臨床心理士資格試験で出た内容:YG性格検査とMMPI

公認心理師試験ではMMPIが出ましたね。
臨床心理士資格試験では、YGとMMPIは比較されながら出題されることがあります。
それはYGが「内的整合性」によって質問項目の信頼性を高めているのに対し、MMPIは「臨床的妥当性」を用いているためです。

臨床的妥当性については、公認心理師試験の2018-109で「質問項目は、患者群と非患者群との間の統計的有意差を基に作られている」という表現で出題されています。
詳しい内容は上記の問題解説を参考にしてください。

YG性格検査

基本情報

  • 南カリフォルニア大学Guilford教授が考案したギルフォード性格検査をモデルに、京都大学の矢田部教授が日本に合うように作成した検査。
  • 12尺度(各10問)の120問で構成されている。
  • 12の尺度から性格特性を分類し、A~Eの5因子に分類し、ものの考え方や捉え方、人との関わり方等の傾向を見る。混合型もある(AB型など)。

結果の解釈:5つのタイプについて

  • A型:Average Typeと呼ばれる。平均型。
  • B型:Black List Typeと呼ばれる。情緒不安定+外向的。
  • C型:Calm Typeと呼ばれる。安定適応消極型。穏やかなタイプ。
  • D型:Director Typeと呼ばれる。情緒安定+外向的。
  • E型:Eccentric Typeと呼ばれる。情緒不安定+内向的。

MMPI

基本情報

  • ミネソタ大学のハザウェイとマッキンレイが作成(1943年)。
  • 投影法(ナラティブ)から、客観性(エビデンス)へ。
  • 特定のパーソナリティ理論に基づいてはいない(人格特性論的でない)。
  • 症状名を調べるのではなく、人格特徴を把握する検査。
  • 550問の項目を備えている。新しい尺度が作られ活用されている(不安尺度、自我強度尺度などが有名)。
  • 「現状」を見るもので、「性格特性」という普遍性を持っていない。
  • MMPIの項目を利用してMASなどが作られている。

臨床的妥当性とは?

  • 質問項目に求めるのは「意味」ではなく「弁別力」である。
  • 弁別する力があれば(臨床的見分けができれば)、項目として妥当。

妥当性尺度を知っておくこと:4種の妥当性尺度

  • ?尺度(疑問尺度):
    「どちらともいえない」と答えた項目の数を表しており、これが多い場合は妥当性が疑わしくなるため、判定の中止、あるいは再検査を検討する必要がある。
  • L尺度(虚偽尺度):
    Lはうそ(Lie)を表し、被験者が自分を好ましく見せようとすることによっておこる反応の歪みの程度を調べるもの。
    わりあい素朴な受検態度の歪みを検出する。
  • F尺度(頻度尺度):
    正常な成人においては出現率の低い回答をした数。これが多いと「でたらめに回答した」「よく読まないで回答した」ために矛盾が多くなり、信頼性が低くなる。
    一方で、「大袈裟に訴える」という援助を求める叫びの場合も。
    アイデンティティの混乱を反映する可能性があり、青年期に高くなりやすい。
  • K尺度(修正尺度、対処尺度):
    自己に対する評価、検査に対する警戒の程度を調べるもので、高いほど自己防衛の態度が強い、自分の心理的問題を認めようとしない傾向となる。
    低得点は率直さと自己批判的態度を表す。

臨床尺度を知っておくこと:10種の臨床尺度

  1. 第1尺度Hs:心気症。自分の健康状態について過度に気にして悩む傾向。
  2. 第2尺度D:気分的抑うつの程度を示す。
  3. 第3尺度Hy:ヒステリー。特に身体面への転換症状を起こしやすい傾向。
  4. 第4尺度Pd:精神病質的偏倚。反社会行動を起こしやすい傾向。
  5. 第5尺度Mf:男性性・女性性。伝統的な性役割取得の程度、性役割の柔軟性。
  6. 第6尺度Pa:パラノイア。疑心など妄想をもちやすい傾向。
  7. 第7尺度Pt:精神衰弱、強迫神経症の指標。
  8. 第8尺度Sc:統合失調症。奇妙な行動、幻覚妄想、異常な思考の傾向。
  9. 第9尺度Ma:軽躁病。活動性を示す。高得点ほど活動的。
  10. 第0尺度Si:社会的内向性。社会的接触を好まない傾向。

プロフィール・解釈のポイント

  • LとKが50以下でFが60以上の山型パターンは、自らの情緒的問題を認めて援助を望むあまり症状を誇張して訴える「救助を求める叫び」サインとして知られている。
  • LとKが高く、真ん中のFが低い形(V字型)は、「よく見せかけている受験態度」の典型パターン。
  • 右上がりのプロフィールは精神病傾向を示す(右下がりは神経症傾向)。ゴールドバーグ指標などが使われる:(L+Pa+SC)-(Hy+Pt);40以上で精神病的傾向、30以下で神経症的傾向。

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