公認心理師法の内容に関する問題です。
何度も出題されてきた内容ですから、きちんと対応できるようにしましょうね。
問112 公認心理師法で定められている内容として、誤っているものを1つ選べ。
① 業務独占が認められている。
② 信用失墜行為が禁止されている。
③ 他職種との連携が義務付けられている。
④ 秘密保持義務違反への罰則が規定されている。
⑤ 公認心理師登録事項の変更について届出が義務付けられている。
選択肢の解説
① 業務独占が認められている。
この選択肢と関わる公認心理師法の条項を挙げていきましょう。
(定義)
第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
(名称の使用制限)
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三十二条第二項の規定により公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、公認心理師の名称を使用し、又はその名称中に心理師という文字を用いたもの
二 第四十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
定義にも「公認心理師の名称を用いて」と記されているように、また、第44条に「名称の使用制限」が定められているように、公認心理師は「名称独占資格」であると言えます。
資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格のことを指すわけですが、資格がないのに公認心理師の仕事をすることには罰則規定はなく、ここが業務独占資格(資格を持っている人だけが、独占的にその仕事を行うことができる)と名称独占資格との大きな違いとなっています。
ちなみに、作業療法士、理学療法士なども名称独占資格になりますね。
「業務独占資格」としては医師があり、これは医師法第17条には「医師でなければ、医業をなしてはならない」とされていることからも明らかです(医師法第17条に違反すれば「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(同法第31条第1項)」となります)。
以上のように、公認心理師には業務独占は認められていません。
よって、選択肢①が不適切と判断でき、こちらを選択することになります。
② 信用失墜行為が禁止されている。
③ 他職種との連携が義務付けられている。
④ 秘密保持義務違反への罰則が規定されている。
⑤ 公認心理師登録事項の変更について届出が義務付けられている。
ここでは上記に関連のある公認心理師法の条項を挙げていきましょう。
(登録事項の変更の届出等)
第三十一条 公認心理師は、登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出なければならない。
2 公認心理師は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
(秘密保持義務)
第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。
(連携等)
第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。
2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。
(資質向上の責務)
第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。
このように、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携等(加えて、資質向上の責務)については、公認心理師の義務として定められています。
これらは公認心理師法において重要な条項ですから、明確に押さえておくようにしましょう。
また、登録事項の変更についても届け出が義務付けられていますね(「~ねばならない」は法的義務を示す表現であると理解しておきましょう)。
以上より、選択肢②、選択肢③、選択肢④および選択肢⑤は適切と判断でき、除外することになります。