臨床心理士資格試験で出た内容:内田クレペリン作業検査、知能検査・発達検査を少々

検査については、いったんこれで終わりになります。
書き出してみると少ないですが、実際に問題形式で出されると戸惑いがちです。
やはり問題形式で力をつけていくことが、試験対策では大切な気がします。

内田クレペリンは今回の公認心理師では出題されていません。
WAIS-Ⅲは、2018-762018-137の選択肢④で出ています。
田中ビネーは、2018-137の選択肢⑤で出ています。
新版K式は出ていませんが、こちらに以前詳しく述べております。

やはり知能検査(WAIS)については一問丸々使って出ましたね。
個人的にはWISCの方が出やすいかなと思っていたので、意外でした。

内田クレペリン作業検査法

概要

  • 精神医学者Kraepelinが創始した連続加算法を発展させ、内田勇三郎が独自に考案した検査。
  • もともと精神疾患に固有の曲線を見出すことが目的だったが、明確な固有曲線は見られなかった。
  • 加算作業は1行について1分間実施する。前半15分が経過したあと、5分間休憩し、後半15分で再び同じ作業を開始する。
  • 連続加算作業の量と質について、時間的推移を調べる。

解釈のポイント

  • 曲線類型の判定は、作業量段階と健康者常態曲線からのズレの程度との組合せによって行う。
  • 集計では、①誤謬のチェック、②プロフィールを描く、③作業量の産出、④休憩効果率の算出、⑤初頭努力率の算出、⑥動揺率の算出、⑦V字落ち込みの算出、⑧曲線類型の判定および作業適応度の判定。
  • 大きな落ち込みは、思考や動作が一時的に停滞していると判断する。
  • 間違えた確率を「誤謬率」という。
  • 前期よりも後期の方が作業量は大きいのが一般的(練習効果)。
  • 評価では、AU、A、B、C、Dなどとなり、それにuやカンマ、fやpなどが付いてくる。

Wechsler式知能検査

概要

  • Wechslerは、知能構造の質的な差異を知ることが重要と考えた。
  • 知能指数には、偏差知能指数=DIQ(Deviation IQ)が用いた。偏差知能指数とは、一般的な知能指数(平均)からどの程度異なるかを示した値。
  • 偏差知能指数(偏差IQ)={(各個人の点数-当該年齢段階の平均点)÷当該年齢段階の標準偏差×15 }+100 
  • もともと言語性・動作性の枠組みがあった(α、βの名残)。WAISには残っていて、WISCはなくなった。

WAIS-Ⅲ

  • 16歳~89歳まで。
  • 中断した場合、二回目の実施は原則として一週間以内に行う。
  • 全検査IQ、言語性IQ、動作性IQという3つのIQのほか、言語理解、知覚統合、作動記憶、処理速度という4つの群指数を測ることができる。

WISC-Ⅳ

  • 5歳~16歳11ヶ月対象
  • 知的発達のいくつかの領域における個人内差を明らかにできる。
  • 指標得点(群指数)は、言語記憶、知覚処理、ワーキングメモリ、処理速度の4つから成っている。
  • WISC-Ⅲから引き継いだのは「類似・単語・理解・知識・数唱・算数・積み木模様・絵の完成・符号・記号探し」であり、Ⅳから新しく「絵の概念・語音整列・行列推理・絵の抹消・語の推理」が示された。

Binet式知能検査

  • 知的障害児のスクリーニングが主な目的として作成された。
  • 問題は該当年齢の児童の75%程度が通過するように設定してある。
  • ビネー式検査は多くの国で認められ改訂されたが、その中で有名なのがスタンフォード大学のターマンによって行われた改訂で、ビネーよりも多くの児童に対し検査を実施し、項目の再検討を行って「スタンフォード・ビネー改訂知能検査」として発表した。
  • ターマンは、単に精神年齢と歴年齢の差を取るよりも、それらの比率を使ったほうが良いと定めた。つまり、IQ(知能指数)=精神年齢÷歴年齢×100という式を示した。

新版K式発達検査2001

  • 0歳から成人まで適用可能で、328項目で構成されている。
  • 聴取による判定をできるだけ避けて、検査場面の子どもの行動から判断する検査。
  • 「姿勢・運動領域」「認知・適応領域」「言語・社会領域」の3領域において、それぞれ発達年齢、発達指数が算出できる。
  • 0歳児を対象とする第1葉、第2葉は、検査を受ける子どもの姿勢を、子どもに負担がかからないように順を追って変えていくので、検査の実施順が決められている。
  • 第3葉以降は、子どもの興味や注意を持続させるように実施順序を工夫するよう求められている。

津守式乳幼児精神発達診断法

  • 運動、探索・操作、社会、食事・排泄・生活習慣、理解・言語の5領域について発達の偏りを把握することができる。
  • 親が子どもの日常の生活場面を想起して回答を求める検査。過大評価、過小評価が起こり易いので注意すること。

その他の発達検査

  • 新版S-M社会生活能力検査:
    1歳~13歳を対象とした社会生活能力を、①身辺自立、②移動、③作業、④意思交換、⑤集団参加、⑥自己統制の6領域130項目について、保護者に回答を求める。
  • デンバー式スクリーニング検査:
    発達の偏りを早期に発見し、予防に資することを目的とした検査。診断を行うためのものではない。
  • ブラゼルトン新生児行動評価法:
    生後3日から実施でき、最高の行動に基づいて採点する。
  • 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法:
    移動運動・手の運動・基本的習慣・対人関係・発語の5領域にそれぞれ26項目、言語理解領域に21項目の合計151項目からなっている。

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