リーダーシップのまとめ

リーダーシップについては、その研究の歴史と併せて覚える方が良いように思います。
それを踏まえて、各理論についてまとめていきます。

【資質・特性論】

リーダーとなる人間は、生まれながらにして特性を有しており、それ故にリーダーと機能すると考える立場。
偉人説などがこれに該当する。

【行動記述的アプローチ】

リーダーシップとは後天的に学習された行動スタイルと考える立場。
誰でもに身につけることができる、と考える。
優秀なリーダーという確定的な存在を規定している。

◎PM理論

三隅二不二が提唱した理論。
Performance機能:職務遂行機能。目標達成や課題遂行。
Maintenance機能:集団維持機能。対人関係の緊張を和らげ、集団を維持強化する。
※これらの単語をもじる問題が臨床心理士資格試験では出ています。例えば、Personalityにするなど。
両機能の強弱の組み合わせから4つのリーダーシップスタイル(PM、P、M、pm)を示した。

◎マネジリアル・グリッド理論

Blake&Moutonが提唱。
横軸に「管理者の生産に関する関心度」、縦軸に「人間に関する関心度」をとり、両軸を9等分し(9×9)、合計81区画(グリッド)を取って管理スタイルを分析した。
大きく分けて5タイプを分類した。
 消極型(1・1型):人と業績の両方に関心を持たない放任型リーダー
 人間中心型(1・9型):業績より、人を重視する人情型リーダー
 仕事中心型(9・1型):人より、業績を重視する権力型リーダー
 中庸型(5・5型):人と業績の両方にほどほどの関心を持つ妥協型リーダー
 理想型(9・9型):人と業績のどちらにも関心を持つ理想型リーダー

【状況適合(即応)的アプローチ】

行動記述的アプローチでは、普遍的に有効なリーダーの行動・特性を定義できなかった。
そこで「優れたリーダーは、メンバー側の特性や、集団をとりまく条件等を考慮しながら、リーダーとメンバーの相互作用によって生じる」という考え方が生まれた。
※状況に「適合」もしくは「即応」するようなリーダーが重要という考え方、でしょうか?
※ちなみに臨床心理士資格試験では、状況即応モデル=フィードラーのモデルという書き方がされています。

◎Fiedlerのモデル(LPCモデル)

フィードラーは「Least Preferred Coworkers(リーダーが最も苦手とする同僚に対する評価)の中でリーダーは明確なパターンを示す」と考え、18項目からなるLPC得点を示した。
 低LPCリーダー:課題志向性が強い
 高LPCリーダー:対人関係志向性が強い
LPC得点をもとに、どのような状況下では、どのようなスタイルのリーダーが効果的かを探った。
 リーダーにとって状況が好ましい・好ましくない場合:課題志向型リーダー
 リーダーにとって状況の好ましさが中程度の場合:関係志向型リーダー

◎Hersey&Blanchardの状況対応リーダーシップモデル

リーダーの基本的行動スタイルを指示的行動(課題達成行動:P行動)と協労的行動(関係維持行動:M行動)に分けた。
メンバーのレディネス(準備性、成熟)を考慮に入れて、状況に合わせた4つのリーダーシップ行動(指示的・説得的・参加的・委任的)を提案した。

◎Houseのパス・ゴール理論

リーダーの役割とは「部下がうまく目的・成果(ゴール)に到達するために、どのような経路(パス)をたどればよいのかをリーダーが把握し、有効な働きかけをすること」とした。
※リーダーシップ理論と、動機づけ理論とを結び付けて考えた。
リーダーのタイプとして、以下のものをあげた。
指示型:課題が曖昧、チーム内に葛藤がある場合や、部下の自律性や経験値が高くない時に有効
支援型:課題が明確な場合や、リーダー・部下間の公式権限が明確な組織の場合に有効。
参加型:部下の能力や自律性が高く、自己解決意欲がある場合に有効。
達成志向型:困難で曖昧な課題でも前に進めたい場合に、努力すれば好業績になるという期待で部下を動機づける時に有効。

【最近の理論】

◎LMX (Leader – Member eXchange)理論

Dienesch & Lidenが提唱。

リーダーとメンバーのPsychological contract (心理契約=メンバーがリーダーは契約した約束を守っていると信じているかどうか)で評価する。
 LMXの質が高い:メンバーの離職率を抑えられ、高い成果をもたらす。
 LMXの質が低い:その成果は低くなる。
従来の理論ではリーダーはフォロワー全員を均等に扱うことが前提だったが、LMX理論ではリーダーが一部のフォロワーを内輪の人間(in-group)、他を外集団(out-group)として扱う点に注目した。

◎変革型リーダーシップ

従来の組織を効率的に管理する人がリーダーであり、マネジャーであるとの暗黙の前提と一線を画するものとして「変革(革新)型リーダーシップ論」がある。
※従来の研究が想定していたリーダーシップを「交流型(取引型)リーダーシップ」と位置づけられる。
特徴は以下の通り。
①魅力あるビジョンを作りだし、それを明確にフォロワーに伝えることができる
②ビジョンを実現化する戦略を構築し、それが現実に達成できる期待をフォロワーに抱かせることができる
③フォロワーとの間に人間的ないし感情的な絆を結んで、彼らからより多くの貢献を引き出す
④フォロワーにとって理想の役割を演じることができる

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