公認心理師 2022-151

事例の状態に合致する診断名を選択する問題です。

公認心理師は診断ができるわけではないけど、診断基準を把握しておくのはマストになりますね。

問151 22歳の男性A、無職。奇異な言動を心配した家族に連れられて精神科クリニックを受診した。同伴した家族によると、半年以上前からAは、「やっと分かりました」、「もう後戻りはできないんですね」などと独り言をつぶやきながら、にやにやと奇妙な笑顔を浮かべるようになった。Aに理由を聞いたが、まとまりのない内容で、何の話か分からなかったという。受診時、Aは主治医に対して、「このクリニックの駐車場には、赤いスポーツカーが停まっていました。あれは、お前も赤く燃えるように使命を果たせ、という私に向けられた啓示なのです」と訴えた。
 DSM-5の診断基準に該当するAの病態として、最も適切なものを1つ選べ。
① 双極性障害
② 統合失調症
③ 短期精神病性障害
④ 全般不安症/全般性不安障害
⑤ 統合失調型パーソナリティ障害

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解答のポイント

各疾患の診断基準を把握している。

選択肢の解説

② 統合失調症
③ 短期精神病性障害
⑤ 統合失調型パーソナリティ障害

本問は実質として、この3つの選択肢の弁別が求められていると言って良いでしょう。

半年以上前から続いている奇異な言動、受診時の「このクリニックの駐車場には、赤いスポーツカーが停まっていました。あれは、お前も赤く燃えるように使命を果たせ、という私に向けられた啓示なのです」という訴えについてどう捉えるかが重要になってきます。

各診断基準を把握しておくことが、まずは第一になります。

まずは選択肢③の「短期精神病性障害」の診断基準を確認しておきましょう。


A.以下の症状のうち1つ(またはそれ以上)が存在する。これらのうち少なくとも1つは1か2か3である。

  1. 妄想
  2. 幻覚
  3. まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
  4. ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
    注:文化的に許容された反応様式であれば、その症状は含めないこと。

B.障害のエピソードの持続期間は、少なくとも1日以上1ヵ月未満で、最終的には病前の機能レベルまで完全に回復すること。

C.その障害は、「うつ病または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」、統合失調症または緊張病のような他の精神病性障害ではうまく説明されず、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

● 該当があれば特定せよ
明らかなストレス因がある(短期反応精神病):その人の属する文化圏で同様の環境にあるほとんどすべての人にとって著しくストレスの強いような、単独あるいは複数の出来事に反応して症状が起こっている場合。
明らかなストレス因がない:その人の属する文化圏で同様の環境にあるほとんどすべての人にとって著しくストレスの強いような、単独あるいは複数の出来事に反応して症状が起こっていない場合。 周産期発症:発症が妊娠中もしくは分娩後4週間以内である場合。

● 該当があれば特定せよ
緊張病を伴う:短期精神病性障害に関連する緊張病のコードも追加で用いる。

● 現在の重症度を特定せよ
症度の評価は、精神病の主要症状の定量的評価により行われる。その症状には妄想、幻覚、まとまりのない発語、異常な精神運動行動、陰性症状が含まれる。それぞれの症状について、0(なし)から4(あり、重度)までの5段階で現在の重症度(直近7日間で最も重度)について評価する。


ちなみに、上記の緊張病性の行動とは、激しい興奮、拒絶、奇妙な姿勢などのことを指します。

診断基準の内容自体は、本事例の状態を示す(妄想やまとまりのない発語など)ものですが、短期精神病性障害はその名の通り「少なくとも1日以上1ヵ月未満」という狭い間隔でのものを指します。

ですから、半年以上前から奇異な言動を示しているAの状態には該当しないと言えます。

続いて、選択肢⑤の「統合失調型パーソナリティ障害」の基準を見ていきましょう。


A.親密な関係では急に気楽でいられなくなること。そうした関係を形成する能力が足りないこと。および認知的または知覚的歪曲と行動の奇妙さのあることの目立った、社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 関係念慮(関係妄想は含まない)
  2. 行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信深いこと、千里眼、テレパシー、または“第六感”を信じること:小児および青年では、奇異な空想または思い込み)。
  3. 普通でない知覚体験、身体的錯覚も含む。
  4. 奇異な考え方と話し方(例:あいまい、まわりくどい、抽象的、細部にこだわりすぎ、紋切り型)。
  5. 疑い深さ、または妄想様観念。
  6. 不適切な、または限定された感情。
  7. 奇異な、奇妙な、または特異な行動または外見。
  8. 第1度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
  9. 過剰な社会不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴う傾向がある。

B.統合失調症、「気分障害、精神病性の特徴を伴うもの」、他の精神病性障害、または広汎性発達障害の経過中にのみ起こるものではない。
注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」と付け加える。すなわち、「統合失調型パーソナリティ障害(病前)」


ポイントになりそうなのが基準Aの「以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される」という制約になります。

「半年以上前からAは、「やっと分かりました」、「もう後戻りはできないんですね」などと独り言をつぶやきながら、にやにやと奇妙な笑顔を浮かべるようになった。Aに理由を聞いたが、まとまりのない内容で、何の話か分からなかったという」については、Aの4(奇異な考え方と話し方)が該当しそうです。

また、「このクリニックの駐車場には、赤いスポーツカーが停まっていました。あれは、お前も赤く燃えるように使命を果たせ、という私に向けられた啓示なのです」については、Aの1(関係念慮)やAの2(行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考)などに該当しそうです。

ちなみに「関係念慮」とはなんでもない偶然の出来事について間違った解釈をし、人に対して普通でない意味づけをすること、「関係妄想」とは出来事や他者の行動が本人に関連がある、あるいは直接関連はないにせよ重大な意味があると信ずる妄想、「魔術的思考」とはある事象について理性と観察においては因果関係が正当化できない物事に原因を求める思考です。

統合失調型パーソナリティ障害の診断基準Aの1には「関係念慮(関係妄想は含まない)」とありますから、関係妄想と思われる本事例の発言からするとAの1は除外される可能性があります。

いずれにせよ、上記を踏まえれば、Aの状態は統合失調型パーソナリティ障害の「親密な関係では急に気楽でいられなくなること。そうした関係を形成する能力が足りないこと」に関連するような状態に関する記述がなく、それもあってだと思いますが、診断基準Aの「5つ以上」という点を満たしていないことがわかりますね。

以上のことから、少なくとも現時点では、Aを統合失調型パーソナリティ障害と見なすには情報が不足していると考えられます。

では、選択肢②の「統合失調症」の診断基準を見ていきましょう。

DSM-5の診断基準を参照してみましょう。


A.以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1カ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくともひとつは(1)か(2)か(3)である。

  1. 妄想
  2. 幻覚
  3. まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
  4. ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
  5. 陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)

B.障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。

C.障害の持続的な徴候が少なくとも6か月間存在する。この6か月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1か月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。

D.統合失調感情障害と「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下のいずれかの理由で除外されている。

  1. 活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない。
  2. 活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その活動期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。

E.その障害は、物質(例:薬物乱用、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

F.自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、少なくとも1か月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えられる。


本事例では、妄想に該当する言動は見られますね(このクリニックの駐車場には、赤いスポーツカーが停まっていました。あれは、お前も赤く燃えるように使命を果たせ、という私に向けられた啓示なのです)。

また、「まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)」についても、「半年以上前からAは、「やっと分かりました」、「もう後戻りはできないんですね」などと独り言をつぶやきながら、にやにやと奇妙な笑顔を浮かべるようになった。Aに理由を聞いたが、まとまりのない内容で、何の話か分からなかったという」が該当すると考えられます。

この診断基準Aの2点を満たしていることから、そして1か月以上存在することという基準も満たしていることから、本事例は統合失調症である可能性を否定できないことがわかりますね。

以上より、選択肢③および選択肢⑤は不適切と判断でき、選択肢②が適切と判断できます。

① 双極性障害

双極性障害はⅠ型とⅡ型があります。

Ⅰ型は躁病エピソードが優位であり、Ⅱ型は軽躁病エピソードが優位な型になっています。

まずはDSM-5で示されている各エピソードについて確認していきましょう。


【躁病エピソード】

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力がある。このような普段とは異なる期間が、少なくとも1週間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。

B.気分が障害され、活動または活力が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が有意の差をもつほどに示され、普段の行動とは明らかに異なった変化を象徴している。

  1. 自尊心の肥大、または誇大
  2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
  4. 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
  5. 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
  6. 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥(すなわち、無意味な非目標指向性の活動)
  7. 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)

C.この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしている、あるいは自分自身または他人に害を及ぼすことを防ぐため入院が必要であるほど重篤である、または精神病性の特徴を伴う。

D.本エピソード、物質(例:薬物乱用、医薬品、または他の治療)の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

【軽躁病エピソード】

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。

B.気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。

  1. 自尊心の肥大、または誇大
  2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
  4. 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
  5. 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
  6. 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥
  7. 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)

C.本エピソード中は、症状のない時のその人固有のものではないような、疑う余地のない機能的変化と関連する。

D.気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E.本エピソード、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない、もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。

F.本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。

【抑うつエピソード】

A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。
注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。

  1. その人自身の言葉(例:悲しみ、空虚感、または絶望感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているようにみる)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。 (注:子どもや青年では易怒的な気分もありうる)
  2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(その人の説明、または他者の観察によって示される)
  3. 食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加(例:1ヵ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加(注:子どもの場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ)
  4. ほとんど毎日の不眠または過眠
  5. ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的でないもの)
  6. ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
  7. ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある、単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言葉による、または他者によって観察される)
  9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画

C.その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。


双極Ⅰ型障害と診断するためには、躁病エピソードの基準に該当することが必要です(軽躁病エピソードや抑うつエピソードが先行したり、後に続いたりはある)。

とにかく躁病エピソードがあれば双極Ⅰ型障害になるということですが、躁病エピソードのみで抑うつエピソードが存在しないということは滅多にありませんね。

一方、双極Ⅱ型障害と診断するためには、現在または過去に軽躁病エピソードの基準を満たした上で、現在または過去に抑うつエピソードの基準を満たすことが必要になります。

上記の各エピソードと、本事例の「このクリニックの駐車場には、赤いスポーツカーが停まっていました。あれは、お前も赤く燃えるように使命を果たせ、という私に向けられた啓示なのです」とは関連が薄いように思えます(やはり妄想と見るのが現時点では妥当でしょうね)。

また、「半年以上前からAは、「やっと分かりました」、「もう後戻りはできないんですね」などと独り言をつぶやきながら、にやにやと奇妙な笑顔を浮かべるようになった。Aに理由を聞いたが、まとまりのない内容で、何の話か分からなかったという」についても、こうした奇妙さを双極性障害の各エピソードと絡めて考えるのは困難であると言えます(言葉だけで見れば抑うつと見えなくもないけど、様子が明らかに異なる)。

双極性障害で見られるのは誇大的な妄想であることが多く、上記のような関係妄想的な内容については出ることは少ないと考えられます(もちろん精神医学的な問題である以上、100%出ないわけではないけど、あくまでも割合としては少ない)。

以上より、選択肢①は不適切と判断できます。

④ 全般不安症/全般性不安障害

まずはDSM-5の基準を見ていきましょう。


A.(仕事や学業などの)多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配(予期憂慮)が、起こる日のほうが起こらない日より多い状態が、少なくとも6ヵ月間にわたる。

B.その人は、その不安を抑制することが難しいと感じている。

C.その不安および心配は、以下の6つの症状のうち3つ(またはそれ以上)を伴っている(過去6ヵ月間、少なくとも数個の症状が、起こる日のほうが起こらない日より多い)。
注:子どもの場合は1項目だけが必要

  1. 落ち着きのなさ、緊張感、または神経の高ぶり
  2. 疲労しやすいこと
  3. 集中困難、または心が空白となること
  4. 易怒性
  5. 筋肉の緊張
  6. 睡眠障害(入眠または睡眠維持の困難、または、落ち着かず熟眠感のない睡眠)

D.その不安、心配、または身体症状が、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

E.その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症)の生理学的作用によるものではない。

F.その障害は他の精神疾患ではうまく説明されない[例:パニック症におけるパニック発作が起こることの不安または心配、社交不安症(社交恐怖)における否定的評価、強迫症における汚染または、他の強迫観念、分離不安症における愛着の対象からの分離、心的外傷後ストレス障害における外傷的出来事を思い出させるもの、神経性やせ症における体重が増加すること、身体症状における身体的訴え、醜形恐怖症における想像上の外見上の欠点や知覚、病気不安症における深刻な病気をもつこと、または、統合失調症または妄想性障害における妄想的信念の内容、に関する不安または心配]


これらを踏まえて本事例を見ていきましょう。

本事例において重要なのは「このクリニックの駐車場には、赤いスポーツカーが停まっていました。あれは、お前も赤く燃えるように使命を果たせ、という私に向けられた啓示なのです」という発言をどう捉えるかですが、これは妄想に該当すると見るのが自然であり、全般性不安障害の問題と関連して考えるのは無理があります。

また、「半年以上前からAは、「やっと分かりました」、「もう後戻りはできないんですね」などと独り言をつぶやきながら、にやにやと奇妙な笑顔を浮かべるようになった。Aに理由を聞いたが、まとまりのない内容で、何の話か分からなかったという」についても、こうした奇妙さを全般性不安障害と絡めて考えるのは困難であり、また、そもそもAからは不安に基づくような言動が見られませんね。

以上より、選択肢④は不適切と判断できます。

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