公認心理師 2018追加-45

スクールカウンセラー等活用事業について、正しいものを1つ選ぶ問題です。

こちらについては「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」を参照することが求められています。
SCとして活動している人なら、大半は知っている内容になっていると思います。

本問とは関係ありませんが、SCを雇い入れる方法にも2種類あります。
1つは、教育委員会がどのSCがどの学校に配置されるかをすべて決めるという形です。
もう1つは、県の臨床心理士会(今後は名称はどうなるのでしょう?)がどの学校に誰を配置するかという「推薦案」を出し、それを教育委員会が検討の上、承認するという形です。

前者はSCと教育委員会の契約という色彩が強く、後者はSCになりたい場合は臨床心理士会に所属することが求められることが多いようです。
後者だと配置した手前、SCが問題を起こしたときに臨床心理士会にも対応が求められることが多いようですね。

解答のポイント

SC事業の大枠について把握していること。

選択肢の解説

『①配置方式としては、現在は全国で通常配置(単独校方式)で統一されている』

まずは基本情報として、以下の配置方式について把握しておきましょう。

  • 単独校方式:
    スクールカウンセラーを1校に配置し、当該学校のみを対象とする方式。
  • 拠点校方式:
    中学校区程度の地域を単位とし、その域内にある小学校もしくは中学校のうち1校を拠点校としてスクールカウンセラーを配置し、域内の他の学校も対象とする方式。
  • 巡回方式:
    スクールカウンセラーの配置校を特定せず、あらかじめ決めておく対象校をスクールカウンセラーが巡回する方式。
拠点校方式については小中連携が可能であることが利点で、単独校方式を採用している県であってもできる限り校区の小学校には同一SCを配置する場合もあります。
巡回方式は、SCの数が少ない場合でも対応可能という利点がありますね。
これらの割合については、県によって異なります
その理由としては、都道府県によってSCの人数にかなり違いがあるためです。
人数合わせた配置方式を採用することになりますね。
毎年出ている「スクールカウンセラー実践活動事例集」の中に、各県の割合が記載されています。
以上より、選択肢①は誤りと判断できます。

『②公立高等学校への配置については、各自治体で事業の実施に係る配置校総数の50%程度を目安とする』

「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」に記載のある「スクールカウンセラー活用事業」の項目の中に「公立高等学校へのスクールカウンセラー等の配置については、事業の実施に係る配置校の総数の10%以内を目安とする」とされています。

実際に「スクールカウンセラー実践活動事例集」には各県の高等学校の配置数が記載されていますが、県によってかなりの違いがあることがわかります。
さすがに50%までいくと公立小中学校への配置が行き届かなくなるとは思いますが…。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。

『③被災した児童生徒等の心のケア等を行うため、学校等にスクールカウンセラー等を緊急配置する事業も含まれる』

「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」に記載のある「災害時緊急スクールカウンセラー活用事業」の項目の中に「被災した児童生徒等の心のケア、教職員・保護者等への助言・援助等を行うため、スクールカウンセラー等を学校等に緊急配置する」とされています。

こちらについては「緊急スクールカウンセラー等活用事業実施要領」に詳細が記載されています。

以上より、選択肢③は正しいと判断できます。

『④平成7年度にスクールカウンセラー活用調査研究(委託事業)が創設され、現在まで国費100%の事業として継続している』

SC事業は、現在では国費1/3になっていますこちらの資料などが参考になります)。
残りは地方自治体が負担することになりますが、これが各都道府県によってSCの待遇に違いがある理由です。

1/3は国費からまかなわれますが、2/3は地方自治体が負担するので、この負担の割合をどのくらい減らすのかはそれぞれの自治体で考え方があります。
例えば、それほど負担を大きくしたくない場合は、準スクールカウンセラーなどを多く雇い入れて時給を下げるなどの対応を取っています。

また、自治体によってはSC1年目~3年目にかけて時給を段階的に上げていく形式を採っています。
若年の心理職の中には、あまり学校領域に馴染めず早目にやめてしまう人がいることも、その背景にあるのかもしれません。

以上より、選択肢④は誤りと判断できます。

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