を否定し、恒常性の存在を示し、それは体制化された脳の機能と主張しました。

知覚を要素主義的に考えることに批判したことから、洞察学習(ケーラー)や集団力学(レヴィン)などにも影響を与えました。

以上のように、ゲシュタルト心理学の研究として知覚に関するものが多くを占めていることがわかります。

よって、選択肢④が適切であると判断できます。      

①学習
⑤集団特性

上記からもわかるとおり、学習については「洞察学習」が、集団特性については「集団力学」がゲシュタルト心理学の流れで生じています。

ある種、ひっかけ問題のような感じがあるのかもしれないですね。

学習に関しては行動主義からの広がりも大きいですし、集団特性については社会心理学の一分野と言えます。

以上より、選択肢①および選択肢⑤は不適切と判断できます。      

②感情
③態度

感情に関する心理学と関連する概念といえば、ジェームズランゲ説、キャノンバード説、顔面フィードバック仮説、シャクターの二要因仮説、ラザルスの理論などでしょうか。

かなり幅広い領域ではありますが、ゲシュタルト心理学が中心的に研究しているというわけではありません。

態度については社会心理学の一分野ですね。 認知的不協和理論、バランス理論、自己知覚理論、説得効果の研究、信念、偏見、対人魅力などが有名なところですね。

こちらもやはりゲシュタルト心理学との関連が大きいというわけではありません。

以上より、選択肢②および選択肢③は不適切と判断できます。  

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