公認心理師 2018-4

森田療法の問題ですね。
意外と日本の心理療法について出たので嬉しいやら、解く側としては困ったものやらです。

解答のポイント

森田療法の成り立ちや基本的な方法を知っていること。
森田療法の重要概念とその意味を理解していること。

解答のために必要な知識

選択肢ごとに解説していきます。

『①「精神交互作用」の過程を重視する』

精神交互作用とは、注意と感覚が悪循環に作用して、ますます恐れや違和感が強く感じられることを指します。
些細な症状を自意識過剰のために自己点検をして症状を悪化させるという悪循環に陥ると考えられています(要は一回気になると更に気になるという、あの感じ)。

森田療法において、精神交互作用は症状の成立過程における重要概念であり、『①「精神交互作用」の過程を重視する』の内容は適切と言える

『②創始時に多く適用された対象は、統合失調症であった』

完全を期さないと気が済まない人(森田神経質)は、精神交互作用という悪循環を生じさせやすいため、この悪循環を断ち切るための治療法が森田療法です。
つまり、森田神経質とされている人への治療法ということです。

森田療法は、対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、不安神経症、心気症などが主たる治療の対象であり、これまでに高い治療効果をあげてきています。

統合失調症はできるにしても非常に限られた症例(中井,2004)とされておりますので、この選択肢は誤りとなります。

『③あるがままを受け入れるアプローチは、「身調べ」に由来する』

森田療法では、症状へのとらわれから脱して「あるがまま」の心の姿勢を獲得できるよう援助していきます。
「あるがまま」とは、①不安や症状を排除しようとするはからいをやめ、そのままにしておく態度を養うこと、②不安の裏にある生の欲望(向上発展の希求)を建設的な行動に発揮していくことを指します。

ただし、「身調べ」については森田療法ではなく内観療法の概念になりますので、この選択肢は誤りとなります。
なお身調べとは、遮断され孤立した場所で過去の対人関係について徹底的に内省を促されることを指します。

『④原法の絶対臥褥期では、読書は行ってもよいとされる』

絶対臥褥期では、終日個室に横になったままで、一切の気晴らしは禁止とされています。

三度の食事と排泄以外は、臥褥して暮らすことが求められ、1週間これを続けて、はじめて起きることを許されるので、この選択肢は誤りとなります。

『⑤「ヒポコンドリー性基調」とは、注意が外界に向けられ他者に敏感である状態をいう』

ヒポコンドリー性基調とは、いたずらに病苦を気にする精神的基調を指す。
選択肢のような『注意が外界に向けられ』というものではなく、むしろ自身に向いています。

森田神経質は、対人恐怖・強迫神経症などのような内向的な疾患が中心とされていますので、この選択肢は誤りとなります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です