公認心理師 2018-123

学校における教職員へのコンサルテーションに含まれるものとして、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)」の中で、以下の通りスクールカウンセラーの役割が記載されております。

  • SCは、心理に関する高度な専門的知見を有する者として、不登校、いじめや暴力行為等問題行動、子供の貧困、児童虐待等の未然防止、早期発見及び支援・対応等や学習面や行動面で何らかの困難を示す児童生徒、障害のある児童生徒・保護者への支援に係る助言・援助等のため、これらを学校として認知した場合や災害等が発生した場合等において、様々な技法を駆使して児童生徒、その保護者、教職員に対して、カウンセリング、情報収集・見立て(アセスメント)や助言・援助(コンサルテーション)を行うとともに、全ての児童生徒が安心した学校生活を送ることができる環境づくり等を行うことが求められる。
  • さらに、SCは個々の児童生徒のみならず学校全体を視野に入れ、心理学的側面から学校アセスメントを行い、個から集団・組織にいたる様々なニーズを把握し、学校コミュニティを支援する視点を持つ必要がある。

上記より、SCにとってコンサルテーションは主要な活動の一つと言えます。
この点を踏まえつつ、各選択肢の検証を行っていきます。

解答のポイント

「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)」におけるSCの業務内容を把握していること。
「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」で示されている内容を把握していること。

選択肢の解説

『①児童生徒への個別及び集団対応に関する助言や援助』

『②児童生徒への心理教育的活動の実施に関する助言や援助』

『③ケース会議などの教育相談に関する会議における助言や援助』

児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)」の「SCの職務内容:教職員に対するコンサルテーション」の項に、以下の通り記載されております。

  • 児童生徒への個別・集団対応に関する教職員への助言・援助
  • 児童生徒への心理教育的活動の実施に関しての助言・援助(プログラムコンサルテーション)
  • ケース会議等教育相談に関する会議での教職員への助言・援助

選択肢①~選択肢③の内容は、上記をそのまま転記したものと考えられます。
よって、選択肢①~選択肢③は正しいと判断できます。

『④困難な問題に直面している教職員に代わる保護者などとの面談の実施』

問題文には「教職員へのコンサルテーション」となっているが、本選択肢の内容は「保護者への面接もしくはコンサルテーション」と捉える方が妥当と言えます。

児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)」の「SCの職務内容:保護者への助言・援助」の項に、以下の通り記載されております。

  • 来校した保護者への相談活動
  • 電話等による相談活動
  • 保護者に対する情報提供や講習会等の啓発活動
本選択肢では「教職員に代わって保護者などとの面談の実施」とありますが、行っていることは保護者への面談なので、上記の保護者への助言・援助という枠組みで捉えることが適切と考えられます。
そもそも「教職員が困難に感じている事例の保護者と面談する」ということが教職員へのコンサルテーションになるなら、保護者面接全てが教職員へのコンサルテーションになってしまいます。
引っかかりやすい点としては「教職員に代わって保護者の面接をすることがあるのか?」ということが浮かびます。
この点については「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」には以下のように記されております。
  • これからの学校が教育課程の改善等を実現し、複雑化・多様化した課題を解決していくためには、学校の組織としての在り方や、学校の組織文化に基づく業務の在り方などを見直し、「チームとしての学校」を作り上げていくことが大切である。
  • そのため、現在、配置されている教員に加えて、多様な専門性を持つ職員の配置を進めるとともに、教員と多様な専門性を持つ職員が一つのチームとして、それぞれの専門性を生かして、連携・分担することができるよう、管理職のリーダーシップや校務の在り方、教職員の働き方の見直しを行うことが必要である。
以上のように、困難な問題に直面している教職員に代わって保護者などと面接することは、チーム学校の考え方としても適切と言えます。
保護者の中には担任等に複雑な感情を持っておられる方も多く見受けられ、SCが教職員とは異なる職種の人間として面談を行うことは学校臨床では自然に行われていることです。
よって、選択肢④を「教職員へのコンサルテーション」と捉えることは誤りと判断できます。

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