公認心理師 2019-116

問116はベンゾジアゼピン系の副作用を問うております。
過去問では抗精神病薬が多く出題されており、ベンゾジアゼピン系単体での出題は初めてですね。

問116 ベンゾジアゼピン受容体作動薬の副作用として、誤っているものを1つ選べ。
①依存
②健忘
③せん妄
④ふらつき
⑤ジストニア

副作用を問う問題は頻出になっていますね。
ベンゾジアゼピン系(抗不安薬)を選択肢に含む過去問は以下の通りです。

こうしてみると結構出題されていることがわかります。
過去問をしっかりやっておくことで解きやすい問題だったと言えますね。

解答のポイント

ベンゾジアゼピン系の作用と副作用を把握している。

選択肢の解説

①依存
②健忘
③せん妄
④ふらつき

ベンゾジアゼピン系の副作用は様々な系統で生じるので、それらを分けて論じていきます。

【一般的副作用】
最も高頻度に見られるのは、眠気であり、以下ふらつき、歩行失調、めまい、脱力感、倦怠感、易疲労感などが続きます
これはベンゾジアゼピン系のもつ鎮静作用や骨格筋の弛緩作用が過度に現れたものであり、治療初期(特に投薬1日目)や老人、小児、病弱者に多いとされています。
抗不安薬では抗精神病薬や抗うつ薬と異なり、錐体外路症状や自律神経症状など重篤な副作用が見られないのが通常です。

【中枢神経系・血管系・呼吸器系】
抗不安薬投与によりかえって不安が増強されたり、不眠、精神運動興奮、敵意の増強、憤怒、抑うつ、自殺念慮、せん妄などの急性中毒性精神病像が出現する場合があります
このような薬剤に本来期待される薬理学的効果と全く反対の効果が現れることを「奇異反応(逆説反応)」と呼びます。

また、静脈注射により2時間ないしそれ以上の前向性健忘が生じることがあるが、麻酔の前投薬としては望ましいが他の場合には副作用となります。
他の効力の強い抗不安薬でも一過性の健忘症状が見られるとされています。

静脈注射により低血圧が見られることがあるが、静脈注射を緩徐に行うことにより防ぐことが可能です。
また、全てのベンゾジアゼピン系で呼吸抑制の可能性があるとされています。

【抗不安薬依存】
ベンゾジアゼピン系は、臨床用量の範囲であっても長期に服用すると「身体依存」が形成されるため、ベンゾジアゼピン系の長期投与は例外的になっています
ちなみに、乱用薬物としてよく使われる順に、エチゾラム(デパス)、フルニトラゼパム(サイレース等)、トリアゾラム(ハルシオン)、ゾルピデム(マイスリー)となっています。

また上記以外にも、妊娠・出産への影響なども指摘されております。

以上より、選択肢①~選択肢④は正しいと判断でき、除外することが求められます。

⑤ジストニア

ジストニアは、局所性ないし全般性に生じる急性持続性の痛みを伴う筋肉の収縮です
起こりやすい部位としては、舌筋(突出や捻転)、下顎、頸部(発作的な斜頸)、及び背部(強直性後屈)などがあります。
眼球では両側性または片側性の眼球上転が起こります。

すべての抗精神病薬は錐体外路症状の原因薬物となり得ます
錐体外路症状は慢性と急性に分類でき、急性の場合は抗精神病薬投与開始後数日から数週で出現し、用量依存的で、原因薬物の減量や中止により改善します。

錐体外路症状は比較的頻度の高い副作用であり、アドヒアランス低下を招きやすく、その対策は重要です。
主な錐体外路症状として、パーキンソンニズム、急性ジストニア、急性アカシジア、遅発性ジスキネジアの4つがあります

以上より、選択肢⑤が誤りと判断でき、こちらを選択することが求められます。

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