公認心理師 2018追加-17

バーンアウトについて、正しいものを1つ選ぶ問題です。

近年、ヒューマン・サービス従事者に対する要求がずいぶん高いように感じます。
こういう状況はバーンアウトを生じさせやすいと言えますね。

いわゆる「燃え尽き症候群」のことですが、公認心理師では「バーンアウト」という表記で統一するのかもしれないですね。
本問は、バーンアウトの基本的な理解を求めている問題と言えます。

解答のポイント

バーンアウト=燃え尽き症候群の概論的理解ができている。

選択肢の解説

『①バーンアウトの中核的な特徴は不安である』
『③バーンアウトを初めて提唱したのはC.Maslachである』
『⑤バーンアウトにおける情緒的消耗感とは自分への不信や疑惑が生じる状態を指す』

バーンアウトはFreudenbergerによって提唱された心身の症候群ですが、これを「極度の身体疲労と感情の枯渇を示す症候群」と定義したのがMaslachです
フロイデンバーガーは「持続的な職業性ストレスに起因する衰弱状態により、意欲喪失と情緒荒廃、疾病に対する抵抗力の低下、対人関係の親密さ減弱、人生に対する慢性的不満と悲観、職務上能率低下と職務怠慢をもたらす症候群」としています。

マスラックはMBI(Maslach Burnout Inventory)を開発し、これは以下を測定します。

  • 心身ともに疲れ果てたという感覚(情緒的消耗感)
  • 人を人と思わなくなる気持ち(非人格化)
  • 仕事へのやりがいの低下(個人的達成感の減退)
これらがバーンアウトの中核的な特徴と捉えてよいでしょう。
MBIマニュアルによれば情緒的消耗感とは「仕事を通じて、情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態」と定義されています。

MBIの3つの下位尺度のうち、この情緒的消耗感をバーンアウトの主症状であると考えるのが、バーンアウトにかかわる研究者の一致した見方です
つまり、バーンアウトとは、仕事の上で日々過大な情緒的資源を要求された結果生じる情緒的消耗感であり、他の2つの下位尺度はこの「枯渇状態」 の副次的な結果であるとされています
バーンアウトはブループリントで言えば、「支援者のメンタルヘルス」の枠組みで語られることも多いだろうと思います。
それは自らの役割に誠実な人ほど、日々接するクライエントと、このような感情のやりとりを繰り返していく中で疲弊し消耗していくとされているためです。

以上より、選択肢①、選択肢③および選択肢⑤は誤りと判断できます。

『②バーンアウトの最も多い職種は生産技術職である』

バーンアウトはもともと、医師や看護師・教師などのヒューマン・サービス従事者にあらわれる「極度の疲労と感情枯渇の状態」が注目されて生まれた概念です
ヒューマン・サービスの需要が急増した70年代中期以降から注目され出した概念です。
急速な需要の拡大により、職場の対応がしきれなくなったころとされています。

ヒューマン・サービスは心的エネルギーが過度に要求されるにもかかわらず、人間がという生の対象を相手にするため「目に見える成果」が得にくいものです
そのストレスから生じる状態を、フロイデンバーガーが「バーンアウト=燃え尽き」と名づけました。

もちろん対人援助職に限らず、極度のストレスがかかる職種や、一定の期間に過度の緊張とストレスの下に置かれた場合に発生することが多いとされています。
以上より、選択肢②は誤りと判断できます。

『④バーンアウトした人は他者に対して無関心になりやすい』

先述したマスラックのMBIのうちの一つ「非(脱)人格化」については、「クライエントに対する無情で非人間的な対応」と定義されています
すなわち、相手の人格を無視した、思いやりのない紋切り型の対応を意味しています
 具体的な例としては、
  • クライエントを名前でなく病名で呼ぶようになる。
  • クライエントが理解できないような専門用語を頻繁に使うようになる。
  • 人と関らないような作業を好むようになる。
などでしょうか。
こうした対応の背景には他者への無関心があると考えられています
もう1つのMBI指標の「個人的達成感の減退」についても「職務に関わる有能感、達成感の低下」と定義されています。
これも他者への関心が低くなることによるものと捉えることが可能ですね
更に、どこかその対応には怒りが込められているようにも感じられます。
その辺がうつ病の無関心とは異なるところだと思います。
よって、選択肢④は正しいと判断できます。

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