偏見:Allportを中心に

「偏見」とは、大雑把に言えば、特定の集団に対する否定的な態度のことを指します。
偏見は否定的な態度に限定されますが、ステレオタイプは肯定的な態度としても生じるところが異なりますね。

【Allportの偏見研究】

Allportは異文化交流の研究をしていますが、多種多様な人種が共生するアメリカ社会において、職場や住居など日常の環境下でそれぞれが接触することで生まれる偏見についても実証実験を行っています。

【偏見の5段階】

この偏見の形成についてAllportは、以下の5段階で表面化してくるとしました。
①誹謗:陰口を言うなどの形で偏見を口にする。
②回避:不便になっても、偏見対象・集団に近づかないようにする。
③差別・隔離:偏見対象を意識的・能動的に拒絶し、生活機会から締め出す。
④身体的攻撃:偏見対象への嫌悪感情が高まり、暴力の行使に至る。脅迫的行為や嫌がらせ、殴る、蹴るなど。
⑤絶滅:皆殺し、大量殺戮のような極度の暴力的行為。
(何やらいじめの段階のようですね…)

Allportは、これらの知見から偏見を以下のように定義しています。
「ある集団に所属している人が、単にその集団に所属しているから、またはその集団のもつ特質をその人が持っていると思われる等の理由だけで向けられる嫌悪・敵意の態度」

【Allportの業績】

Allportはキーワードが多い人ですね。
ここで挙げた「偏見」のほかにも、以下のポイントは押さえておきましょう。

✔ 特性論

Allportは特性論の中心的研究者。
共通特性と個別特性の存在を示し、14の共通特性を明らかにし、それをプロフィール化した心誌を提出しました。
ちなみに、オルポートの仕事を因子分析を用いて推し進めたのがCattellで、16因子を示しました。

✔ 異文化交流

肯定的な異文化接触には、①対等な関係、②共通の目的、③組織的な支援、が必要と主張しました。

Allportの理論ではありませんが、異文化交流からカルチャーショックまで手を伸ばして、「Uカーブ仮説」「Wカーブ仮説」などについても押さえておくと良いでしょう。

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