箱庭療法・遊戯療法

箱庭療法および遊戯療法は、今回の公認心理師試験には全く出ていません。
これだけ日本で広がっているわけですから、出てもいいもんなのにな、というのが正直なところです。

今回は臨床心理士資格試験に出た内容を中心にまとめておきます。
第2回以降の試験では出る可能性もあるでしょう。

箱庭療法

基本情報

元々はLowenfeldは子どもの心理療法のため「世界技法」を考案しました。
ローエンフェルトの教えを受けたカルフが、分析心理学の知見をもとに成人向けに発展させたのが箱庭療法です。
河合隼雄先生が日本に導入しました。

表現行為そのものにカタルシス効果があるとされています。

Th-Cl関係を重視し、両者を「母子の一体性」と表現します。

解釈について

解釈仮説を持ちつつも、解釈を基本行わずに保護された空間で一緒に眺めるような雰囲気が重要。
深い受容には解釈が、意味ある解釈には受容が必要という相補的な関係があるとされる。

カルフは治療過程をNeumannの考えに従い「動物・植物的段階-闘争の段階-集団への適応の段階」と考えました。
空間象徴理論(左が内的世界・無意識、右が外的世界・意識)の活用されています。

作品をシリーズで見ていくことで、一連のテーマを見出すことが可能。
継時的に展開しない場合は、テーマを見誤っているか、関係性の問題があると見なす。

アイテム等

  • 砂:
    砂だけで作っても良い。心理的退行を促すので、治療的にも崩壊感を招くことにも成り得る(触れられる範囲が大きいからといって健康とは限らない)。砂の量を調整できるような配慮があっても良い。砂を触っているだけでも箱庭療法である。全部出すこともあってよい。
  • 水:
    掘って水を見せる場合もあれば、実際の水を使う場合もあるが、その場合は慎重な判断が必要。
  • アイテムが多いほど良いわけじゃない。「見立てる」こと(一つのものを使って、さまざまなものを表現する。葉っぱが船になるなど)が重要。
  • 家からアイテムを持ってきても良いか否か。
  • 箱は一定の大きさ、高さが設定されている。箱の枠組みには、守りと自由度の制限という意味がある。プレイルーム、箱、関係性などの枠組みが備わっている。箱があっても守りとして果たせない場合もある。

その他

見守ることと、視覚的に見ていることは違う。
統合失調症者には適さないとされることが多く、適用が可能か否かを判断するために風景構成法を実施するという手法が採られていたこともありました。
「出来上がりかけて壊すことを繰り返す→器質的な障害」という捉え方が臨床心理士資格試験で出ていますが、どういう論理なのかは解き明かせていません。

遊戯療法

基本情報

遊戯療法の適否は、言語化能力によって決めるのではありません。
ただ一般的に小学校6年生くらいが、面接への移行期とされています。
子どもとはいえ、治療目標について理解できるよう話す努力をすべき(小倉清先生がこの点は繰り返し主張されています)。
片付けは子どもの状態(枠組みをきちんとすること、しないことの治療的意義)や、セラピストの考え方(制限と受容の考え方)によって対応を考えていくことが重要。
セラピスト自身が遊びに主体的に加わることも大切になる。
プレイルームの枠組みで起こったことが、そのまま日常場面でも起こるわけではないが、変化は如実に表れます。
目的が散漫になりやすいので、プレイルームの場の説明は大切とされています。

理論的なこと:遊びをどう捉えているか、など

  • Axline:
    児童中心療法。8つの基本原理。褒めること自体が、ある種の行動を引き出してしまう。制限については、導入する必要が生じるまで待ったほうが良く、制限というのは自然で必然性を伴った行動である。
  • Freud,A. :
    親の影響を排除しない。遊びをシンボリックなものとして扱うことに懐疑的。ラポール形成などの導入期が必要。転移神経症は起こらないと考えた。
  • Klein,M.:
    幻想や願望などを遊びを通して表現するので、それらを解釈して意味あるものにする。原法を運用し、導入期は不要という立場。外界をあまり考慮しない。プレイテクニックの開発。
  • Allen:
    遊びそのものには治療効果はなく、セラピストとの関係性が重要。
  • Erickson:
    遊びをコミュニケーションの方法とし、模型的状況での体験が現実適応力を高める。
  • Winnicott:
    遊ぶこと自体が治療的なので、遊びが生じるよう環境調整することが大切。

その他

  • 親に何と言われてきたのか?という質問の重要性。
  • おもちゃを持って帰りたいと言い出した場合の対応:①気持ちをよく聴く(受容的)、②他の子どもも大切にしていると伝える(現実原則)。
  • おもちゃを持って帰りたいときの捉え方:①プレイルームの体験を納めることが難しい場合(行動化の可能性)、②プレイルームでの経験の過不足の修正、などなど。
  • 攻撃的なプレイの対応。制限とのバランス。セラピストの不安。
  • うまく子どもに関われない親の場合、プレイを見てもらうことも。

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